永遠に…の傷跡 15
ユキは点滴を終えて久々にベッドでなくソファーに座ってくつろいでいた
「ねぇ…ユキ?」
「なぁに?」
進は(まただ)と思う。そんな風に小首をかしげなくてもなぁに?って聞けるのにどうして女性は何かを聞くときとか小首をかしげるしぐさをするんだろうと。
「俺もね、聞いてほしい事がある。」
進は抱きしめたい衝動を抑えてユキにサーシァの話をする決心をした
「…ユキが…俺の手から離れていった…あの後…俺の事を羽交い絞めして止めた相原を
殴ったんだ。相原は全然抵抗してこなくて…俺正気じゃなかったと思う。あのままだったら
相原を殴り殺していたかもしれない。突然チクッってした瞬間…それから何も覚えてないんだ。
後から聞いたが佐渡先生が仮死状態になる薬を全員にうったそうだ。」
「じゃあ少尉が言ってた生命反応…」(ユキ)
「そう、多分それはウソじゃなかったんだ。」(進)
「てっきり私をだますためのウソだと思ってたわ。そう伝えれば私が軍内部の事を話すと思って
言ったのかなぁ…って…」(ユキ)
「気がついたらもうイカルスが目の前だった。俺たちは真田さんと合流して地球に向かう予定
だったけど長官の通信で急きょ敵母星へ向かうことになったんだ。その時…兄さんの事を
聞いた…」(進)
ユキは黙って聞いていた
作品名:永遠に…の傷跡 15 作家名:kei