島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8
「ユキ?気が付いた?」
ユキは中央病院のVIPルームにいた。進が笑顔で手を握りその横には紫が立っていた。
「古代くん…紫先生…」
「気分は?」(紫)
「えぇ…大丈夫です。」
ユキはなぜ自分が寝かされているのか全く分からない。真田はそこにいなかった。
「真田さんならラボに戻ったよ。」
ユキが真田を探している事に気付き進が言った。
「そう。…あ、私戻らなきゃ!まだ仕事残ってる!」
ユキがベッドから降りかけたので紫がそれを止めた。
「だめよ、寝てて。取り敢えず一週間入院。」
紫がベッドの横に設置されている電子カルテを見ながらつぶやく。ユキは全然気分、悪くないのに、と思いながら自分の電子カルテを見てある一点に視線が釘付けになった。
「うそ…」
電子カルテに婦人科の文字…ユキはその文字が涙でぼやけた。確認しようとしても視界がはっきりしない。
「ユキ…おめでとう。笑ったり落ち込んだり…忙しいな。」
進の眼から涙が落ちる。
「まぁいろいろ話があると思うから…詳しい説明は後でまた来るわ。」
紫はそう告げると静かにユキの病室から出て行った。
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8 作家名:kei