島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8
<女神2>
「じゃぁね、古代くん。」
「ユキ、ちょっと…あ…ちょ…あぁ~ユキちゃぁぁぁん」
「かわいそうねぇ、それじゃ温泉浸かれないわね。ちょっと浸かって来る
からおとなしく待ってね。」
ユキは手をひらひらしながら部屋についている温泉に入りに行った。
「チェッ…」
進は心底残念そうに舌打ちする。
「ユキに計られた…」
ユキは食事が終わると進の検査をして白血球の数値を確認していつものように点滴をした。そして針を入れて点滴を落す速度を調節すると進のほほにキスをしながら…
「じゃぁ、古代くん、私温泉に浸かって来るわ。」
と言って立ち上がった。進は一瞬?と思い
「え?」
と聞き返した。
「さっき温泉楽しめなかったから…今度はちゃんと体も頭も洗ってお肌
スベスベを実感してくるわ。点滴の速度早めると気分悪くなるかもしれ
ないから触っちゃダメよ?」
ユキは念を押してそう言うと
「じゃぁ、古代くん。」
と、言い残して温泉に入りに行ってしまったのだ。同じ部屋の中なのに切ない進…さすがにさっきはやりすぎた、と後悔しても遅い…
「気持ちいい…」
先に体と頭を洗い髪をタオルで巻いて湯船につかってユキはまるで初めて温泉に浸かったような感想をつぶやく。
「もう…古代くん、ったら…」
身体を洗って気付いた。進が付けた愛し合った後の証しがユキの白い肌に点々とある。ユキは恥ずかしい気持ちもあったがお互いが生きていて求め合っている証しとして嬉しいと思った。
「私は…古代くんのモノ…。」
先程の行為を思い出すと一気に体温が上がるような気がする。
「嫌だわ…」
身体の奥が進を求めているようなそんな気持ちになる。今まではバースコントロールをしっかりしてきた。でも今は一日でも早く進に家族をプレゼントしたい、とユキは思っていた。
自分にしかできない事…それは進に家族を与える事…きっと進の事だから誰よりも子供を愛する事だろう…
(ん?誰よりも?私より??)
ユキは一瞬思考が止まった。
(子供にヤキモチ妬いちゃったらどうしよう…)
かわいいだけじゃないかもしれない、とふと思うユキだった。
「あら?」
ユキが温泉から出ると進はロッキングチェアに座ったまま眠っていた。
「疲れちゃったかな。」
終りそうな点滴を眺めながらユキはつぶやいた。そして奥から毛布を一枚持ってきてそっと進に掛けた。
「風邪引いたら大変だからね。」
ユキが進の顔を見つめていると点滴が終わったのでそっと針を抜く。進が一瞬顔をしかめた。起こしちゃったかな、と思ったがそのまま静かな寝息が続いた。ホッとしたユキはその進の寝顔を見つめながら温泉に入って疲れたのか進にもたれかかって眠ってしまった。
「うぁぁぁぁぁ!」
進の叫び声でユキは目覚めた。何かを跳ね除けるように両手を振り回している。
「やめろ!やめてくれ!」
足もバタつかせている。ユキはケガをしてしまうと思い少し離れたが一向に収まる気配がない。
(前はご両親を探していた…)
ユキはそう思って声を掛けようとしたが進の暴れ様は声を掛けられる状態ではなかった。
「ユキ、ユキ!」
突然名前を呼ばれた。
「死ぬな!逝くな!!」
ユキは我に返り両手を振り回す進に全身を預けた。ロッキングチェアがギシギシと音を立てる。
「古代くん、私はここにいるわ。大丈夫よ…ここにいるから…」
進は汗を流しながら眼を開けた。
「ユキ?」(進)
「古代くん…怖い夢、見てた?」
ユキが持っていたタオルで進の汗を拭いた。そのタオルから石けんの匂いがする。
「俺…?」(進)
「大丈夫…かなり暴れてたけど。」
ユキが安心させるように微笑んだ。
「…真っ暗闇で…沼地の様な所で足元から無数の手で引きずり込まれて…
落ちる、って思ったら…」
進の言葉がここで詰まった。きっと“私”に関係する事だろうとユキは思った。
「…って思ったら?」
ユキは進の言葉を紡ぐ。
「目の前にユキが倒れてた。白いナース服を着て…コスモクリーナーの
所で…倒れてた…呼んだのに、叫んだのにユキは微動だにしない。そこで
目が覚めたんだ。すごいリアルで…」
進の息が荒い。呼吸も浅く胸が上下している。
「古代くん、鼻から息を吸って…ゆっくり…そう、深呼吸するように…そう。
手にしびれはない?」
進は冷たくなっている両手の先を確かめる。しびれはない様子で少しだけ首を横に振った。
「じゃぁね、古代くん。」
「ユキ、ちょっと…あ…ちょ…あぁ~ユキちゃぁぁぁん」
「かわいそうねぇ、それじゃ温泉浸かれないわね。ちょっと浸かって来る
からおとなしく待ってね。」
ユキは手をひらひらしながら部屋についている温泉に入りに行った。
「チェッ…」
進は心底残念そうに舌打ちする。
「ユキに計られた…」
ユキは食事が終わると進の検査をして白血球の数値を確認していつものように点滴をした。そして針を入れて点滴を落す速度を調節すると進のほほにキスをしながら…
「じゃぁ、古代くん、私温泉に浸かって来るわ。」
と言って立ち上がった。進は一瞬?と思い
「え?」
と聞き返した。
「さっき温泉楽しめなかったから…今度はちゃんと体も頭も洗ってお肌
スベスベを実感してくるわ。点滴の速度早めると気分悪くなるかもしれ
ないから触っちゃダメよ?」
ユキは念を押してそう言うと
「じゃぁ、古代くん。」
と、言い残して温泉に入りに行ってしまったのだ。同じ部屋の中なのに切ない進…さすがにさっきはやりすぎた、と後悔しても遅い…
「気持ちいい…」
先に体と頭を洗い髪をタオルで巻いて湯船につかってユキはまるで初めて温泉に浸かったような感想をつぶやく。
「もう…古代くん、ったら…」
身体を洗って気付いた。進が付けた愛し合った後の証しがユキの白い肌に点々とある。ユキは恥ずかしい気持ちもあったがお互いが生きていて求め合っている証しとして嬉しいと思った。
「私は…古代くんのモノ…。」
先程の行為を思い出すと一気に体温が上がるような気がする。
「嫌だわ…」
身体の奥が進を求めているようなそんな気持ちになる。今まではバースコントロールをしっかりしてきた。でも今は一日でも早く進に家族をプレゼントしたい、とユキは思っていた。
自分にしかできない事…それは進に家族を与える事…きっと進の事だから誰よりも子供を愛する事だろう…
(ん?誰よりも?私より??)
ユキは一瞬思考が止まった。
(子供にヤキモチ妬いちゃったらどうしよう…)
かわいいだけじゃないかもしれない、とふと思うユキだった。
「あら?」
ユキが温泉から出ると進はロッキングチェアに座ったまま眠っていた。
「疲れちゃったかな。」
終りそうな点滴を眺めながらユキはつぶやいた。そして奥から毛布を一枚持ってきてそっと進に掛けた。
「風邪引いたら大変だからね。」
ユキが進の顔を見つめていると点滴が終わったのでそっと針を抜く。進が一瞬顔をしかめた。起こしちゃったかな、と思ったがそのまま静かな寝息が続いた。ホッとしたユキはその進の寝顔を見つめながら温泉に入って疲れたのか進にもたれかかって眠ってしまった。
「うぁぁぁぁぁ!」
進の叫び声でユキは目覚めた。何かを跳ね除けるように両手を振り回している。
「やめろ!やめてくれ!」
足もバタつかせている。ユキはケガをしてしまうと思い少し離れたが一向に収まる気配がない。
(前はご両親を探していた…)
ユキはそう思って声を掛けようとしたが進の暴れ様は声を掛けられる状態ではなかった。
「ユキ、ユキ!」
突然名前を呼ばれた。
「死ぬな!逝くな!!」
ユキは我に返り両手を振り回す進に全身を預けた。ロッキングチェアがギシギシと音を立てる。
「古代くん、私はここにいるわ。大丈夫よ…ここにいるから…」
進は汗を流しながら眼を開けた。
「ユキ?」(進)
「古代くん…怖い夢、見てた?」
ユキが持っていたタオルで進の汗を拭いた。そのタオルから石けんの匂いがする。
「俺…?」(進)
「大丈夫…かなり暴れてたけど。」
ユキが安心させるように微笑んだ。
「…真っ暗闇で…沼地の様な所で足元から無数の手で引きずり込まれて…
落ちる、って思ったら…」
進の言葉がここで詰まった。きっと“私”に関係する事だろうとユキは思った。
「…って思ったら?」
ユキは進の言葉を紡ぐ。
「目の前にユキが倒れてた。白いナース服を着て…コスモクリーナーの
所で…倒れてた…呼んだのに、叫んだのにユキは微動だにしない。そこで
目が覚めたんだ。すごいリアルで…」
進の息が荒い。呼吸も浅く胸が上下している。
「古代くん、鼻から息を吸って…ゆっくり…そう、深呼吸するように…そう。
手にしびれはない?」
進は冷たくなっている両手の先を確かめる。しびれはない様子で少しだけ首を横に振った。
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8 作家名:kei