二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)6

INDEX|14ページ/14ページ|

前のページ
 

誰の胸の中にもその心の美しさと儚さを思い出した。

  「あのふたりはヤマトの中でもデートしてましたか?」(太助)
  「おっ?当時もあちこちでピンクのオーラ出してたぞ?知らないのか?」(南部)
  「ははは、古代が艦長になったらなかなか自由時間がなくてふたりで一緒に
   いる姿なかなか見れなくなったからな。」(真田)
  「イスカンダルに行った時なんかすごかったですよ。常に一緒、みたいな。
   誰もが遠目に見てふたりきりにしてやろう、って空気だったしな。」(太田)
  「そうそう、まず後部展望室!」(相原)
  「あそこは出禁!」(太田)
  「ヤマト農場!」(相原)
  「時間貸切!」(太田)
  「医務室!」(相原)
  「佐渡さんの食事タイム!」(太田)

太田と相原の掛け合いが面白くてカメラがぶれる。

  「坂巻~ちゃんと構えろ~揺れてるぞ~」

南部も笑っている。

  「随分楽しそうだな。」

聞きなれた声が聞こえてきたがアルコールが入っているのとテンションが上がりすぎて誰も気にしていない。

  「食堂は?」(坂巻)
  「広すぎてなぁ~二人きり、と言う感じじゃなかったな。」(太田)
  「仕事の話しかしてないぞ?」

背中から声がするが

  「食堂ではね。」

太田がさらっと流そうとして“ん?”と気になり後ろを向くと進がユキと一緒に立っていた。

  「あ!いつの間に!」

太田はそう言って指を指した瞬間ゲンコで頭を殴られた。


  「お、ご両人が戻って参りました~」

坂巻がビデオを回し続ける。ユキはゆったりしたブルーのワンピースを着ている。

  「ユキさん、お疲れ様でした。」(南部)
  「いいえ、心地いい疲れだわ。ありがとう…南部くんのおかげね。」

ユキが進を見て柔らかく笑う。太陽を制御してからユキの笑顔をあまり見ていなかったような気がした南部はほっとした。

  「いえ、私ではありません。ユキさんだから誰もが動いてくれたんですよ。」

南部がさらっと答える。

  「父が言ってました。常に気遣いを忘れない、と。ユキさんは必ず父の所へ
   言って挨拶してくれたでしょう?父はそれがとても嬉しかったそうです。
   どんなに忙しくても絶対に一言声を掛けて行ってくれる事で父も仕事が
   しやすかったらしいですよ。」

意外な言葉にユキが首をかしげる

  「ユキさんを知らない人は“誰ですか?”と聞いてくるし“何を話していたん
   ですか”と聞かれたり…こう言ってはなんですが父の会社と軍は共同で研究
   してる事も多いので父と知り合いになりたい人はゴマンといます。ユキさんは
   そのきっかけになってくれる、って。」(南部)
  「そうなの?ご迷惑になった事あるんじゃないかしら?」(ユキ)
  「仕事上のトラブルは聞いた事ありませんから大丈夫じゃないですか?」

ユキは南部の言葉に胸をなでおろす。

  「しっかし何を録音してる?」(進)
  「え?何でもいいじゃないですか。さぁユキさん、お腹空いたでしょう?
   中に入って食べましょう。エンドレス、ですからね。」

南部がエスコートしながらメインクルーも一緒にフロアーに戻った。




  「おいしい!」

部屋の片隅にふたりがゆっくり食べられるように席が設けられた。そこでユキはシャンパン片手にパクパク食べる。進はその食べるのを見てニコニコしている。

  「やだ…古代くんも食べてよ。私だけいっぱい食べてるみたい…。」

ユキがフォークを置く。

  「あれからずっと食欲、落ちてただろ?安心してるんだよ。」

進がにっこり笑う。ユキは進の顔を見た。

  「少し太ってもいいんじゃないか?」(進)
  「太ったら…こんなはずじゃなかった、って言うでしょ?」

ユキは女性の更衣室で良く聞く会話を小さな声で言った。

  「何それ?」(進)
  「結婚して太ると“詐欺”って言われる、って…それとか勇気をもって告白
   したのに“もう少し痩せてたら好みなのに”って振られたりすふんですっ
   て。男性って思ったより見た目重視なんでしょ?」

ユキが進に聞いた。

  「バカだなぁ、太ろうが痩せようがユキはユキ、だろ?そんな男は最初から
   辞めろ、て感じだよな。人間の本質を見てない、って事だろ?それにそんな
   人を好きになる、って事はその人にも見る眼がなかったって事じゃないか。」

進がユキを見る。

  「おいしいものをお腹いっぱい食べる…イスカンダルに行く前じゃ考えられ
   ない事じゃないか?幸せな事なんだからさ…」

進がユキの耳元で

  「赤ちゃん産む時、体力すげぇ使うんだってな。たくさん食べてかわいい
   赤ちゃん、産んでください。」

とお願いするとユキは進の顔を見て真っ赤になって小さくうなずいた。