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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)1

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  「古代、いよいよだな…」

沖田が立ち上がった。進も立ち上がる。

  「沖田艦長…」

進がすがるような眼で沖田を見た。

  「しっかりしろ…ここからが本番だ。島の為にもこの作戦は絶対に成功させ
   なくてはならない。地球を水没させないための最後の手段だ。アナライ
   ザーのシステムは?」(沖田)
  「OKです」

進が短く答える。

  「よし…発進準備を整えろ。準備出来次第地球へ向かう。藤堂には報告済みか?」

沖田が確認すると

  「ポイント到着後、冬月が迎えに来ます。」(進)
  「よし…では頼む。」

沖田がそう言うと進は敬礼し艦長室を辞した。







  「太田、アクエリアスは地球まで何時間で到達する?」

進が第一艦橋に降りると太田は第二艦橋から戻っていて自席に座っていた。

  「後4時間です。アクエリアスを離れてすぐ小ワープすれば時間に余裕が
   あります。」(太田)
  「ポイントは計算済みです。」(ユキ)

二人から報告を受ける。ヤマトと沖田の命は後4時間しかない…。進はその意識を振り払えない…進は一瞬唇を噛んで気持ちを奮い立たせた。

  「ヤマト、地球へ向け発進!アナライザー、艦を揺らすな。」(進)
  「了解デス。任セテクダサイ。」

いつもはいろいろなランプを点灯して話すアナライザーだが今回ばかりは違っていた。黄色のランプが点きっぱなしだった。感情のないロボットと違いアナライザーは自分の気持ちをランプで示す。危険な物を積んでワープをしなくてはいけないこの任務に細心の注意を払っているのがわかる。

  「頼むな…」

進はそっとアナライザーの頭を撫でた。





その頃機関室も大騒ぎだった。トリチウムが万一機関室に入って来たら…波動エネルギーと融合してしまったらヤマトはひとたまりもない…今、ここでそれが起こるかもしれないのだ。機関士達は一人一人が自分の持ち場を守ることに徹していた。

  (父さんはここを守って死んだ…だけど僕はここで死ぬ訳にいかない。
   もう一度青い地球に帰るんだ!)

太助の額には汗が流れている。太助はその汗を拭きながら溢れそうになる涙も一緒に拭いた。

  (父さん見てて…ヤマトを守って!)

誰もが何事もなく地球へ戻ることを祈っていた






  「ヤマト、発進!」

全てが整いヤマトがアクエリアスの荒れている海を出港した。アナライザーはいくつものコードで操縦席とつながっている。そのおかげで荒れている天候でも全く揺れずアクエリアスの海を飛び立つことができた。



一瞬第一艦橋にほっとした空気が流れた…と思ったらユキのレーダーに多数の未確認飛行物体が確認された。

  (くっそ…最後まで手を緩めない、って事か!)

戦闘体制を整えようとする進に沖田が一括する。

  「ヤマトはトリチウムを積んでいるんだぞ?動く水爆のようなものだ!
   一発でも受けたらひとたまりもない!一刻も早くワープするチャンスを探せ!」

しかしディンギルの戦艦はヤマトを待ち構えていた様子でぐるっとヤマトを囲むように戦列を整え砲門がヤマトを捉えていた。

  「敵、戦闘態勢に入りました!」

ユキの悲鳴のような報告が第一艦橋に響く。進は絶体絶命と思い目を閉じた。

  (ダメだ…最後のチャンスを活かせないのか?島…助けてくれ!)