yamatoⅢ 太陽制御の後で 1
一人ひとり防衛軍のカバーをかけて遺体が運び出された。クルーは敬礼で送り出す。次に月基地待機組が第三艦橋から下りて搭乗口は閉まった。
しばらくするとドッグは真空状態になりヤマトは再び宇宙空間に出て放射能を除去するために地球へ向かった。下りたクルーと藤堂が敬礼でヤマトを見送る。
「また…ヤマトに救われた…ありがとう。」
藤堂はヤマトを見送ると目頭を押さえながらつぶやいた。
ヤマトの第一艦橋は静かだった。
生活班は通信士の相原を除き時間で担当を分けるために食堂に集められていた。技術班も同じように担当を決めるため側面展望室に集められていた。
「まず24時間体制になります。5人体制で6時間勤務、1時間休憩…が無理の
ないローテーションかしら…。多分、技術班も同じローテになると思います。
私たちの仕事は残ったクルーの生活一般のバックアップです。5人体制ですが
1人は休んでもらいます。真田さんの試算で放射能の除去は以前より早く
済むと出ています。…まぁ以前の放射能と違って太陽からの有害な紫外線を
防げれば大丈夫だろうという事なので…。食事の支度も人数が減った分
作る量も少なくて済みますが作る人数が少ないので忙しくなると思います。
よろしくお願いします。」
ユキがクルーに頭を下げる…そして
「みんなが知っているように残念ながら土門くんが戦死しました。
とても明るくて…元気で…みんなを和ませてくれました…私も弟の様に…
かわいくて…今回は最初に白兵戦がありこの食堂が戦場になりました。
一番戦闘から離れている私たちが戦わなくてはいけないと言う事からも
今回の旅の厳しさを最初から刷り込まれたような気がします。後少しで
地球に戻れます。月で待っているクルーの分もしっかり働きましょう。
え~、まずA班から勤務していただきますが早速食事の準備をお願いし
ます…それと私は医務室と第一艦橋に詰めていますので何かありましたら
いつでも呼んでください。相原くんは第一艦橋にいます。一応、二人で交代
しながら休みます。シフトは特に決まっていませんがどちらかが必ず艦橋か
医務室にいるようにしますから…。」
ユキはテキパキと班員に指示を出した。
生活班と同時に技術班も稼働し始めた。久しぶりにみるコスモクリーナーDは大きくそれだけパワーもあった。各国で放射能除去装置は作られているが電力を消費するので使用できずにいた。ヤマトが地上の放射能を除去して雨が降れば地上の熱が冷めてオゾン層がしっかりできれば電力の供給もできると判断。早急にコスモクリーナーDを作動させる必要があった。
「前回は地中の放射能除去までが我々の仕事であったが今回は表面上の除去
のみ、となる。雨が降れば次のポイントへ行き早急に除去作業に入る。
表面がすめばそこを管轄する大陸が細かい除去作業を行うという事だ。
なので今回は休みなく除去作業を行う。少し人数も多めに設定してある
ので休憩は大目にとってほしい。」
真田が人数割りをしている間に技術班のメインクルーがコスモクリーナーDの点検をしている。真田はユキの時の事があったのでミスのないよう、しっかり点検するよう伝え第一艦橋に戻って行った。
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 1 作家名:kei