島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)3
<帰宅>
「兄ちゃん!」
次郎が棺に駆け寄ってきた。後ろから島の両親がゆっくり歩いて来た。
「大介…帰ろうか。」(父)
「…帰ろう。ごちそう用意してるの…全部食べ切れるか分からないぐらい。」
母がそう言うとメインクルーを見た。
「みなさまでいらっしゃいませんか?大介は…よく皆様の話をしてくれま
した。古代くんはよく来てくれたけど他の皆様はいらしてくれた事、ない
ですものね…大介と…最後の食事をしていただけませんか?そして…
あの子…そのテレサさんとの事、なにも言わなかったので教えてほしいん
です。大介が幸せだった事…私達にも教えて下さらないかしら?」
母の眼は真っ赤だった。
「ここに来る前からそう決めてたんです。大介と一緒に来てください。」
母は父の顔を見てにっこり笑うと
「遠慮しないで来てください。古代くんは知ってると思うけど(妻を見て)
料理かなりうまいので…。」
父の言葉に進は頷いたが
「いいのですか?お邪魔して…」(進)
「あの子…しんみりしたの、嫌いなんです。それは皆様の方がよくご存じだと
思うけど…」(母)
「すみません、ではお言葉に…甘えさせていただきます。」(真田)
クルーはみんなで頭を下げた。
「せーの」
クルーが全員で島をエアカーから下し島の実家のリビングの奥の部屋に下した。
「大介、お帰り。みんなでご飯にしましょう。」
リビングのテーブルにはラップをかけてすぐに食べられるように食事が用意されていて母はエプロンをかけると急いでコンロに火をつけた。しばらくするとお肉を揚げるいい匂いがして来た。
「お父さん、出来たら運ぶから先にあるもので始めてくれるかしら?」
母が台所から叫ぶと父は次郎に
「次郎、冷蔵庫からビールを持ってきてくれるか?」
と言ってテーブルに伏せてあったグラスをクルーに配った。
ビールをグラスに注ぎ
「献杯」
真田の一言で誰もが静かにグラスを少しだけ掲げビールを飲んだ。進は今までで一番苦い、と思った。
(そうだ…初めてビールを飲んだ時…島と一緒だったな。兄さんのカードで
買ったんだ。あれから何年経つんだ?イスカンダルから戻って来た時も
ここで…島の家族とビールを飲んだっけ…)
進は自分の視界が涙で揺らぐのがわかったがその涙をこらえる事が出来ずどんどん溢れてきた。
「島…初めて飲んだビールより苦いよ…」
進がポツリ呟くと相原が我慢していた涙をこらえきれず流しながら
「僕を…見送ってくれる時だった…古代くんが守さんのカードでビール買って
来たんだよね。レジ通るかヒヤヒヤもんだった、ってあの時言ってたね。」
相原も思い出して泣き笑いしてる。
「なんだ、まじめに訓練受けてたと思ったけど…やるときゃやるんだな。」
真田が感心して言う。
「言っておきますがその時私はまだ合流してませんからね。」
南部が涼しそうに言ったが
「南部だって冷蔵庫にビール入ってたじゃん。」
太田がばらす。
「入手先は言えないよな~」
太田が意味ありげに言った…が、そこへ島の母がから揚げをたくさんお皿に盛ってリビングのテーブルの真ん中に置いた。
「古代くんの大好物だけど…大介も大好物だったのよ。さぁみなさま、どうぞ。」
大きなお皿に山盛りのから揚げ。進は真っ先に“いただきます”と言って箸をつけた。
「島くん、お母さんのから揚げよ。」
ユキが取り皿にから揚げを3つ盛って島の棺の横に置いてある小さなテーブルに乗せた。もちろんビールも置いてある。
「いつか…言ってたわね。実家に帰るとお母さんが古代が好きだからって
いつもから揚げを作ってくれる、って。私、今日教えてもらっちゃった。
お母さん程上手にできないかもしれないけど私が作ったのも食べてくれる
かしら?」
ユキが何やら話しかけていると次郎がユキの横に来た。
「兄ちゃん!」
次郎が棺に駆け寄ってきた。後ろから島の両親がゆっくり歩いて来た。
「大介…帰ろうか。」(父)
「…帰ろう。ごちそう用意してるの…全部食べ切れるか分からないぐらい。」
母がそう言うとメインクルーを見た。
「みなさまでいらっしゃいませんか?大介は…よく皆様の話をしてくれま
した。古代くんはよく来てくれたけど他の皆様はいらしてくれた事、ない
ですものね…大介と…最後の食事をしていただけませんか?そして…
あの子…そのテレサさんとの事、なにも言わなかったので教えてほしいん
です。大介が幸せだった事…私達にも教えて下さらないかしら?」
母の眼は真っ赤だった。
「ここに来る前からそう決めてたんです。大介と一緒に来てください。」
母は父の顔を見てにっこり笑うと
「遠慮しないで来てください。古代くんは知ってると思うけど(妻を見て)
料理かなりうまいので…。」
父の言葉に進は頷いたが
「いいのですか?お邪魔して…」(進)
「あの子…しんみりしたの、嫌いなんです。それは皆様の方がよくご存じだと
思うけど…」(母)
「すみません、ではお言葉に…甘えさせていただきます。」(真田)
クルーはみんなで頭を下げた。
「せーの」
クルーが全員で島をエアカーから下し島の実家のリビングの奥の部屋に下した。
「大介、お帰り。みんなでご飯にしましょう。」
リビングのテーブルにはラップをかけてすぐに食べられるように食事が用意されていて母はエプロンをかけると急いでコンロに火をつけた。しばらくするとお肉を揚げるいい匂いがして来た。
「お父さん、出来たら運ぶから先にあるもので始めてくれるかしら?」
母が台所から叫ぶと父は次郎に
「次郎、冷蔵庫からビールを持ってきてくれるか?」
と言ってテーブルに伏せてあったグラスをクルーに配った。
ビールをグラスに注ぎ
「献杯」
真田の一言で誰もが静かにグラスを少しだけ掲げビールを飲んだ。進は今までで一番苦い、と思った。
(そうだ…初めてビールを飲んだ時…島と一緒だったな。兄さんのカードで
買ったんだ。あれから何年経つんだ?イスカンダルから戻って来た時も
ここで…島の家族とビールを飲んだっけ…)
進は自分の視界が涙で揺らぐのがわかったがその涙をこらえる事が出来ずどんどん溢れてきた。
「島…初めて飲んだビールより苦いよ…」
進がポツリ呟くと相原が我慢していた涙をこらえきれず流しながら
「僕を…見送ってくれる時だった…古代くんが守さんのカードでビール買って
来たんだよね。レジ通るかヒヤヒヤもんだった、ってあの時言ってたね。」
相原も思い出して泣き笑いしてる。
「なんだ、まじめに訓練受けてたと思ったけど…やるときゃやるんだな。」
真田が感心して言う。
「言っておきますがその時私はまだ合流してませんからね。」
南部が涼しそうに言ったが
「南部だって冷蔵庫にビール入ってたじゃん。」
太田がばらす。
「入手先は言えないよな~」
太田が意味ありげに言った…が、そこへ島の母がから揚げをたくさんお皿に盛ってリビングのテーブルの真ん中に置いた。
「古代くんの大好物だけど…大介も大好物だったのよ。さぁみなさま、どうぞ。」
大きなお皿に山盛りのから揚げ。進は真っ先に“いただきます”と言って箸をつけた。
「島くん、お母さんのから揚げよ。」
ユキが取り皿にから揚げを3つ盛って島の棺の横に置いてある小さなテーブルに乗せた。もちろんビールも置いてある。
「いつか…言ってたわね。実家に帰るとお母さんが古代が好きだからって
いつもから揚げを作ってくれる、って。私、今日教えてもらっちゃった。
お母さん程上手にできないかもしれないけど私が作ったのも食べてくれる
かしら?」
ユキが何やら話しかけていると次郎がユキの横に来た。
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)3 作家名:kei