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yamatoⅢ 太陽制御の後で 3

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二人きりの訓練はすぐに艦内に知れ渡った。

  「ここ、いいか?」(中野)
  「いいわよ。」(美樹)

中野が夕食を取りに食堂へ来た時、美樹が夕食を食べていた。

  「少ないじゃないか?」(中野)
  「男性と同じ量食べてたら太っちゃって体が動かないわ…昨日全く動けな
   くって…少し反省しているの。」

美樹は自分の身体の事など気にしてなかったが二日間全く動けない自分にイライラしていた。

  「訓練生の時はこんなじゃなかったのに…いつの間にか自分に甘えていた
   のね…本当、このままじゃ防衛軍クビになっちゃう。」(美樹)
  「そうか、どうだ?コスモガン。」(中野)
  「そうそう、古代艦長、ってすごいわね。コスモガン見ただけで中野君の
   カスタマイズ、って判ったわよ?」(美樹)
  「古代艦長はなんでもお見通しだ。しっかりしろよ?普通、個人的に訓練
   してもらえる人なんていないんだから…俺が訓練してもらいたいぐらい
   だよ。」(中野)
  「やっぱりそうよね?自分でも思うわ、私ってラッキーだな、って。」

美樹は幸せそうな顔をした。中野はその顔を見逃さずに言った。

  「勘違いすなよ?艦長には婚約者がいる事を忘れるな。」

中野は忠告するように少し強い口調になった。

  「…わかっているわ。」

美樹も語尾が荒くなる。

  「一部で誤解されてるみたいだ…」

美樹はドキっとした。

  「…気をつけろよ。ちゃんと忠告したからな。」

中野はそう言うとさっさと食べて食堂を出て行った。







  (私と古代艦長と…誤解?)

美樹はちょっと嬉しくなった。今まで雲の上の人だと思っていた人とうわさになるなんて…そう思うだけで舞い上がってしまった。

  (わかんないわよ?森さんより私の方が…なんて…ひょっとするとひょっと
   しちゃうかもしれないわ…)

美樹は自室に戻るとコスモガンを手に取った。

  「頼むわよ、今日は90%越えしたいわ。」

時間を見ると昨日と同じ時間になったのでいそいそと射撃訓練室へ向かって走った。






  「…え…」

息を切らせて訓練室からでた美樹に進が厳しく言った。

  「もう一度言う…やる気がないなら来なくていい。私も暇じゃなんだ。」

的中率が80%を切ってた。

  「待ってください…もう一度お願いします。」

美樹が涙をいっぱいためて訴える。

  「戦闘にもう一度はないんだ。いいか?もし白兵戦で林田が負傷したら…
   それを庇おうと別の者が犠牲になる可能性がある。考えた事、あるか?
   林田は甘えがあるんだ。自分じゃなくても大丈夫だろう、とか誰かが
   やってくれるだろう、とか…。」

林田と水田の面影が重なる。

  「戦闘に赴き…戦わずして散って逝ったパイロットの気持ち…今の林田には
   理解できないだろう…」

進はそう強く言うと訓練室を出て行ってしまった。









  「林田」

射撃訓練室でひとり泣いている林田の所へ中野がやってきた。

  「バカ、見にこないでよ。かっこ悪いでしょう?」

林田は入ってきた中野に背を向けた。

  「汗かいただろう?早く着替えないと風邪引くぞ?自己管理も仕事の内だ。
   ほら、部屋に戻ろう。」

中野が左腕を引っ張ると林田は素直に立ち上がった。

  「私、甘えすぎ、だって。」

美樹がポツリと漏らした。中野は黙って聞いている、

  「ちやほやされてたからな、お前。」(中野)
  「かってに向こうが…」(美樹)
  「女性で艦載機のパイロット…小柄できゃしゃに見えれば誰だって声を
   かけるよな。普通に卒業したって女性と言うだけで目立つから式典にも
   声を掛けられる…お前は大いなる勘違い女になってた、って事だな。」

さすがに同期の言葉は遠慮がないからグッとくる。

  「知ってるか?艦長のフィアンセ…艦載機乗りこなすらしいぜ?」(中野)
  「うそ…そうなの?」(美樹)
  「まぁ訓練の時に“乗れないと困る”と自分で判断して乗りこなす、と言う
   最低限の事だけは出来るそうだ。戦闘となるとまた別だけどな。」(中野)
  「びっくりした…戦闘に参加するのかと思った…。」(美樹)
  「戦闘中は医務室に詰めてるだろ。看護士なんだから。」(中野)
  「…やけに詳しいわね。」(美樹)
  「古代艦長と一緒になると誰もがお相手さんの話を聞きたがるんだよ。
   だから近くにいるとおのずと耳に入って来るわけ…ほら、風邪引くぞ?
   部屋に戻ろう。」

中野が美樹の腕を引っ張って居住スペースへ向かった。









作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 3 作家名:kei