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【腐】 愚問 【亜種】

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「ヒト型」
人の姿をした機械の中でも、生体に近い者達はそう呼ばれていた。
ヒト型の動力は「時間」。腕に「時計」と呼ばれる数字が表示され、ゼロになれば全ての活動が停止する。
「時間」は通貨代わりに使用され、財布代わりにヒト型を連れ歩くのが、一種のステータスとなっていた。

そして、人の見栄と欲望は限りない。

ヒト型が普及するにつれ、富裕層の間では、人間をヒト型のように扱う者も現れる。それは違法な行為だが、法は弱者の味方をしない。「時計」をはめられた人間は、時間切れに怯えながら、奴隷のような扱いを強いられていた。



夕日に照らされたビル群が、目も眩むほどの輝きを放っている。さらに遠くの建物は、もはや天空に浮かんでいるのではと錯覚するほどの高層に達していた。
ビルの屋上に立って、アカイトは彼方の天空城を見つめる。

マスター・・・・・・。

あの高層階の一室に、彼のマスターは閉じこめられていた。「時計」をはめられ、高級娼婦として。
アカイト唇を噛み、拳を握りしめた。

一万年・・・・・・どうやって貯めろっていうんだ。

一度はめられた「時計」を外す方法はないと言われている。だが、彼は見つけた。その方法を。同時に、「一万年分の時間が必要」という絶望も、突きつけられた。
時間を買うのは、人間である主人だ。ヒト型には、時間を買う金を稼ぐことすら出来ない。追いつめられて選んだ方法は、「別のヒト型から時間を奪う」ことだった。
下手をすれば、相手を殺す行為だと分かっている。だが、アカイトには、他に方法がなかった。

あいつら、マスターの元にたどり着けたかな。

昼間の少年少女を思い出し、ふと不安になる。
注意を向ける為に声を掛けたが、残り一時間で足りただろうか。

・・・・・・考えてもしょうがない。

頭を振って、不吉な考えを追い払った。
自分の赤い髪は目立つ。そう何度も、同じ場所で獲物を狩る訳にいかない。次はショッピングモールにでも行くかと、アカイトは高層ビル群に背を向けた。


作品名:【腐】 愚問 【亜種】 作家名:シャオ