永遠に…の傷跡 15
「ユキの事も確かめた。でも長官は行方不明だと、生きてたらパルチザンに合流するはずだって…
傍受される危険があるので通信はそこで一度切られた。太陽系を出る時も自分の立場を忘れて
地球に通信しようとして山南さんに怒られた事もあった…今にも暴れそうな気持を抑えられた
のは…サーシァがそばにいてくれたからなんだ。澪がサーシァって知ってるのは真田さんと
俺と山崎さんだけだった。
サーシァはユキとよく似ていた。最初真田澪と紹介された時アナライザーが間違えるくらいにね。
ただ…俺は…ユキが死んだかもしれないって思っても…ユキの代わりにサーシァをって
思えなかったんだ…
サーシァの気持ちに気付いたのはサーシァが敵母星に残り最期の闘いをしてる時だった。
ユキも見ただろう?報告書…真田澪が敵母星に残り重核子爆弾の起爆装置を破壊そのまま
敵に撃たれ殉職、その後ヤマトが波動砲にて敵母星壊滅…ってね。
サーシァは起爆装置を解除してヤマトを逃がすための手順を整えて…自分ごと撃て、と
俺に言って来た。俺には出来なかった…姪として…サーシァを愛してたから…たった一人の
肉親として愛してたから…俺には撃てなかった。真田さんが泣きながら“俺が撃つ”って言って
詰め寄って来たけど……そしたら聖総統が…スカルダートがサーシァを撃って…
撃たれる前に言ったんだ…“あなたのお役に立てて死んで逝ける事を喜んでるわ”って
目の前にいる大切な人を二度と失いたくないとそう願っているのに…ユキが生きてるって
わかってほっとしたのもつかの間今度は大事な姪が…
そう思うと自分を呪い殺してやりたかった…
そんな時サーシァが夢に出て来たんだ。真田さんの所へ行ってたから俺のところに来るの
遅くなってごめんなさい、って言ってね。サーシァは幸せだって言ってた。兄さんとスターシア
さんと一緒に仲良く暮らしてるって…俺にはおじいちゃんになるまで来るなって。
その後スターシアさんが来て俺に言ったんだ。
“ユキさんを守って、ユキさんを守れるのは俺だけだから”って。俺の知らないところでユキが
スターシアさんにしてくれたことがとてもうれしかったらしくユキに感謝してたよ。ユキがいて
くれたから兄さんがいてサーシァが生まれたって…。俺よくわからなかったけど兄さんも
スターシアさんもサーシァも幸せなら…それはそれでよかったのかなって思うことにしたんだ
そしたらつかえてたものが取れたかのように気持ちが楽になって…
でも時々思うんだ。最初に上陸した時点でサーシァの異変に…いや偽りの地球に違和感を
感じた時点で何か行動を起こしてたら別の結果が出たんじゃないかと思うとやり切れない。
でもね、もう戻れないんだ…サーシァはもう還ってこない…」
進は我慢しきれず涙が流れて来た。ユキがやさしくそのなみだにキスをした
「サーシァが夢に出てくると必ずこのダイヤモンド鉱石が近くに落ちてるんだ」
進はそう言ってポケットからダイヤモンド鉱石を取り出して
「ユキのベッドにも置いてあったんだよ。」
そう言ってユキに見せた
「やっぱり私のところにも来てくれてたのね。」
ユキも涙を流していた。
「私って…すっごい幸せ者なのかなぁ…」
涙を拭いてユキがしっかり進を見ていった
「たくさんの人が守ってくれてる…」
進はユキを抱きしめると
「もう…離さないで…」
進はユキにそっとくちづけをした
作品名:永遠に…の傷跡 15 作家名:kei