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yamatoⅢ 太陽制御の後で 1

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<勝利>
ヤマトは辛うじて勝利を手にした。甲板ですでに息絶えた土門がわずかに微笑んでいる。

  「帰ろう…地球へ。アナライザー、土門を頼む。」

進が静かに言うと誰もが涙を流しながら持ち場へ戻って行った。















地球は真っ赤だった。かつてガミラスの攻撃を受けた時と同じ状態になっていた。ヤマトは防衛軍の指示で月基地へ向かいそこで藤堂と落ち合った。

  「…ご苦労だった。」

藤堂が第一艦橋へ来てクルーを労った。

  「疲れている所申し訳ないが最初の命令を…」

藤堂はそう言いながら晶子が持っていた命令書を読み上げた。

  「宇宙戦艦ヤマトは直ちにコスモクリーナーDを用い地球上の有害な放射能を
   除去する任務を与える。第一艦橋のクルー、及び艦長の命を受けた者は
   任務を遂行しその他のクルーは月面基地にて待機せよ。」

進は敬礼しながら聞いていた。

  「…了解。」(進)
  「古代…すまんな、ゆっくりさせてあげられるのはもう少し先の様だ。
  (クルーを見渡し)地下に放射能が来ないよう、出来るだけ地上と地下の
   開閉を減らしたいのでな…。」

藤堂は疲れ切っていた。傍にいる晶子も顔色が悪かった。聞けば空調を我慢すれば地下都市の電力の寿命が延びるとかなり無理をしていたとの事…

  「長官、お任せください。あの時と同じです。すぐに地上に戻れる日が
   やってきますよ。」

進が藤堂に握手を求めた。藤堂もその手に縋るように握手をした。





藤堂はコスモクリーナーDを積んで月基地へ来ていた。月基地でヤマトに積み替えて南極から追って放射能の除去を行う。雨が降れば除去完了だ。

雲が出来て雨が降ればすべてが回り始める…母なる海が再生のカギだった。




進はそれから各班長と人数調整に入った。技術班と生活班は24時間体制になるので人数多め、反対に戦闘班と航海班、機関室担当はほとんどが月基地待機となった。



  「土門くん…」

ユキは遺体が安置されている医務室の隣の部屋にいた。ここはかつて自分もいた場所…

  「土門くん、ねぇ聞こえてる?」

ユキの甘い声が静かな部屋に響く。

  「覚えてるかなぁ?初対面…最悪だったわ。よく“女かよ”って目で見られる
   事はあってもあれほどはっきりと言われた事、なかったから…。」

ユキはカプセルを開けてそっと土門の首元にドライアイスを置いた。

  「古代くんから前以って“生活班に納得してない”って聞いてたから驚かな
  かったけど…小学生みたい、って思っちゃった。だって思った事がすぐ口か
  らポンポン飛び出してくるんですもの。」

ユキは話しかけながら笑った…が瞳から涙がポロポロ落ちる。

  「だけどそんなところが古代くんにそっくりだったのよ。ほんの少し前だけど
   随分前の古代くんを見てるようで面白かったわ。私も一緒になって言い合い
   しそうになったもの。頭と体が直結で…人が止めるのも聞かず…どうして
   飛び出しちゃったの?戦闘が落ち着いてから見に行ってもよかったのに…
   古代くんの落ち込み様…見ていられないわ。土門くんに期待してたから。」

ユキはそっと涙を拭いた。

  「さぁ…下りるわ。お疲れ様でした…」

戦死者は負傷者の後ヤマトを下りるようなっていた。ユキが語りかけてると扉が開き、進が入ってきた。

  「古代くん…」

進は何も言わず座っているユキの横に立った。

  「お別れを言いに来たんだ。」(進)

進はユキの隣に座り土門に話しかけ始めた。ユキはその言葉に耳を傾けた。

  「コイツを見てると沖田さんに反抗してた俺を思い出してたんだ。なにも知らず
   ただ憎しみだけをぶつけていた頃の…だから戦う事はどういう事なのかを
   艦底から勉強してほしかったんだ。一番基礎となるところからね。こいつ、
   意味分かってくれたかな?」

進は涙声だった

  「バカだよなぁ…死んじまったらなんにもならないのに…」

進がつぶやくと

  「そうよ、古代くん…死んじゃったらなんにもならないの。」

ユキの手が進の手を包んだ

  「土門くん見てて…わかったと思う。自分がどう見えてるのか。」

ユキの言葉に進はハッとした。いつも見送るユキの眼に映る自分なんて考えた事がなかった。









  
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 1 作家名:kei