島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)4
<永遠の別れ>
テレビを観ているとヤマトの事と地上の水の引き具合の様子ばかり報道されていた。
「まだ、当分地上には出られないのかな…」
進が点滴をしながらテレビを観ていた。
「そうね…全体が戻れるまで様子を見るようなことを言っていたわ。まぁ…
一部だけ戻ると治安上よくない事があるから…しょうがないわね。」
ユキが濡れた髪をタオルで乾かしながら言った。
「今日、点滴長くないか?」
少し不服そうに進が言うと
「いつもと同じよ。古代くん寝ちゃってたからそう思うのよ。そうそう、
さっきモリタ先生に聞いたら検査は後ひと月はやらないとダメ、ですって。」
ユキの言葉に進はがっかりした…が、
「数値によってはもうすぐ点滴、毎日じゃなくなるかもしれないわ。」
と言う言葉を聞いて進の顔が明るくなった。
「本当?」(進)
「本当よ…だけど数値が、落ち着いたら、なんだからね。無駄にケガとか
したら数値上がって点滴減らせなくなるのよ?分かってる?風邪とか引いても
ダメだし…健康管理大変なんだからね?」
ユキが強く言う。
「…大丈夫だよ、しばらくは何もないわけだし…」
確かに飛べる戦艦がないから内勤のはず…
「そうね、私も管理しやすくていいわ。」
ユキが点滴を見る。
「もうしばらくかかりそうね。暖かい紅茶入れましょうか。」
ふたりの間の時間がゆっくり流れる。そんな幸せの時間がたまらずユキは涙が出そうになった。
(ずっと…こんな時間が過ごせればいい…)
そう思いつつグッと涙をこらえてポットにミネラルウォーターを入れた
進とユキはクルーとトウキョウステーションで待ち合わせて島の実家の玄関前に来ていた。
「待たせたかな?」
一台の黒塗りのエアカーがクルーの前に止まり藤堂が降りてきた。
「いえ、私達も今、着いたところです。」(真田)
全員、敬礼した。
「大勢で…すみません。」
進を先頭にメインクルー+藤堂と太助が島宅に入った。リビングの奥に島がいる。
「島さぁん…」
太助が眼をうるうるさせながら棺に近付いた。
「今でも信じれません…島さんが…こうして寝ているなんて…」
太助と島は無人コントロールシステムで一緒に働いていた事があった。
「あの時…俺、ひとりだったらパニック起こして今、こうしていられなかった
かもしれない…あの時のお礼を言わなくちゃ、ってずっと思ってたのに
なかなか言えなくて…今日になってしまいました。あの日、島さんがケガ
して…どうしようかおろおろしてたら“しっかりしろ”って“俺を英雄の
丘に連れて行け”って…。絶対誰かがそこにいる、って言ったんです。
街は戦火で歩ける状態じゃないって思ったんですけど島さんが裏の細い
道だったらあの戦闘機や爆撃機は入れないはずだ、と言ってずっと裏道を
歩きました。」
太助はボロボロ涙を流しながら島に話しかけた。
「島さんは俺の命の恩人です。この命、大切にします。本当にありがとう
ございました。」
そう言って敬礼した。太助の横に藤堂がやって来て島に話しかけた。
「島…本当にお疲れさん…島…そっちに行った事、後悔していないか?
こっちじゃ戻って来い、って誰もが思ってる…私もその一人だ。」
藤堂が目頭を押さえる。
「キミたちの代だったら軍を任せられる、と…そう思っていたのに…残念で
ならない…この戦いだけでなく全ての戦いを過去の物にしないよう私達は
全力でこの地球を守る…島も見守っていてほしい。」
藤堂と太助が島の横を離れるとメインクルーが島の顔を覗きこんでいろいろ話しかけていた。
「すみません、私までお邪魔してしまいまして…」
島の父と母は藤堂をテーブルに座ってもらってお茶を出した。
「まさか…軍の長官がお越しくださると思わなかったので…進くんも数人
増えるかもしれません、しか言ってなかったから…何も用意していなくて
すみません。」
父と母が藤堂の向かいに座った。
「実は私が訓練予備生を作った張本人です。あなた方二人から大切な息子さんを
奪った張本人です…12歳と言うまだ保護者が必要な頃に戦う事を前提に飛び級
をさせました…今思うととんでもない事を提案してしまったと思っています。
本当にすみませんでした。」
藤堂が立ち上がり深々と頭を下げた。
「長官…そんな…頭をあげてください。」
父が立ち上がり長官を座らせた
テレビを観ているとヤマトの事と地上の水の引き具合の様子ばかり報道されていた。
「まだ、当分地上には出られないのかな…」
進が点滴をしながらテレビを観ていた。
「そうね…全体が戻れるまで様子を見るようなことを言っていたわ。まぁ…
一部だけ戻ると治安上よくない事があるから…しょうがないわね。」
ユキが濡れた髪をタオルで乾かしながら言った。
「今日、点滴長くないか?」
少し不服そうに進が言うと
「いつもと同じよ。古代くん寝ちゃってたからそう思うのよ。そうそう、
さっきモリタ先生に聞いたら検査は後ひと月はやらないとダメ、ですって。」
ユキの言葉に進はがっかりした…が、
「数値によってはもうすぐ点滴、毎日じゃなくなるかもしれないわ。」
と言う言葉を聞いて進の顔が明るくなった。
「本当?」(進)
「本当よ…だけど数値が、落ち着いたら、なんだからね。無駄にケガとか
したら数値上がって点滴減らせなくなるのよ?分かってる?風邪とか引いても
ダメだし…健康管理大変なんだからね?」
ユキが強く言う。
「…大丈夫だよ、しばらくは何もないわけだし…」
確かに飛べる戦艦がないから内勤のはず…
「そうね、私も管理しやすくていいわ。」
ユキが点滴を見る。
「もうしばらくかかりそうね。暖かい紅茶入れましょうか。」
ふたりの間の時間がゆっくり流れる。そんな幸せの時間がたまらずユキは涙が出そうになった。
(ずっと…こんな時間が過ごせればいい…)
そう思いつつグッと涙をこらえてポットにミネラルウォーターを入れた
進とユキはクルーとトウキョウステーションで待ち合わせて島の実家の玄関前に来ていた。
「待たせたかな?」
一台の黒塗りのエアカーがクルーの前に止まり藤堂が降りてきた。
「いえ、私達も今、着いたところです。」(真田)
全員、敬礼した。
「大勢で…すみません。」
進を先頭にメインクルー+藤堂と太助が島宅に入った。リビングの奥に島がいる。
「島さぁん…」
太助が眼をうるうるさせながら棺に近付いた。
「今でも信じれません…島さんが…こうして寝ているなんて…」
太助と島は無人コントロールシステムで一緒に働いていた事があった。
「あの時…俺、ひとりだったらパニック起こして今、こうしていられなかった
かもしれない…あの時のお礼を言わなくちゃ、ってずっと思ってたのに
なかなか言えなくて…今日になってしまいました。あの日、島さんがケガ
して…どうしようかおろおろしてたら“しっかりしろ”って“俺を英雄の
丘に連れて行け”って…。絶対誰かがそこにいる、って言ったんです。
街は戦火で歩ける状態じゃないって思ったんですけど島さんが裏の細い
道だったらあの戦闘機や爆撃機は入れないはずだ、と言ってずっと裏道を
歩きました。」
太助はボロボロ涙を流しながら島に話しかけた。
「島さんは俺の命の恩人です。この命、大切にします。本当にありがとう
ございました。」
そう言って敬礼した。太助の横に藤堂がやって来て島に話しかけた。
「島…本当にお疲れさん…島…そっちに行った事、後悔していないか?
こっちじゃ戻って来い、って誰もが思ってる…私もその一人だ。」
藤堂が目頭を押さえる。
「キミたちの代だったら軍を任せられる、と…そう思っていたのに…残念で
ならない…この戦いだけでなく全ての戦いを過去の物にしないよう私達は
全力でこの地球を守る…島も見守っていてほしい。」
藤堂と太助が島の横を離れるとメインクルーが島の顔を覗きこんでいろいろ話しかけていた。
「すみません、私までお邪魔してしまいまして…」
島の父と母は藤堂をテーブルに座ってもらってお茶を出した。
「まさか…軍の長官がお越しくださると思わなかったので…進くんも数人
増えるかもしれません、しか言ってなかったから…何も用意していなくて
すみません。」
父と母が藤堂の向かいに座った。
「実は私が訓練予備生を作った張本人です。あなた方二人から大切な息子さんを
奪った張本人です…12歳と言うまだ保護者が必要な頃に戦う事を前提に飛び級
をさせました…今思うととんでもない事を提案してしまったと思っています。
本当にすみませんでした。」
藤堂が立ち上がり深々と頭を下げた。
「長官…そんな…頭をあげてください。」
父が立ち上がり長官を座らせた
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)4 作家名:kei