二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 花見4

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
昨晩、久しぶりに、酔うほどに飲んだ。量は、それほどではないが、前後不覚になるまで飲んだのは久しぶりだ。それも相手は、黒猫で、そのお祝いができるから、ついつい盃を重ねてしまったのだ。二日酔いするほどではないが、目を覚ましたら、ぼおっとしていた。光の加減では、すでに朝というには遅い時間らしい。


・・・・チェックアウト、何時なんだ?・・・・


 よろよろと起き上がって、居間のほうへ辿り着いたら、黒猫が障子を開け放って転がっていた。足音で、こちらに振り向いている。
「・・・あー・・・刹那・・・今、何時だ? チェックアウトの時間は大丈夫か? 」
「チェックアウト? 知らないが問題はない。どうせ、明日のことだ。」
 するっと黒猫は起き上がり、背伸びをする。へ? と、ニールのほうは、口をポカンと開けた。
「いや、一泊だろ? 」
「二泊だ。俺は、二日間と言ったはずだが? 」
「だから、二日だと一泊だろ? 」
「まだ、十五時間ぐらいしか滞在していない。四十八時間だと、明日の夕方までになる。」
「はあ? 二日って、そういう二日なのか? 」
「当たり前だ。これから食事して、プラモデルを探しに行くぞ。それでいいか? 」
「・・あ・・うっうん・・・え?・・・ここに二泊もすんのか? 」
「あんたを二日間独占する。四十八時間だ。」
 丸々二日というと、刹那の言い分は正しい。ニールが考えていた二日は日付の話だ。時間単位なんて念頭にもなかった。すっかり民間人なニールは、時間単位で動くことがなくなっている。刹那は、時間単位で物事を考える。組織では、それが常識だ。四十八時間というと、そういうことになる。
「せっかく、スポンジ焼いたのに。」
「たぶん、悟空が食ってるだろう。・・・日曜に、ちゃんとしたのを焼けばいい。」 
「まあ、そうだけどさ。・・・・おまえ、朝飯は食ったのか? 」
「いや、あんたが起きるのを待っていた。それほど空腹じゃなかった。」
 時計は、すでに正午になろうという時間だ。何やら足音がするから食事の準備をしてくれているのだろう。何にもしない時間というのは、ニールにしても珍しい。障子の向うへ視線を移して微笑んだ。そこにも、満開の桜だ。風で流れてきた花びらが畳の上にも舞っている。
廊下に出て、そちらを眺めた。少し肌寒い空気だ。
「刹那の花はキレイだな。」
「あんたの花もあるんだろ? 」
「俺か? たぶん、桃の花なのかなあ。見たことがないけど。」
 ニールの誕生日に贈られる花はダントツで、バラだ。なぜか、みな、お祝いの花にバラをくれる。だから、季節の花となると、店で飾られている桃の花なんだろうか、という漠然としたものしか思い浮かばない。
「それなら、来年は桃の花を見よう。あんたの花も見てみたい。」
「その時期に、おまえさんが降りてこられたらな。」
 大きな桜は露天風呂にあるのと同種で、長く枝が垂れ下がっている。風でゆらゆらと揺れて、花が零れていく。常緑樹の木と合わさってキレイな景色だ。特区は季節が四つあるから、季節ごとの花が咲く。季節で色も形も違うものだから、飽きることはない。
「おまえさんと、こんなことができるのは平和になってるってことなんだろうな。」
「連邦の創生が終わったら、どうなるかわからないがな。」
「次のオフはロックオンと、花でも眺めてくればどうだ? あいつも、こういうのは喜ぶんじゃないか。」
「どうだろう、あいつに、こういうものが理解できるのか謎だ。」
「いや、ラッ、ロックオンのほうが一般社会に居た時間は長いから、こういうのは楽しむと思うぜ? 俺は、『吉祥富貴』に居着いてから理解したからな。」
「推奨はしてやるが、無理だろうなあ。」
 刹那の嫁は、そういうことより実際の裸のふれあいのほうを好む。時間があればやりましょうの人だ。同じ容姿だが、刹那のおかんとはやることが、まったく違う。どちらも唯一、共通しているのは刹那のことを愛してくれているところだろう。



 たっぷり二日間、べったりと親子猫は過ごして寺へ帰った。それから、刹那の祝いを名目にして花見もやった。翌日、刹那はニールが命じたようにアザディスタンへと挨拶に出かけた。動物園の虎は帰ってから、また週末に、ということになっている。



 刹那がラボに顔を出した時に、デュナメスとアリオスの降下についての打ち合わせはした。予定では、五月ごろにロックオンとアレルヤが本体と共に降下する。どちらの機体もラボに預けることになっている。仕様変更している部分や正確なMSの容量やら、整備用の説明書などと降下ルートを刹那がデータチップで運んで来た。それを確認しながらミーティングをやっている。
「とりあえず、ラボの格納庫に場所は用意してあるから問題はないね? 虎さん。」
「二機ぐらいなら空いてるから好きなところへ下ろしてもらえばいい。今度は、生体認証は外してあるから、うちのが適当に動かして整備もしておく。」
「あ、僕、キュリオスに乗りたい。変形型は初めてだ。」
 大明神様は、キュリオスに興味深々だ。キラが搭乗する機体は、パーツの変更はできるが変形はしないものばかりだからだ。太陽炉を外してあるから動力も蓄電させて使う。こちらで、蓄電させてやればいいから、適度に動かしても問題はない。
「でも、キラ、人目のあるとこじゃ乗れないからな。やるとしたら深海だ。」
 ハイネが、そこいらは注意だ。存続していることは知られているが、居場所は知られていないし、古い機体とはいえ、トップシークレットのカタマリだ。他の国に知られるヘマはまずい。
「わかってるよーハイネ。」
「しばらくは実戦投入する用件もないから、まあ、遊ぶにはいいかもしれんな。よその機体も乗りこなせるにこしたことはない。ただし、ママニャンには内緒だぞ? あいつ、デュナメスはダメみたいだからな。」
「それは問題ないだろう、ハイネ。ニールはラボには出入り禁止だ。基本、別荘もそうだから、あまり顔を出すこともないだろう。」
「まあ、そうだけどさ、念には念を入れておかないと。」
「そっちは、緘口令を敷くさ、ハイネ。それより、アザディスタンのほうは問題はないのか? 国家代表なんだろ? 王宮の警備は厳しいんじゃないのか? そのお姫様のスケジュールは? 」
 ニールは気楽に命じているが、実際、国家代表の居る王宮に不法侵入する。それは問題はないのか、アスランは心配している。一応、こちらにある限りのデータはフリーダムに転送してあるが、実際のところまではわからない。
「うーん、まあ、ぶっちゃけ、貧乏国家だからさ。警備っていっても人間だけなんだよ。それに、刹ニャンは一回、侵入してるから場所もわかるんだってさ。スケジュールは問題ない。しばらくは、王宮に居るはずだ。」
「それならいいか。」
「刹那、浮気? 」
「ちげぇーよ、キラ。表敬訪問っていうか、対人折衝の練習みたいなもんらしいぜ。ママニャン的には、刹那のことを心配してくれてる友達スタンス。」
「まあ、黒ちびにはいいことじゃないか。交渉だけで世界と渡り合ってるマリナ・イスマイールは、対極の人間だ。話をするのは、いい経験になる。」
作品名:こらぼでほすと 花見4 作家名:篠義