【腐】恋愛妄想疾患【亜種】
客間で煙草をくゆらすアンバーに、アカイトはコーヒーを注ぐ。
「カイトとは、仲良くやれそうかい?」
突然の質問に、危うく手を滑らせるところだった。
「えっ、あ、はあ。まあ」
アカイトの動揺に気づかない様子で、アンバーは煙を目で追いながら、
「こんなことを言っても仕方ないのだけれどね・・・・・・君が男性なのは残念だよ。女性なら、カイトの伴侶として迎えたのに」
しみじみと言われ、アカイトは固まってしまう。
「いや、馬鹿げたことだと、自分でも分かっているよ。けれどね、君なら彼の痛みを理解出来ると思うんだ。彼の不幸な境遇を知るとね」
アンバーは切々とカイトの「不幸な境遇」を語るが、アカイトの耳には半分も届いていない。
「カイトは君を慕っているようだし、君達は良い友人になれると思うんだ。押しつける気はないが・・・・・・どうだろう? カイトと仲良くなれそうかい?」
「え? あ、あああ、えっと、はい、あの・・・・・・はい・・・・・・」
アカイトは目を泳がせ、ドモリながら頷いた。けれど、アンバーは何も気づかないようで、アカイトの手を取り、
「ありがとう。そう言ってもらえると、僕も嬉しいよ。僕はね、君達人形にも、幸せになる権利があると・・・・・・」
滔々と流れるアンバーの言葉も耳に入らず、アカイトはひたすら、ガーネットかカイトが戻ってきてくれることを願っていた。
終わり
作品名:【腐】恋愛妄想疾患【亜種】 作家名:シャオ