こらぼでほすと 花見2
プラントで、刹那は女房と分かれた。あちらは、そのまま小型艇で組織へ戻る。こちらはシャトル便で地球へ降下だ。「タバコを頼むぜ? ダーリン。」 と、刹那の嫁は買出しも頼んだ。プラントには、刹那の嫁のタバコの銘柄はなかったので、適当なのを買ったからだ。ついでに、ティエリアからメールで、ミレイナに特区のお菓子を買って来い、という依頼も送られてきた。これは、いつものことだから、はいはい、と、刹那も頷く。シャトル便は、オーヴに降下する。そこからエアラインに乗り換えて、特区へ移動だ。時差の関係で、特区へ到着するのは深夜近い時間だ。公共機関が終わっていたら、タクシーでもいいだろうと、空港の到着ロビーへ足を進めていたら、ダコスタが待っていた。
「おかえり、刹那君。・・・・クルマを用意してあるから使ってくれ。きみのリクエストのスケジュールはアスランが携帯端末に送っている。」
まだ、店は開店している時間だから、ダコスタが車を届けに来た。刹那のリクエストは、おかんの独占。それも、ドライブデートだから、クルマは必要だ。以前、デートした時の同型のクルマが用意されていた。それから、明日の予定をダコスタが簡単に説明してくれる。すでに、刹那の使うクルマのナビシステムには、明日の泊る場所までのナビゲートも入力されているし、ニールのクスリについての説明書なんかも一式、手渡された。二日間、おかんの独占ができるらしい。そこからは、寺に滞在して好きにしていいとのことだ。
「ダコスタ、おまえは? 」
クルマのカギを貰って、ダコスタは、どうやって帰るんだろうと尋ねたら、ちゃんと自分のクルマがあるという。
「俺のは駐車場。これは、本宅のスタッフに搬送してもらったんだ。とりあえず、ニールに元気な姿を見せてやってくれ。それだけで、元気になるからさ。」
風邪は、すっかり治っているが、まあ、黒猫が傍に居座ると精神的にも元気になるから、スタッフも、この独占の邪魔をする気はない。べったりしていたリジェネが昨日、歌姫様と旅行に出て、ちょっと肩を落としていた。一応、ハイネがフォローはしているが、ここは、黒猫の出番だ。
さて、寺では、すでに坊主とサルはバイトから帰って来ていた。軽く夜食を食べて、いつもなら、そのまんまベッドに直行だが、本日は起きている。もちろん、ハイネも同じようにこたつに座って深夜テレビを眺めていたりする。
「ハイネ、刹那は、どのくらいだ? 」
「うーん、そろそろ空港には降りてると思うんだが・・・・もう小一時間もかからないと思うけどな。ママニャン、まだ出るなよ? 小一時間あるんだからなっっ。」
そわそわと、台所で何かしらの準備をしているニールは、ハイネの声にビクッとして立ち止まった。戻って来るなら、そろそろ出迎えようかと思っていたからだ。
「悟空、風呂に入れ。」
「そうだな。まだ一時間もあんなら、そうするか。」
一番風呂は坊主が浸かっている。そろそろ出てくるだろうから、次に入ってもらう。悟空は明日も学校があるから、寝かせる準備だけはしておく。まあ、体力は有り余っているから、一晩ぐらい徹夜しても、どうということはないが。
「刹ニャンが玄関入ってくるまで出るな。今、風邪ひいてみろ? 総攻撃だぞ? 」
まだまだ、夜は肌寒い。外で待っていたら、確実に風邪をひくだろうから、ハイネも注意する。
「わかってるよ。・・・おまえも次に入れよ? 」
「ああ、わかってる。」
悟空が風呂場に消えてから、すぐに坊主が戻って来た。ほかほかと茹で上がっているので、とりあえず、小振りのコップに梅サワーなんてものが用意されている。
「座れ。」
「あ、いや、なんか落ち着かなくて・・・」
「座れ。」
「・・・はい・・・・」
坊主がコメカミをひくつかせたので、女房も大人しく隣りに座り込む。これを無視すると、マグナムで脅されるのは目に見えているからだ。
「何の心配があるんだ? 迷子になる年でもねぇーだろ? 」
「・・・心配じゃないんだけど・・・なんていうか・・・こう・・待ち遠しいっていうか・・・」
「ああ? おまえの黒チビバカも極めてんな。ちょっと口つけろ。」
「いや、酒はダメですって。酔ったら寝ちまうから。」
「おまえ、俺の酒が飲めないっていうのか? 」
「誰も、そんなことは言ってません。・・・もう、一口ですよ。」
おら、と、坊主が梅サワーの入ったコップを女房の口元に差し出す。それを女房も、はいはいと口にする。飲んだフリをするので亭主が、そのまんま女房の口につけさせて飲ませてやっていたりする。で、女房のほうも朗らかに笑いながら、口にしていたりする。
・・・なあ、あんたらさ・・・・・
傍に居るハイネは、まるっと無視だ。なんだか、目頭が熱くなってくる。放置されるのは慣れているが、そのいちゃいちゃは二人だけの時にしてください、とはツッコミたいところだ。
女房が、こくっと飲んで、はふっと息を吐くと亭主が、残りを飲み干す。それから、本格的なお湯割りに移行する。「麦、ほうじ茶」と命じれば、ほうじ茶割り麦焼酎が、さくっと出てくる。ハイネの前には、梅干入り蕎麦焼酎お湯割りが、ちゃんと用意される。どちらの好みも熟知しているからのことだ。
「なんとか間に合ったな。ちょっと散りかけているが、いい塩梅だ。」
境内の桜は先日、満開になり、そろそろ風が吹くと散り始めている。ここんところ、温かい日が続いたので、桜が開花してしまった。
「日曜には終わってるんじゃないか? 」
「そうだなあ。まあ、花見なんてさ、要は宴会できればいいんだから、適当に花があればいいんだよ。ママニャン、花見は日曜だからな。」
「ああ、アスランから連絡もらってる。」
せっかくだから、刹那のはぴば祝いも兼ねて、境内の桜で花見ということになった。刹那だけ、なかなか誕生日に、ここに降りられていないから、たまには盛大に祝いましょう、と、アスランが企画したものだ。だから、ケーキは土曜日に焼いてください、と、リクエストされている。まあ、そうは言っても、明日が本命で、ちょうど黒猫が居るのだから、ニールは、明日、小さいのは焼くつもりで準備している。
「ハイネ、次、入れ。ママ、俺、ホットミルクにハチミツ。」
悟空も風呂で茹で上がってきた。さくさくと入らないと、刹那が戻っても入れないから、ハイネも立ち上がる。ニールも、悟空にリクエストされれば、すぐに準備する。
「これ、飲んでから歯を磨けよ? 悟空。」
「わかってる。・・・・俺、明日の朝、刹那メニュー食べたいんだけけど。」
「多目に用意してるから大丈夫。」
朝から刹那の夜食メニューも食べるつもりで、悟空もリクエストする。刹那の好物として用意されるのは、ホワイトソースのかかったオムライスだ。ホワイトソースも、具材たっぷりのシチューみたいなものだから、とてもおいしい。
「あいつ、また、ボロボロで来るんだろうなあ。」
「以前よりは、マシなんじゃないか? 今回はプラントからだから、多少、服が汚れているぐらいだと思う。」
「おかえり、刹那君。・・・・クルマを用意してあるから使ってくれ。きみのリクエストのスケジュールはアスランが携帯端末に送っている。」
まだ、店は開店している時間だから、ダコスタが車を届けに来た。刹那のリクエストは、おかんの独占。それも、ドライブデートだから、クルマは必要だ。以前、デートした時の同型のクルマが用意されていた。それから、明日の予定をダコスタが簡単に説明してくれる。すでに、刹那の使うクルマのナビシステムには、明日の泊る場所までのナビゲートも入力されているし、ニールのクスリについての説明書なんかも一式、手渡された。二日間、おかんの独占ができるらしい。そこからは、寺に滞在して好きにしていいとのことだ。
「ダコスタ、おまえは? 」
クルマのカギを貰って、ダコスタは、どうやって帰るんだろうと尋ねたら、ちゃんと自分のクルマがあるという。
「俺のは駐車場。これは、本宅のスタッフに搬送してもらったんだ。とりあえず、ニールに元気な姿を見せてやってくれ。それだけで、元気になるからさ。」
風邪は、すっかり治っているが、まあ、黒猫が傍に居座ると精神的にも元気になるから、スタッフも、この独占の邪魔をする気はない。べったりしていたリジェネが昨日、歌姫様と旅行に出て、ちょっと肩を落としていた。一応、ハイネがフォローはしているが、ここは、黒猫の出番だ。
さて、寺では、すでに坊主とサルはバイトから帰って来ていた。軽く夜食を食べて、いつもなら、そのまんまベッドに直行だが、本日は起きている。もちろん、ハイネも同じようにこたつに座って深夜テレビを眺めていたりする。
「ハイネ、刹那は、どのくらいだ? 」
「うーん、そろそろ空港には降りてると思うんだが・・・・もう小一時間もかからないと思うけどな。ママニャン、まだ出るなよ? 小一時間あるんだからなっっ。」
そわそわと、台所で何かしらの準備をしているニールは、ハイネの声にビクッとして立ち止まった。戻って来るなら、そろそろ出迎えようかと思っていたからだ。
「悟空、風呂に入れ。」
「そうだな。まだ一時間もあんなら、そうするか。」
一番風呂は坊主が浸かっている。そろそろ出てくるだろうから、次に入ってもらう。悟空は明日も学校があるから、寝かせる準備だけはしておく。まあ、体力は有り余っているから、一晩ぐらい徹夜しても、どうということはないが。
「刹ニャンが玄関入ってくるまで出るな。今、風邪ひいてみろ? 総攻撃だぞ? 」
まだまだ、夜は肌寒い。外で待っていたら、確実に風邪をひくだろうから、ハイネも注意する。
「わかってるよ。・・・おまえも次に入れよ? 」
「ああ、わかってる。」
悟空が風呂場に消えてから、すぐに坊主が戻って来た。ほかほかと茹で上がっているので、とりあえず、小振りのコップに梅サワーなんてものが用意されている。
「座れ。」
「あ、いや、なんか落ち着かなくて・・・」
「座れ。」
「・・・はい・・・・」
坊主がコメカミをひくつかせたので、女房も大人しく隣りに座り込む。これを無視すると、マグナムで脅されるのは目に見えているからだ。
「何の心配があるんだ? 迷子になる年でもねぇーだろ? 」
「・・・心配じゃないんだけど・・・なんていうか・・・こう・・待ち遠しいっていうか・・・」
「ああ? おまえの黒チビバカも極めてんな。ちょっと口つけろ。」
「いや、酒はダメですって。酔ったら寝ちまうから。」
「おまえ、俺の酒が飲めないっていうのか? 」
「誰も、そんなことは言ってません。・・・もう、一口ですよ。」
おら、と、坊主が梅サワーの入ったコップを女房の口元に差し出す。それを女房も、はいはいと口にする。飲んだフリをするので亭主が、そのまんま女房の口につけさせて飲ませてやっていたりする。で、女房のほうも朗らかに笑いながら、口にしていたりする。
・・・なあ、あんたらさ・・・・・
傍に居るハイネは、まるっと無視だ。なんだか、目頭が熱くなってくる。放置されるのは慣れているが、そのいちゃいちゃは二人だけの時にしてください、とはツッコミたいところだ。
女房が、こくっと飲んで、はふっと息を吐くと亭主が、残りを飲み干す。それから、本格的なお湯割りに移行する。「麦、ほうじ茶」と命じれば、ほうじ茶割り麦焼酎が、さくっと出てくる。ハイネの前には、梅干入り蕎麦焼酎お湯割りが、ちゃんと用意される。どちらの好みも熟知しているからのことだ。
「なんとか間に合ったな。ちょっと散りかけているが、いい塩梅だ。」
境内の桜は先日、満開になり、そろそろ風が吹くと散り始めている。ここんところ、温かい日が続いたので、桜が開花してしまった。
「日曜には終わってるんじゃないか? 」
「そうだなあ。まあ、花見なんてさ、要は宴会できればいいんだから、適当に花があればいいんだよ。ママニャン、花見は日曜だからな。」
「ああ、アスランから連絡もらってる。」
せっかくだから、刹那のはぴば祝いも兼ねて、境内の桜で花見ということになった。刹那だけ、なかなか誕生日に、ここに降りられていないから、たまには盛大に祝いましょう、と、アスランが企画したものだ。だから、ケーキは土曜日に焼いてください、と、リクエストされている。まあ、そうは言っても、明日が本命で、ちょうど黒猫が居るのだから、ニールは、明日、小さいのは焼くつもりで準備している。
「ハイネ、次、入れ。ママ、俺、ホットミルクにハチミツ。」
悟空も風呂で茹で上がってきた。さくさくと入らないと、刹那が戻っても入れないから、ハイネも立ち上がる。ニールも、悟空にリクエストされれば、すぐに準備する。
「これ、飲んでから歯を磨けよ? 悟空。」
「わかってる。・・・・俺、明日の朝、刹那メニュー食べたいんだけけど。」
「多目に用意してるから大丈夫。」
朝から刹那の夜食メニューも食べるつもりで、悟空もリクエストする。刹那の好物として用意されるのは、ホワイトソースのかかったオムライスだ。ホワイトソースも、具材たっぷりのシチューみたいなものだから、とてもおいしい。
「あいつ、また、ボロボロで来るんだろうなあ。」
「以前よりは、マシなんじゃないか? 今回はプラントからだから、多少、服が汚れているぐらいだと思う。」
作品名:こらぼでほすと 花見2 作家名:篠義