【腐】 愚問 【亜種】
「愚問」
「んむ~」
ガラスに額を押しつけて、リンはクレーンの行方を睨む。
「あっ、ちょっ、レン! 行き過ぎだから! ちゃんと動かして!」
「うるさいな。だったら、リンがやればいいだろ」
「いいわよ! 交代して!」
交互にクレーンを動かすも、狙った景品は取れず。ついには二人で肩を押しつけながら、ボタンを押してクレーンを操作し始めた。
「よし、ここ!」
「ええっ、もうちょっと後ろじゃない?」
「大丈夫だよ。ほら、早く動かして」
「待って、もうちょい、こっち、に」
「ストップ!」
「「うひゃぁ!?」」
突然、背後から声を掛けられ、二人は声を上げて振り向く。背の高い赤毛の男が、下の方を指さして、
「いらないの?」
見れば、景品取り出し口に、熊のぬいぐるみが頭から落ちていた。二人で顔を見合わせている間に、男が景品を取り出して、リンに差し出す。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます・・・・・・」
リンがおずおず受け取ると、男は二人の頭をぽんぽんと叩いてから、
「どういたしまして。時間切れにならないようにね」
にこっと笑って、立ち去った。
男がいなくなった後、リンはレンの服を引っ張る。
「びっくりした・・・・・・」
「でも、いい人だよ。おかげで取れたし」
「そうだね。結構、使っちゃったから」
リンが服の袖をまくり上げると、青白い数字が「01:00:00」と表示されていた。
「うっそ! 残り一時間じゃん!」
「うわ、ほんとだ! マスターのとこ戻らなきゃ!」
「走るわよ、レン!」
「うん!」
二人は手をつなぐと、全速力で主人の元へと駆け出す。
「時間切れ」は、彼らの死を意味していた。
トイレの個室に隠れたアカイトは、袖を捲り上げて、腕に浮き上がる青白い数字ー「時計」を確認する。
二人合わせて十時間か。ガキのくせに贅沢だな。
コートの内ポケットから銀色の端末を取り出すと、自分の手首に当てた。腕の数字がきっかり十時間減り、端末に緑色の数字が表示される。
二年。やっと二年分か。ゴミかよ。
アカイトは自嘲気味に唇の端を持ち上げると、端末をしまった。
それでも、他に方法がない。彼のマスターを救う方法が。
「んむ~」
ガラスに額を押しつけて、リンはクレーンの行方を睨む。
「あっ、ちょっ、レン! 行き過ぎだから! ちゃんと動かして!」
「うるさいな。だったら、リンがやればいいだろ」
「いいわよ! 交代して!」
交互にクレーンを動かすも、狙った景品は取れず。ついには二人で肩を押しつけながら、ボタンを押してクレーンを操作し始めた。
「よし、ここ!」
「ええっ、もうちょっと後ろじゃない?」
「大丈夫だよ。ほら、早く動かして」
「待って、もうちょい、こっち、に」
「ストップ!」
「「うひゃぁ!?」」
突然、背後から声を掛けられ、二人は声を上げて振り向く。背の高い赤毛の男が、下の方を指さして、
「いらないの?」
見れば、景品取り出し口に、熊のぬいぐるみが頭から落ちていた。二人で顔を見合わせている間に、男が景品を取り出して、リンに差し出す。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます・・・・・・」
リンがおずおず受け取ると、男は二人の頭をぽんぽんと叩いてから、
「どういたしまして。時間切れにならないようにね」
にこっと笑って、立ち去った。
男がいなくなった後、リンはレンの服を引っ張る。
「びっくりした・・・・・・」
「でも、いい人だよ。おかげで取れたし」
「そうだね。結構、使っちゃったから」
リンが服の袖をまくり上げると、青白い数字が「01:00:00」と表示されていた。
「うっそ! 残り一時間じゃん!」
「うわ、ほんとだ! マスターのとこ戻らなきゃ!」
「走るわよ、レン!」
「うん!」
二人は手をつなぐと、全速力で主人の元へと駆け出す。
「時間切れ」は、彼らの死を意味していた。
トイレの個室に隠れたアカイトは、袖を捲り上げて、腕に浮き上がる青白い数字ー「時計」を確認する。
二人合わせて十時間か。ガキのくせに贅沢だな。
コートの内ポケットから銀色の端末を取り出すと、自分の手首に当てた。腕の数字がきっかり十時間減り、端末に緑色の数字が表示される。
二年。やっと二年分か。ゴミかよ。
アカイトは自嘲気味に唇の端を持ち上げると、端末をしまった。
それでも、他に方法がない。彼のマスターを救う方法が。
作品名:【腐】 愚問 【亜種】 作家名:シャオ