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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 13

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 地に転がるダークマターを見ると、損傷が全く見られない。きれいに埋め込まれた部分だけを断ち切ったのである。ここまで歪みない正確な太刀筋の居合いはリョウカを、あるいは超えるものかもしれない。
「おい、お前…!」
 シンが剣士へと問いかけようとした。それと同時に剣士は呟いた。
「…時は、満ちた」
 剣士は右手を曇り空へかざした。そして力を解き放つ。
 放たれた力は一筋の光となり、上空の雲に穴を空けた。穴の中に見えたのは暗黒に包まれた太陽、そしてその周囲を細い円が白い光を放っていた。
「何だいあれは!?」
「あれは…、日蝕!」
 カーストとアガティオは超自然現象に驚いていた。一方でシンは全く驚かず、落ち着いたようすでそれを見ていた。
――新月…――
 新月、その言葉がシンの脳裏に浮かんだ。
 自らの名の由来ともなっているかの月である。本来ならば見ることができない新月が、日蝕という現象を伴ってその輪郭のみを露わにしている。シン自身も見るのは初めてであった。
 突如、腰の双刀が脈動し始めた。シンはそれらを抜き放つ。すると、新月の光を浴びた瞬間双刀は輝きながらその姿を変えた。一尺ほどの長さだった双刀はその倍近い長さとなり、左右それぞれ刃の色が変わっていた。
 左の刃は影に隠れた太陽を表す漆黒、対して右の刃は新月の輪郭を示す白銀に輝いていた。
 双刀の変化と同時に、シンは力の変化を感じていた。ジュピターの灯火が灯った時すでにそれは感じていた。しかし、今になってその力の変化はより大きくなり、彼の中ではっきりしたものになっていた。
「漆黒と白銀の双剣…、あれは一体…?」
 アガティオはシンの武器の変化に驚いていた。
「ふん、どこから持ってきたか知らないけど、一気にたたんじまうよ!」
 カーストはダークマターのなくなった鎌をシンへと向けた。今再び戦いが始まろうとしている。
「…あれ?あたしのデスサイズを台無しにしたあの白頭巾がいないじゃないか」
 カーストの言うように、白頭巾の剣士はいつの間にかその姿を消していた。
「…あいつなら、いるさ」
 シンは呟いた。
「何だって!?」
 問いかけには答えない。その代わりシンは閉じていた目を開き、エナジーを発動した。
『颯の術・改!』
 発動と同時にシンは姿を消した。
「どこへ行った!?」
「カースト、あそこだ!」
 シンはカースト達の後ろの上空に、風のエレメンタルである紫の光のオーラを全身に纏いながらふわふわと浮かんでいた。
 シンは空中で漆黒と白銀の双刀を構えた。
「…貴様らを地獄へ送る準備はできたぜ。覚悟しな、カースト、アガティオ!」
 新月の光射す中、最後の戦いが始まった。