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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 13

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 打たれた手を抑えながらかがみ込むリョウカへカーストがすたすたと足早に歩み寄り、リョウカの髪の毛を鷲掴みにした。
「ふん、あんたみたいな病人が出る幕じゃないんだよ!」
 カーストは言い放った。それにしても、とリョウカを引き付けた。
「気に入らないねぇこの髪!あたしと同じ色じゃないか」
 カーストは理不尽な言いがかりをつける。彼女は元来プライドが非常に高く、特に自分の真似をされることが最も嫌いだった。
 そんなカーストのする事は決まっていた。
「あんたは特別にその真っ赤な髪ごと首を切り落としてやるよ!あんたの血でもっと赤くなることだろうね!」
 カーストはリョウカの首筋に鎌をぴたりと付けた。
「兄…様…」
 最早リョウカの命運は尽きかけていた。
「オレの妹からその薄汚い手を放しな、雌狐が!」
 どこからか分からないが、声がした。
「何!?」
 カーストはリョウカから手を放し、辺りを見回した。リョウカはそのまま膝を尽き伏した。
「こっちだぜ!」
「カースト、上だ!」
 アガティオに言われ、上を向くと、そこに声の主がいた。
 大きな炎の翼を広げ、足を紫色の光で包みながら飛翔するジャスミンとその背に乗ったシンが上空にいた。
「こんな所まで空を飛んできただって!?そんなバカな!」
 通常ならば不可能な高度を飛んでいる。しかし、シンの『颯の術』により浮上する能力が上がり、ジャスミンはシンを乗せながらもこれほどの高さまで飛翔する事ができたのだ。
 ジャスミンは落ちかかっていたジェラルドの体を足場まで持ち上げた。それからすぐにカースト達の所まで上昇する。
「はあ!」
 ジャスミンは翼を炎の姿へ戻し、アガティオ目掛けて放った。それと同時に地へ着地する。
 シンはジャスミンの背から飛び降りつつエナジーを発動した。
『雷神の術!』
 カーストに向かって落雷が起こった。
「ちっ!」
 カーストは飛び退いて落雷をかわす。
 シンは着地するとすぐにうつ伏せのリョウカへ駆け寄った。そして抱き起こし、名を呼びかけた。
「リョウカ、おい、リョウカ!」
 リョウカは霞む目でシンの顔を見返した。
「兄様…?」
 非常に弱々しい声だった。昨晩見たあの姿とはまるで別人なほど弱り切っていた。
「そうだ、オレだ。しっかりしろ、リョウカ!」
「…やっと会えたんだ。良かった…」
 リョウカはこれまで大切に持っていたシンの短刀の片方を取り出し、震える手でシンへと手渡すとそっと目を閉じた。
「おい、リョウカ!?リョウカ!」
 シンは急ぎリョウカの呼吸を確認した。弱いがちゃんとしている、どうやら気を失っただけらしい。
「兄さん、しっかり!」
 ジャスミンもガルシアの元へ駆け寄っていた。しかし、既に意識を失っていた。
 辺りにいる仲間や、ロビン達、そしてリョウカまでもが痛めつけられ、気絶していた。シンは内側から沸々と怒りが込み上がる怒りを感じていた。
 シンはリョウカをそっと横たえ、すくっと立ち上がり、再び揃った短刀を抜きはなった。そして険しい目つきでカースト達を睨みつけた。
「貴様ら…」
 刃を向ける。
「絶対に許さねえぞ!」
 殺意に満ちた声で、シンは言い放った。