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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 14

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 ウィズルは言った。長生きが当たり前、それこそ万年もの月日を生き抜いたものにのみ死が訪れるレムリアにおいて、千年すらも生きることなく事故で死んでいった父親。そして、生まれつき病を持ち、そう長くは生きられぬ体であった母親。
 この二人の間に生まれたピカードはこれから先両親のいない孤独で、途方もなく長い人生を歩まねばならない。レムリアにおいては縁遠い死別の悲しみは誰の目にも、心にも明白であった。
「しばらく一人にさせておいてやってくれ。あいつの友達のみんなは私の家に、お茶でも振る舞おう」
 ロビン達一行はウィズルの言うとおりに、その場を立ち去ろうとした。
――……ード――
 ふとピカードの耳に呼びかけるような声が聞こえた。ピカードは驚き辺りを見回す。
――ピカード…――
 今度ははっきり聞こえた。確かに何者かが彼を呼んでいた。
「その声は、まさか…」
 ピカードは前を向いた。
 そこにはなんと死亡し、埋葬されたはずのネティスの姿があった。
「母さん!」
 ピカードの叫びにロビン達は立ち止まった。
「母さん、死んだなんて嘘だったんだね!会えて嬉しいよ!」
 ロビン達から見れば墓に向かって一人で喋っているようにしか見えない。
「ピカード、ついにおかしくなっちまったのか…?」
 ジェラルドが言った。
「そんな言い方は止せ、ジェラルド」
 シンは咎めた。
「オレもあいつのように親を失ってる。深い悲しみに打ちひしがれた時、人は誰しもああなるものさ…」
 他の者には見えないが、確かにそこにはネティスの姿があった。ピカードにしか見えないのである。
 ピカードにのみ見えるネティスは微笑みを見せた。そして何やら言葉を発しているかのように口を動かしている。しかし、その声は聞こえない。
「母さん、一体何を言ってるの?」
 声が届かないと知ったのか、ネティスの幻影は悲しい顔をして、消え始めた。
「待ってよ母さん!僕はまだ一人には…!」
 ピカードの耳に再び声が響いた。
――まだ…、………の…ね。や……げ…さ…い、ピカード!――
 途切れ途切れであるが、ピカードに伝えることを伝えると、ネティスは悲しい顔のまま消えていった。
「待ってくれ!母さん、母さーん!」
 ピカードは再び地面に視線を落とした。するとそこには足跡が残っていた。ネティスはまだ現世に止まっているようだった。
「ピカード、大丈夫か?」
 心配し、ロビンが訊ねた。
「行こう…」
 ピカードは呟くように言った。どこへ行くつもりなのか、訊ねる前にピカードはウィズルへ指示を出した。
「叔父さん、ルンパさんに伝書鳩で連絡を、それからみんなは僕と一緒にハイドロ様の宮殿へ」
「ピカード、今お前は心に大きな傷を負っている。無理はしない方が…」
 ガルシアは心配して休むように促した。
「僕、さっきまで母さんに会っていました。けど、母さんは悲しそうな顔をしていました。今は悲しむときではない、僕の役目を果たす時なんです。だからきっと悲しそうな様子だったんでしょう」
 ピカードにもう迷いはなかった。死んだような目には生気を取り戻し、決意を新たにしていた。
「行こう、みんな。世界を守れるのは僕らしかいない!」