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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8

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進は静かに寝息を立てていた。ユキは進の隣で手を握ってその姿を見つめて涙を流していた。

  (どうして古代くんばかりが辛い思いをするのかしら)

自分が無力で悲しくなる。

  (古代くんの悲しみを少しでも背負ってあげられたらいいのに…)

さっきはとても冷たかった進の手もいつもの温かい手に戻っている。

  (ごめんね、古代くん。)

ユキも静かに眠りについた。






  「おはよう。」

ユキが目覚めると進がにっこり笑ってユキを見つめていた。

  「朝食、食べに行こうか。」

朝はバイキング。二人は着替えて部屋を出た。進は昨日の事を思うとすっきりした顔に見える。

  「昨日はごめん。」

進が食事をしながらユキに謝った。

  「ううん。」

ユキはそれだけ短く言うとパンをちぎって口に入れる。

  「俺って…弱い人間だな、ってしみじみ思うよ。」

進もパンをちぎる。

  「強い人間なんていないわ。」

ユキがしっかり進の顔を見て言った。

  「誰だって誰かに頼りたい、愛されたい、って思っているのよ。大丈夫、
   古代くんだけが特別じゃないわ。」(ユキ)

進は少し考えた後ユキに聞いた。

  「ユキも?そう?」(進)
  「そうよ、きっと。ううん、絶対…でも私は古代くんから…真田さんから
   たくさんの愛をもらったわ。愛してくれる人が傍にいる…頼れる人が
   目の前にいてくれる…とても幸せな事だわ。その人が強くなくたって
   いいの。私に弱い所を見せてくれればそれでいいの。だって…それが
   本当の古代くんだもの。英雄だ、なんだ、って言われてる古代くんは
   私の知ってる古代くんじゃない。その古代くんはメディアが造り出した
   古代くんだわ。」

ユキはにっこり笑って進を見た。

  「私、って頼りにならない?」

ユキが反対に不安げに聞いて来た。進は慌てて首を振る。

  「もっと私を頼って。力じゃ及ばないけど。」

ふふふ、と笑うユキに進は肩の力が抜けたような気がした。











  「帰ろうか。」

進はユキにそう告げた。この数日間で何となく肩の荷が下りた気がしたからだ。

  「一週間、お休み延ばしたわよ?」(ユキ)
  「なんだか急にユキと一緒に住んでる家が恋しくなっちゃった。」

肩をすぼませていう進を見てユキはお母さんに何かお願いする時ってこうだったのかしら?と思った。

  「えぇ…じゃぁ帰りましょう。今から飛行機を予約するわ。」

ユキは端末を立ち上げた。

  「急がなくていいよ、帰りは船にしよう、って言っただろ?」

進も一緒に画面を覗く。

  「高いわよ?贅沢しちゃいますか?」(ユキ)
  「財務省、よろしくお願いします。」

進のお給料も随分前からユキが管理している。

  「じゃぁ、しっかり働いてもらわないと!」

夕方から出航する便を予約した。