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yamatoⅢ 太陽制御の後で 6

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  「まだ痛い?」

ベッドの中で進がユキの手をみて言った。

  「アザは残っているけどもう痛みはないわ。アザが消えるまでは包帯で
   隠そうと思ってるだけ…」

マークとの事件の後名古屋に行った時進はユキを抱けなかった。もし抱く事でマークとの事を思い出してしまったら、ユキの傷が深くなるのでは、と思ったから…


進はユキの素肌を全身で感じていた。








  「夜はどこか食べに行こう。」

ブランチになってしまった食器を片付けているユキに進が声を掛けた。

  「え?どこへ?」

ユキはどこかの居酒屋だと思い軽く返事をした。

  「ナイショ。少しいいもの着て出かけよう。」

進が“スーツ、着れるかな”とつぶやいた。

  「古代くん、スーツ着るの?じゃぁあのツーピースにしようかな。」

ユキは両親に挨拶行った時のスーツを思い浮かべた。

  「うん、いいね。じゃぁさぁこれ、着けて行って。」

進がポケットから袋を取り出してユキに渡した。その封筒は少し重たかった。ユキはその封筒を手に取り中身を出した。

  「古代くん、これ…すっごく高いのよ?本物なの?」

ユキの手の上に載っていたのは本真珠のネックレスだった。

  「本物だよ。ちゃんと証明書があったもん。…ほら。」

進が別のポケットに入っていた少し古臭い証明書を見せた。

  「ユキが出張の時三浦の地下都市に行ったんだ。引き出しの奥みたらそれが
   あって…もったいないからユキにしてほしい、って思ってさ。」

進がユキの手からとっていつもつけているネックレスを外し真珠のネックレスを付けた。

  「うん、似合う。よかったよ、お蔵入りにならなくて。」

進は満足そうだがユキは慌ててこう言った。

  「ダメよ、古代くん。これ、きっとお父さまがお母さまにプレゼントしたか
   お母様がご実家を出る時にご実家からもらったものかどちらかだと思うわ。
   そんな大切な物いただく事できないわ。それに、とても高い物よ?こんな
   大きな粒だと50万以上すると思う…」

海が消滅して天然の真珠は摂れなくなっていた。そのため本真珠は粒の大きな物だと100万ぐらいは普通だった。

  「バカだなぁ、ユキ以外にあげる人いないだろ?それにそんなにすごい
   モノならもっと早く見つけてユキに上げればよかったよ。」

進はそう言うとハンドミラーを持ってきてユキに持たせた。

  「ほら、すっごい似合ってるでしょ?」
  「古代くん、ありがとう。」

ユキは素直にお礼を言った。









  「ここさ、帰って来る時すげぇきれい、って思ったところだったんだ。」

そこはヨコハマの工業地帯が見えるところだった。

  「ここが見えるところの食事ってここぐらいしかなくてさ。食事もおいしい、
   って南部が言ってたから間違いないと思うよ。」(進)
  「南部くんが言うならお墨付き、って事ね。」

ユキがそう言ってにっこり笑う。店に予約を入れておいたから二人が付くと係員がすぐにやってきて席に案内してくれた。

  「何を頼んでいいかわからなかったからコースで予約したんだ。食べられな
   ければ無理しなくていいから…ゆっくり食べて。…飲める?」

進がユキの体調を気に掛けて聞くと

  「今日はとっても気分がいいわ。少しアルコール、頂こうかしら?」

進はおすすめのシャンパンを頂くことにした。








作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 6 作家名:kei