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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)7

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<終宴>
  「ユキさん、いい顔してますね。」(太田)
  「そうですね。」(相原)
  「新婚旅行、どうするんだろう?」(太田)
  「任せろ、俺が全部手配した。どうせ古代の事だ、何もしてないだろ。」(南部)

メインクルーが少し離れた所から二人を眺めていた。

  「食事がすんだら引っ込んでもらいましょうか。明日の出発昼過ぎなんで。」

南部が時間を確認するとすでに午前4時。でも会場は相変わらずあちこちでにぎわっている。南部は二人の食事が落ち着くのを待ってテーブルに近寄って行った。




  「お腹膨れましたか?」(南部)
  「あぁ、ここの料理、おいしいな。いくらでも食べらそうだよ。」(進)
  「えぇ、古代くんの言う通り。太っちゃったらどうしよう、って言ってた
   ところ。そうそう、お父様にお礼言わないと!」(ユキ)

ふたりの満足そうな顔を見て南部が進に厳しい顔を見せた。

  「古代、明日からどうするんだ?」

南部に聞かれて不思議な顔をしながら

  「え?仕事はないし…どうする、って言われても…何も…」

進がユキの顔を見て困った顔をする。

  「明日、ってなんかあったっけ?」

ユキまで南部の顔を見て問いかけてくる。

  「はぁぁ~本当に似た者夫婦ですね…いいですか?一緒に暮らして随分経ち
   ますがぁ…お二人は“新婚”なんです。わかりますか?“新婚!”」

進もユキも“はぁ…”と首をかしげる。

  「あのですね、新婚さんと言えば新婚旅行でしょ?全く…式までどれだけ
   時間があったんですか?気が利かないなぁ…ユキさん、今更ですが本当に
   古代でいいんですか?いまなら私がユキさんの身元引き受けますけど?」

南部が本気か冗談か分からない事を言う。

  「…きっと何も考えてないと思ったので新婚旅行、スタンバイしておきました。
   飛行機は明日の昼…午後1時発。準備もあるだろうからさっさと今日は
   帰って支度してください!」

南部の言葉にふたりは慌てて席を立ってフロアーの一番後ろの扉から出て行った。

  「ははは、あの慌てよう…」

真田が笑いながら見送った。



  「明日の1時?今4時だろ?少し寝たら出発じゃんか。……って、どこ?」

進が控室で自分とユキの荷物をまとめながらつぶやく。

  「費用もどうしたらいいのかしら?」

二人は固まって手を止めた。そこへ進の携帯にメールが入る。

  <そろそろホテルを出る頃かな、と思ってメールしました。明日の予定は
   午後1時にフライトなのでそれに合わせて国際線のカウンターへ行ってよ。
   〇〇航空の窓口で南部の名前を出せばわかるようにしてあるから。そうそう、
   結婚式だと一週間休みが取れるの知ってたか?知らないだろう。ユキさんは
   知ってそうだけどな。長官にお願いして有給と合わせて二週間休みを申請
   しておいたからゆっくりしてこい。あ、どこへ行くかと言うと前に全員で
   行った島だ。確認したら3日前に水が引いて通常営業始めた、って事だ。
   一度行ってるから持って行くものだいたいわかるだろうし現地調達もできる
   からフル装備で行く必要ないだろ。ユキさん孝行してこいよ。散々心配かけて
   大変だったんだからな。今だから言えるけど古代が入院中そりゃぁひどい
   顔色だったもんさ。古代は窓っぺりばっかり見てユキさんの事全然見てない
   だろうから気付かなかっただろうけど!デザリアムの時もそうだったけど
   とにかくユキさんを悲しませないでくれ。俺達でどうにでもなるなら何でも
   するけどユキさんは古代じゃないとダメなんだ。わかったか?みんなのユキ
   さんを独占するんだからちゃんと守れよ!>

進は言いたい放題のメールにため息をついた。誰もかれも自分を信じてくれない。

  {当たり前だろ?前科がありすぎるんだ!}

また頭の中で島の声がしたような気がした。進はふと笑うとユキに明日のフライトの場所を伝えた。