業火のように
気づいて欲しかった。自分は彼を追いかけることはできないけど、待っていることならできるんだと。
まともに他人と人間関係を築けない彼と、居心地のいい関係を保っていきたかった。
憎しみや殺し合いじゃない。嵌めたり出し抜かれたりでもない。もっとやさしい関係を。
「僕は、あなたの友人になりたかったんです」
もう来ないかもしれない。プライドの高い彼を傷つけてしまったから。
そしたら、本当は同居を望んでいる癖にいつまでも躊躇っている優しい恋人に、お願いしてみようか。兎小舎のように小さい部屋も、気まぐれに占領する存在がいなくなると、広すぎて寂しい。
「僕は…、僕の方こそ、本当に欲張りだ」
貪欲さはいつかこの身を焼くだろう。わかっていても、手放すなんて絶対にできないのだ。