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Wizard//Magica Infinity −8−

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「ふんっ!」
「はぁっ!!」

ウィザードとウィザードの蹴りがぶつかり合う。
しかし力の差は歴然だった。
次第にハルトは力負けし、押しつぶされそうになる。

「うぐっ…あぁぁッ!!」

力負けしたハルトは瞬時に体勢を立て直し、左手に黄色の指輪を装着した。
「『ランド』プリーズ!『ドッドッドッド・ド・ドン!ドンッドッド・ドン!!』」
「近距離戦が無理なら遠距離戦だッ!!」

ランドスタイルにスタイルチェンジし、ウィザーソードガンをガンモードに変形させ何発かもう一人の自分に乱れ打つ。

「無駄だな」

しかしウィザード・フレイムドラゴンは両手のウィザーソードガンで全て撃ち落としてしまった。それでもハルトは右手に指輪を装着し、魔法を発動させた。

「『エキサイト』プリーズ!」
「力には力だっ!」

筋力増加の魔法を使用し、両腕の筋肉を増幅させウィザード・フレイムドラゴンへと突っ張りを放った。

「ふぅ…まだ無駄な抵抗を!」
「『ビッグ』プリーズ!」
「えっ…ぐぅっ!!!!」

ウィザード・フレイムドラゴンが部分倍加の魔法を右足に使用し巨大な蹴り放った。ハルト両腕でなんとか掴むことができた。
しかしそれでも力負けし、次第に後ろへと後ずさっていく。

ハルトはそのまま右方向へとなぎ払い、さらに魔法を発動させた!

「チョーイイネ!『ティロフィナーレ』サイコー!!」
「ハァァっ!!」

巨大化したウィザーソードガンから放たれた魔力弾がウィザード・フレイムドラゴンへと放たれた。
しかし回避行動や防御行動をするどころか、何故か一歩も動かない。

「教えてやろう、絶望の本当の力を」
「キャモナシューティングシェイクハンズ!『フレイム』シューティングストライク!!」

「な、何!?」

ウィザード・フレイムドラゴンから放たれたフレイムドラゴンシューティングストライクとティロフィナーレがぶつかりあう!

「…ふんッ!!」
「うッ…ぐああぁぁぁぁッ!!!!」

ティロフィナーレが飲み込まれ、ハルトに火炎弾が直撃した。
多少、相殺はできていたみたいだがそれでもダメージは残ってしまった。

「それでもっ!!」
「『ハリケーン』プリーズ!『フーフー!フーフーフーフー!!』」

ハリケーンスタイルにスタイルチェンジし高速飛翔でウィザード・フレイムドラゴンへと再び距離を詰める。
「答えろっ!何故お前が生まれたんだ!!俺はお前の誕生なんて望んじゃいない!!」
再び剣と剣が何度もぶつかりあう。
「違う、俺は望まれて生まれてきた訳ではない!」
「なら一体何故!!?」
「簡単だ!俺はもとからお前の中に存在したっ!!」
「なぁッ!!?」
「お前は結局、なにも解ってはいない!希望と絶望、その意味をッ!!」
「くそッ!!あぁァァァ!!!!」
その時、ウィザード・フレイムドラゴンの乱舞がハルトの身体に切り刻まれ、その衝撃で吹き飛ばされてしまった!

「はぁっはぁっ…希望と絶望の…意味?」
「答えろ、操真ハルト。お前はこれまで、一体何の為に戦ってきた?」

俺の戦ってきた理由…だと?
そんなの、最初から決まっている。

俺は…魔法少女の絶望を希望に変えるために戦ってきた。
絶望を振り払う為に。

もう二度と…コヨミのような魔法少女を誕生させない為に!!

「お前のような『絶望』を生み出さない為だ。これ以上、魔法少女達の涙を俺は見たくない!だから…俺は『絶望』と戦って−−−」
「違う。その答えは根本的に間違っている」

「なんだと?」

全てを否定された一言。
その答えにハルトは言葉を失ってしまった。

「お前は勘違いしている、操真ハルト。そもそも…希望と絶望は紙一重…一つなんだ」

「なっ…」

「お前は魔法少女達の絶望を生み出さない為に希望を与えてきた…そう言ったな。その考え事態が違うんだ。お前も本当は感づいている筈だ。そして、その答えにはたどり着いている筈。無意識中にな」

「そんなことないっ!!俺は認めない!!」

「どこまでもおめでたい奴だ。やはり自覚しているじゃないか。…人は、希望を得た瞬間、絶望も得てしまう。絶望を得た瞬間、希望を得る。これは、この世界での…いや、この宇宙での法則、『理』なんだ」

「違う…」

「何故そこまで否定する?お前は何を恐れているんだ。そうか…わかったぞ。お前の『過去』が邪魔しているんだな。お前の…お前の絶望しきった過去がッ!!」

「違うッ!!」

「お前自身の過去が、お前の希望と絶望の理のバランスを崩している。だからお前は不完全なんだ…この世界では存在してはいけない、イレギュラーな存在なんだ!!」



汗が止まらない。
心拍数が異様に上がる。

認めたくない…認めたくないけど…




全部、あいつの言う通りだ。





俺は、過去に囚われている。



認めたくない、過去。

認められない、未来。




認められなかった…現在。





「俺は…俺はッ!」

「やはり、答えにはたどり着いていないみたいだな。だったら、なおさら…」
「『コネクト』プリーズ!」
「俺に、取り込まれるべきだ」

奴は空間転移魔法で何かを取り出した。
俺は、それに見覚えがある。
あれは…美紗のソウルジェムから生成されたものだ!

「お前っそれまで!」

「茶番は終わりだ。さっさと終わらせる」
「『ドラゴタイム』セットアップ!スタート!!」
「さぁ、終わりの時だ!!」

「ぐっ!!」

あの時計なような指輪の効力を俺は知らない。
だとしても、俺はここで立ち止まれない。
今は、戦うことしかできない。
答え…確かにまだわからない。
俺が戦ってきた答え、戦い続けられた答え。

わからない。…一体何なんだ?

「『ウォータードラゴン!』」
「はぁァァっ…っ!!?」
「背中がガラ空きだぞ!操真ハルト!!」

奴に突っ込むと同時に反対方向から何かが出現し、俺へと襲いかかる。
それを察した俺はなんとか回避する。
そこにいたのは…強化形態のウィザード!?

「まさか…奴のあの魔法はウィザードの強化形態の分身体を出現させる魔法なのか!?いや、それだけじゃない!」

目の前に現れたのはウォータースタイルの強化形態。
ただでさえ、目の前にいる違うエレメントのもう一人の自分との対峙に精一杯なのにこんなのが現れたら…っ!

「『コピー』プリーズ!」
「はぁッ!!」

「分身を出現させたか…それでも、いつまで持つか!!」
「『ハリケーンドラゴン!』」

「なぁッ!?ハリケーンスタイルまで!!」

現在、2対3…圧倒的に不利だ。
俺の分身体はウォータースタイルの強化形態と対峙している。俺は奴とハリケーンスタイルの強化形態の斬撃をなんとか交わし、必殺技を放った。

「『ハリケーン』スラッシュストライク!」
「これでぇッ!!」

「甘いッ!!」

ハリケーンスラッシュストライクがウィザード・フレイムドラゴン、ハリケーンドラゴンへと襲うがいとも容易く薙ぎ払われてしまった。

「マジかよッ…ッッッ!!」

「『ランドドラゴン!』」
「まさかこの一撃を受け止めるとはな…お前もよくここまで成長した」
作品名:Wizard//Magica Infinity −8− 作家名:a-o-w