二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

弓道はるちゃんとその彼氏

INDEX|6ページ/6ページ|

前のページ
 

おまけ



試合が始まるまえ、凛は総合体育館を歩いていて、偶然、遙と会った。
凛は眼を見張った。
「おまえ、なんだ、それ!」
弓道衣を着た遙はびしょ濡れだった。髪からはしずくがポタポタ落ちている。
遙は無表情のまま凛を見て、口を開く。
「二階から水が降ってきた」
「正確には、水をぶっかけられた、だろ!」
ウワサに聞いていた嫌がらせ、を受けたのだろう。
凛の頭に、あの他校の女子生徒の姿が浮かんだ。
遙が言ったことに対し言い返せず、怒っている様子だった。
きっと彼女がやったのだ。
しかし、証拠がない。
凛は手を拳に強く握る。腹が立っていた。けれどもその原因に怒りをぶつけることができなくて、くやしい。
その凛の横で、遙は言う。
「気持ち良かった」
相変わらずの無表情だが、かすかに嬉しそうにも見えた。
「……あー、おまえは水バカだったな」
凛はあきれて、肩の力が抜けた。
ふたり肩を並べて歩きだす。
「水泳バカのおまえに言われたくない。おまえだって水に濡れたら嬉しいだろう?」
「おまえと一緒にはされたくねーわ」
コイツに水をぶっかけても嫌がらせにならないってことを知ったら、どう思うかな。
想像するとおかしくて、凛は軽く笑う。
それから、ふと、何気なくふたたび遙を見た。
遙の横顔。
その表情がいつもと違っていた。
凛のほうに向けられていない眼は硬く、厳しい表情。
こんなことぐらいで動じるもんか。
そう遙が思っているように感じた。
とことん負けず嫌いだ。
「……水に濡れたら嬉しいって言ったって、今の季節だ、それじゃ風邪ひくだろ」
凛は鮫柄学園の白い学ランを脱いだ。
そして、それを遙の肩にかけた。
「着とけ」
「でも、おまえが寒いんじゃないか?」
「オレはいいんだよ!」
ぶっきらぼうに凛は言って話を終わらせる。
眼をそらしていたので、遙がほんの少しだが嬉しそうな表情をしていたのに気づかなかった。






作品名:弓道はるちゃんとその彼氏 作家名:hujio