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Wizard//Magica Infinity −9− 完

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空は曇天、目の先はどこまでも続く荒野。
俺たちは自分達の前に立ちはだかる魔女、ワルプルギスへと向かって一気に駆け抜けていく。

「…っ。操真ハルト、ワルプルギスに勝算はあるの?」
「どうだろう、なんせあいつも俺自身だからね」
「大丈夫!こっちは最強の魔法使いが3人もいるのよ!?いくら最強の魔女だろうと私達の手にかければ楽勝だよ!」
「美樹さやか、あなたは戦ったことは無いと思うけど、あの魔女、私が一度も勝てなかった相手よ?」
「えっ…あ、あぁ…そうなんだ…じゃ、じゃあ苦戦しそうね」

確かに、ほむらちゃんは何度も時間を繰り返してあいつと戦ってきた。しかし時を操る魔法を使う ほむらちゃんが一度も勝てなかった相手だ。苦戦どころか勝機すら危うい。

それでも俺はもう迷わない。

あれは、俺が闇雲に魔法少女から因果を吸収し、具体化した集合体のような存在だ。

それに、俺は まどかちゃんから受け継いだこの力がある。

絶対に無駄にしない。この力は未来を切り開く為の力なのだから。それに…。


「………。」
「ほむらちゃん」
「…何かしら?」


ほむらちゃんは、今だに過去を受け入れてない。
彼女にとって、まどかちゃんの存在はあまりにも大きいものだ。
俺はワルプルギスを倒すと同時に、ほむらちゃんを未来に歩ませるための手助けをしなくてはいけない。
例え…未来に まどかちゃんが存在しないとしても。


「今は、前だけ向くんだ。一緒にあれを倒そう。」
「今更…本当はあなたとの共闘を私は望んでいない、いや、望まない」
「わかってる。君にとって俺は親友の敵なんだからね。それでも、あいつを倒さない限り、君はいつまでも前へと進むことはできない」
「私はっ、まどか が存在しない未来なんて受け入れられないわっ…」
「だったら作れば良いじゃないか、いつ、誰が不可能だと決めつけたんだ?」
「っ!」
「頼む、俺に手助けをさせてくれ」


ほむらちゃんはまだ、納得はしてくれていなかった。
それでも、彼女の力はワルプルギスとの戦いには必要不可欠なんだ。
まだ、それで良い。
あとで必ず説得させてみせる。


「しっかし、さっきからあいつ高笑いしてるだけで全っ然攻撃してこないわね。もしかしてこっちに怖気付いちゃっているのかな!?」

「まぁこっちにとっては好都合−−−」

その時。

『キャハハハハっ!!アッハハハハ!!』

「え?」
「う…嘘」
「気をつけなさい。奴の本当の恐ろしさは…ここからよ」

ワルプルギスを中心に何千何万もの黒い物体が解き放たれた。
俺は目を凝らす。

次第にその黒い物体が形作られていく。

「ワルプルギスは…自分の取り込んだ魔法少女達を具体化できるのよ」

あっという間に目の前には大量の「影」魔法少女軍団が出現し、形勢は一気に逆転されてしまった。

−ワァ~!マホウショウジョダ!−
−タオセタオセ~!−

「さ、流石にあの数は厳しいな…」
「一筋縄ではいかないようだね」

俺達3人と無数に広がる影魔法少女たち。

この影魔法少女達を乗り越えて行かない限り、ワルプルギスには到底たどり着けない!

「俺に任せて!」
「ちょ、ハルト!?」

俺は地面を蹴り、二人より先に前へ出る。

「キャモナシューティングシェイクハンズ!『インフィニティ』シューティングストライク!」
「ヘアァァァッ!!」

影魔法少女軍団に向かって魔力弾を放った。
だがここで予想外の事態が起こる。
−キャァァァッ!!−
−イタイ!イタイヨォ~!−
「あはっ…予想以上に凄い力だ」
黒い物体の一部がぽっかりと消えていく。まるで核兵器を落とされたように、物凄い質量の魔力弾が円型にひろがり、一瞬で影魔法少女達の一部が消滅していった。

「今だっ!一気に駆け抜けるぞ!!」
「ハルト凄すぎっ…あんたどんだけ力を付けたのよ!」
「…っ!!」

このチャンスを逃さまいと俺達は影魔法少女軍団の中を駆け巡る。
「ねぇハルト!このままじゃまずいんじゃない!?」
「気にしちゃ駄目だ!あっという間に囲まれるぞ!!」
「いえ、もう遅いわ」


−ゼンリョクゼンカイ!!−

「っ!!さやかちゃん危ない!」
「え?うわっ!」

後方から高濃度の魔力砲が さやかちゃん目掛けて飛んできた。俺は瞬時にその中間に入りその魔力砲をガードする。

「大丈夫!?ハルト!」
「あぁ。全く痛くも痒くもない」

このインフィニティスタイルは俺の魔力を強化しただけではなく、装甲そのものも強化されているみたいだ。あれだけの高濃度の魔力砲が直撃したというのに身体を覆うクリスタルには傷一つ付いていない。

「あの影魔法少女ね」
「あぁ、覚えているよ。見滝ヶ原市に来る前に俺が取り込んだ魔法少女の因果だ」

俺ははっきりと覚えている。
以前、見滝ヶ原に来る前、あの路地裏で魔法少女から人間へと変えてあげた中学2年生の杖を用いて戦う魔法少女だ。
やはり、ここにいる影魔法少女達はかつて俺が人間へと変えた魔法少女の因果の集まりだ。
俺が解放してあげなければ…!

−アナタト オハナシ シタイナ!ソノタメニハ ボコボコニ シテアゲナイト!−
「ごめん…今、楽にしてあげるから」
『ターン・オン!』

俺はアックスカリバーを反対に持ち、斧に魔力を込める。
それと同時に目の前の影魔法少女が杖をこちらに向けて再び魔力を込め始めた。

−スターライトォォ…!!−
『ハイタッチ!』

「操真ハルト!あれを受ければただでは済まないわ!」
「わかってる!!」

影魔法少女の頭上には先程以上の高濃度の魔力の塊が出現した。おそらくこの空間に飛散している魔力を集めているのだろう。あんなのを受ければ流石に無傷というわけにはいかないだろう。
そしてその瞬間、影魔法少女が杖を振り下ろし、その凝縮されきった魔力弾をこちらへ降り注いできた!

−ブレイカァァァァッ!!−
「解放してやる!!」
『シャイニングストラァァイクッッ!!!!』

巨大化したアックスカリバーを力任せに魔力弾目掛けて振り下ろす!
魔力弾は綺麗に真っ二つに分散し、そして…。
−キャァァァァァ!!−
「…ごめん」
あの影魔法少女と一緒に消滅していった。

「その力…一体」
「はぁ…はぁ…まどかちゃんの祈りと、過去を受け入れた俺の力だ」

流石に普段はクールを気取っている ほむらちゃんも驚いているようだ。だが、まだ油断はできない。
俺達は既に影魔法少女達に囲まれている。

「ハルト!後ろからの敵は任せて!あんたはひたすら前にどんどん進んで行っちゃって!」
『ターン・オフ』
「背中は任せたよ、さやかちゃん!」

両手に剣を構え再びワルプルギス目掛けて進撃する。
真正面から日本刀や西洋の剣を用いて斬撃を放つ影魔法少女の攻撃を受け止め、何人も何人もなぎ払っていく。
−セイヤァァァァァァッ!!−
「ぐッ…ハァァ!!」
−ギャァァァ!!−

−ネェ、オトモダチニ ナロウヨ!!−
「邪魔よ…っ!」

剣と剣がぶつかり合う音、ほむらちゃんの放つライフルの音、魔力砲がどこからともなく飛んでくる音。色々な音が響き渡る。

これじゃあまるで戦争だ。

気の休める所なんてない。