二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

第14Q 覚えとく。三人とも!

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
1-紺野舞
「ははっ、借り、か」
目の前の彼は笑いながら言い、「ってか、地蔵って!!!」と嘆いていた。まぁ、そこは無視だ、うん。
「うっさいわね、地蔵くん」
「うぅ、地蔵ってのはまぁ、置いといて……あ、先輩、マーク代わってもらっていいっすか?」
「泣きながらどうしたよ、津川……」
若干引き気味の先輩さんに地蔵くんは、
「現役女子高生にいじられ、しょげて、でもちょっと嬉しさを感じてるんす。Mに目覚めそうです」
ますます気持ち悪くなった。
ってかどうしよう、本気で避けようかな……。
「いやぁ、まぁ、代理ね。それはいいけどさ、」
「?」
試合中に話しかける時点でどうかと思うけど、まぁ、聞いてやる。
「火神でないで君ってのは正直うれし、いや、驚いたけどさ。結局1年が出るなんて、やっぱ誠凛の先輩ってちょっと頼りないね」
「あんた、何言ってんの?」
少し本気で睨んでやる。が、地蔵くんは動じずにこう続けた。
「だって、補欠くんと火神をひっこめたのは、先輩の意地なんでしょ?で、今君がいるじゃん」
まぁ、人数的な問題は正直あるけど、そこじゃない。
「出してほしいと言ったのは私よ。そもそも、さっきの試合ぶりでまだそんなこと思えるなんて、アホナの?バカなの?死ぬの?」
「死ぬの?!!」
目線はボールを捉えられるように動かしていたが、ちゃんと見据えてから私は言った。
「先輩に先輩の意地があるなら私も後輩として、後輩の敬意ってのがあるの。尊敬する先輩たちを支えるためにも、あんたを殺(や)るよ、地蔵くん」
「いまの『やる』の漢字おかしいよね?!!」
彼の言葉を無視して、私は行動に出た。床に倒れるように前のめりになって、重心が行き過ぎる前に跳ね起きてその反動で地蔵くんを抜く。
「ちょっ、嘘っ!!これって、」
縮地法、というらしい。古武術だ。なんかで読んだ。
そのまま駆け出してゴール下の日向先輩にパスをする。先輩はそこからレイアップを放った。2点追加っと!
後ろから地蔵くんが来て、言った。
「あんたも古武術使えるのかよ?」
「あんたはあんましだけど、春日ってひとがよくやってたからさ、なんとなくできた」
「それだけで、とかおかしいだろ!」
「……言っとくけど、」
日向先輩が正邦のパスをカットし、そこからパスが回ってさらに得点。
地蔵くんも気づいたようで、正邦も感づいたらしい。
「こりゃ、やられた……ここまで研究してきたのは初めてだ」
そう正邦の監督さんも言う。
それに対して日向先輩は、「おかげさまで、DVDデッキをひとつ、お釈迦にしましたよ……」と答えた。
そう、彼らの古武術って言うのはそのまま古の技。現代スポーツ科学とは一線を書く。でも、それは癖があるってことだ。
だから、
「言っとくけど、ニセ、いや黄瀬涼太じゃないにせよ、私は元マネージャーなの。クセそのものやそこからの予測を見て覚えることくらいは、できるわよ」
まぁ、少しだけとはいえ、実践できるかは正直賭けだったけど。
「元マネージャー、いや、私たちを舐めるんじゃないわよ」
そう告げて、彼から去る。
「まぁ、紺野程じゃないけど、対応できるようになったの、後半からだしな……」
「実際、クセって言うほどあからさまじゃないし。癖に苦戦、か……キタコ「伊月、黙れ」レ……」
そして、その乗った空気で、とうとう……
スパンッ
70-69。逆転した。
けど、――残り25秒。時間がない!!
「ここ取られるわけにはいかねーぞ!!!」
日向先輩が必死になり、水戸部先輩もいるその上から、
ゴッッ!!!!
ダンクを決めたのは正邦の主将だ。そして彼は叫ぶ。
「王者を舐めるなよ!!貴様らごときが勝つのは、10年早い!!!!」
ここから尋常じゃなくきつい、
「オールコートのマンツーマンDFね……」
守るどころか、もう1ゴール獲る気なの……!!
伊月先輩も春日さんに手こずり、腕と腕が交錯する。
残り8秒。
春日さんの背後に直後、水戸部先輩が現れて、
「見とれちゃうぜ!水戸部ナイス!!!」
水戸部先輩のスクリーンによって伊月先輩がペネレイト。しばらく侵入してから、私にボールが回ってきた。
ちょうどフリー。そう思って、私はスリープシュートの態勢を取り、ジャンプの後に後ろに仰け反った。
が、
「おおおおぉぉ!!撃たせるかぁぁぁぁ!!」
地蔵くんが頭上、いや正確には私の背後から迫って、私のシュートルートをふさぐように上から手を伸ばしている。
ベンチから声がした。
「紺野ぉぉぉ!!!」
と。バカ神くん、か。
私は無意識に前方を一瞬もかけずに確認して、真横に無理やりパスをした。
その先にいたのは、3Pラインにいた日向先輩。
そしてネットは音を立ててくぐられ、ブザーは鳴った。
ビィィィーーーー!
73-71。
「試合、終了!!!!」
私たち誠凛は、第一の王者・正邦に勝利したのだった。