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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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舞台はエンターテイメント

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「ほむらちゃん、公演、おつかれさま~」
手を振って、舞台小屋から出てきたのは、マドカではなく……。
「なんだ、神マド様じゃないの」
「わたしは神マド様じゃないよ、マドカだよ」
「確かにあなたは、マドカだけど、わたしの知っている、マドカじゃない」
「だって、わたしの知っているマドカなら、羽なんてはえて無いもの」
「なら、後ろに付いてる白い羽、ほむらちゃんにあげるよ」
「結構よ。私には、この黒い羽がありますもの」
「そんなことより、本物のマドカを出しなさいよ!」
「もう、公演が終わって、3時間近く経つのに、全く舞台小屋から出てこないじゃないの!!」
「こんなに寒い中、ずっと!ずっと!外で待って居たのに、なんで神マド様が出てくるのよ!」
「ごめん、ほむらちゃん」
「マドカの振りをして、謝らないで!」
「そんなに怒鳴らないで……」
神マド様は、今にも泣きそうな顔をしている。『ほむら』こと、明美焔(あけみ ほむら)は、
マドカの悲しい顔は絶対に見たくないのである。例え、それがマドカではない、神マド様であったとしても。
「私こそ、ごめんなさい。あなたも、マドカだったのよね」
「べ、別に!あなたのことが好きになったわけじゃないんだからね!!」
と、そこで、マドカが口を開いた。
「ツンデレ?」
「ば、バカじゃないの!!そんなんじゃないんだからね!!」
「えっと……、ほむらちゃん?」
「そんなことよりも、あなた。悪いけど、舞台小屋から、マドカを連れて来てくれない?」
「わかった!ほむらちゃんの頼みなら」
そう言うと、神マド様はニッコリした顔で舞台小屋に戻っていった。
「おっす、お疲れ、焔!」
「あら、お疲れ様、明美さん」
「あ、あたしゃ。何も見てないから!じゃ、そゆことで~」
「キュ~♪」
レビュラーである、アンアンこと杏子(あんず)、真美(まみ)、さやか、そして、舞台監督のQBが、舞台小屋から、ぞろぞろと出て行き、明美焔は、レギュラー陣の後ろ姿を、ただ見つめるだけであった。
公演が終わって、4時間。それでも、明美焔は、挫(くじ)けず、外で待っていた。雪が降ってきても、そんなことは関係ない。彼女は『マドカと一緒に家まで帰りたい』ただそれだけを願っているだけなのだ。たとえ、悪魔に魂を売り渡したとしても、彼女は少女であり、明美焔なのである。
と、なにやら、彼女が物々言っているようだ。
「マドカ、お持ち帰り……。ジュルリ」
『前言撤回だ!!この!変態がああああ!!!!』と、言いたいところだが、私の声は彼女には届かないだろう。
紹介が遅れてしまったが、この私、アララ○は、どういう分けか、マドカ☆マギカの世界に迷い込んでしまったのである。しかも、なぜか、私の姿を誰も認知してくれない。仕方がないので、暇つぶしに、この物語の一部を演じているわけなのだが……。
『○ってなんだよ!!○って!!ちゃんとフルネームで入れろよ!2次創作の作者!!!!」』
さすがに伏字は嫌なので、他の名前を使うとしよう。ベルゼブ○13世……。いざ○……。兵長……。
よし、ここは仕方がないので、リ○○兵長と名乗っておこう!!
『ダメですか……』
なら、仕方がないので、兵長で我慢しようじゃないか!いや、やっぱりダメな気がしてならない……。と、色々考えを巡らす間に、舞台小屋の扉が開いた。
「遅くなってごめん!!ほむらちゃん」
「マドカ~!!」
明美焔は、マドカを見た途端、『あなたは私だけのもの』という顔で、ぎゅっと、マドカを抱きしめた。
「苦しいよ、ほむらちゃん」
「私ったら、ごめんなさい。でもね、あなたが、二度と舞台小屋から出てこないんじゃないかって心配になったの」
そこで、明美焔は、『お持ち帰り』と言う。
「ごめんね、ほむらちゃん」
「うんん、気にしないでマドカ。さっ帰りましょう」
そこで、明美焔は、『はぅ~、おっ持ち帰り』と言う。
「ちょっと、ごめん。マドカ」
明美焔は、円盤状の砂時計から、ハンドガンを取り出し、銃口を俺に向けた。
『まさか!こいつ!!』
銃弾が、俺の頭上をかすめていった。
「気のせいかしら?」
「どうしたの、ほむらちゃん?」
「ごめんなさい、マドカ。そこの壁に、人が居たような気がしたんだけど」
「私には見えないよ?」
「やっぱり、気のせいみたい。さぁ、マドカ。帰りましょう!」
気のせいで、殺されたら、命がいくらあっても、足りやしない。ここは、ひとまず、退却するとしよう。
『だが、忘れるな、明美焔!』
『この屈辱!!後で何十倍にして、返してやる!!そのスカートをめくってな!!』
俺は明美焔を睨んだ後、その場から、離れることにした。
「待ってください!!」
その声に、振り向くと、新レビュラーの百江(ももえ)なぎさが舞台小屋の外に出てきた。
「明美さん、本当にその人はマドカさんですか?」
「何を言ってるの!百江なぎさ。彼女はマドカよ」
「本当に気が付かないんですか?」
「百江なぎさ、やはり、あなたは、倒すべき悪い魔女のようね」
明美焔は、銃口を百江なぎさに向けた。明美焔は、マドカのこととなると、周りが見えなくなる悪い癖がある。
「ちょっと!人の話、聞いてください!!」
百江なぎさは必至に弁解を試みようとした。
「黙りなさい」
が、そんな言葉を、彼女が聞いているはずがない。なぜなら、彼女の頭の中は、マドカのことしか詰まっていないからだ。
「ああ、もう。こうなったら!」
百江なぎさは、ソウルジェムを天に掲げた。が、しかし、何も起こらない。
「嘘、なんで?!」
「変身できないことに気が付かないなんて、あなた、相当なおバカさんのようね」
「人をバカ呼ばわりしないでください!!」
「ふふ、あなたこそ、気づいてないんじゃないかしら」
「QB監督が、変身した後のことなんて、まだ、考えているわけないじゃない」
その言葉を聞いた瞬間、百江なぎさの目から魂が消え、わめき声と共に、地面に膝をついた。
「新レギュラーなんてそんなものよ、百江なぎさ。あなたに同情なんてしてあげないし、マドカのように、あなたのことを好きになれない」
「だから、死んで。百江なぎさ」
「2人とも、もうやめて!!」
そこで、マドカが、やっと止めに入った。
「ほむらちゃん、ごめん……。私、神マド様なの!!」
「嘘!あなたはマドカよ!!だって、羽なんて生えてないじゃない!!」
「違うの!!羽が生えてるのが、本当のマドカなの!」
「そんなの有り得ない!!じゃぁ、私が見てきたマドカって一体なんだったの!!」
「ごめんね、ほむらちゃん。でも、私、ほむらちゃんと一緒に帰りたかったから」
「そう……、そうよね。あなたも、マドカだったのよね」
明美焔はマドカを、また、悲しませていることに気付いた。
「ところで、マドカ?もう一人のマドカはどこに行ったの?」
そこで、百江なぎさが、口を開いた。
「さっき、裏口から帰りましたよ」
さっきまでの絶望はどこへやら……。やはり、百江なぎさは『おバカさん』がお似合いなのかもしれない。
「そう……。なら、あなた達、二人で帰りなさい。私は本物のマドカを追いかけるから」
「やっぱり、行っちゃいましたね」
「そのようですね。じゃぁ三人で帰りましょうか」