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喫煙バカップル

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「……我輩はジッポを返せと言ったはずだが」
「ああ……貴方、手入れがいいですね。いい味になってきてます。これ、いつのでしたっけ?」

 存在を忘れていた、という顔をして手の中でジッポを弄ぶ。鈍く銀色に光るそれはそれなりに長い付き合いである。

「10年程のはずだが……そういえば貴様自分のものはどうした」
「自宅で使っていますよ。貴方が外で使っていると、私が持ち歩くわけにはいかないでしょう」

 揃いだとばれてしまいますよ、と付け足すローデリヒも少し興奮気味であるように見えた。握り締めたのか、手渡されたジッポは少しぬるくなっていた。

「既に色々ばれているような気もするがな……」

 先のシガーキスの直前、足音が聞こえていた。耳を信じるならば恐らくは小柄な男だろうが、空気を読んで入室を諦めたようだった。総合して本田あたりだろうか。

「知られたところで不都合もありませんしね。ところで、今晩ディナーでもいかがですか」
「貴様の奢りなら行ってやらんでもない」
「ではそれで。部屋にメッセージを入れておきましょう」

 私は吸い終わったので、お先に失礼しますね。と箱を返してきたのでそのまま持たせた。コーヒーのフレーバーなど吸っていたらいちいち思い出しそうだ。
 来たときと同じ、いや、少し速めの等間隔で革靴の音が去っていく。いかに我輩とて、足音だけで区別できるのは特定の人物だけだ、ということをローデリヒは知らない。そして足音に迷いがないことに苦笑した。迷ってないというのは、嘘ではなかったようだった。

「ディナーの誘いくらいもう少しスマートに出来ぬのか、あいつは」
作品名:喫煙バカップル 作家名:くきや