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【APH】ライナスの毛布

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 何で、こうなった?

いくら考えても、この事態に至った理由が解らない。後ろから羽交い絞めに抱きしめられては、身動きすら出来ず、背後が気になって日本が貸してくれた漫画を読みふけることも出来ずに、プロイセンは眉間に皺を寄せる。
(…いつもは甘えてきやがらねークセに、何なんだ?)
朝からずっとこうだ。朝食後、溜まりに溜まった日記を整理しようと地下の書庫にいたのだが、目の付くところにいないと落ち着かないらしく書庫から引きずり出され、キッチンに立つドイツからも見えるように、仕方無しにリビングで漫画を時間つぶしに読み始めたのだが、いつの間にかドイツに後ろから抱きしめられて、身動きも取れない。
「…ヴェスト、何かあったのか?」
漫画を読むのを諦めてそう問えば、ドイツは何もないと首を振る。…何もない訳ねぇだろうが。いつもは掃除を手伝えだの、ぐーうたらするなと口煩い癖によ。
「身動き取れねぇんだけど?」
「取らなくてもいい」
「トイレ行きたくても、行けねぇだろ?」
「行きたいのか?」
「いや。別にまだ行きたくないけどな」
「…なら、いいじゃないか」
「…いや。良くないだろ」
ムキムキに羽交い絞めって、どうなのよ?…まあ、温かいけど。どうせなら、小さかった頃のヴェストをぎゅうっとしたかったぜ。ヴェストの可愛いさかりは、ヴェストを国にしてやるんだと俺も忙しくて、全然、構ってやれなかったしな。…今思うと残念なことをしたとプロイセンは思いつつ、肩口に額を押し当てたドイツの前髪をくしゃくしゃと乱した。
「何だよ。俺様に構って欲しいのか?ん?」
「…そうではない」
くぐもったドイツの返事にプロイセンは眉を寄せた。
「じゃ、何だよ?」
トントンと腰に回された腕を突く。ドイツは答える気はないらしく、口を噤んでいる。ドイツがこうなる思い当たる節なら、一つだけある。プロイセンは溜息を吐いた。
「…そろそろ、明日の準備しねぇとな。ヴェスト、離せ」
作品名:【APH】ライナスの毛布 作家名:冬故