ガルマンガミラス滅亡の危機1
「デスラー総統、お疲れでしょうから少しお休みください。」
タランがデスラーの傍で通信の合間に声を掛けた。
「いや…大丈夫だ。我々の母星はまだ無事だ。仲間もいる…が今連絡を取って
いる要人は自分たちの家族だけで誰の安否もわからない状態だ。そちらを
優先しないといけないだろう。休むのはシャルバートに付いてからでよい。
異次元空間に入れば通信も厳しくなるだろう。今のうちにできるだけ話を
しておきたいのだ。タラン、次は？」
タランは心の中で小さなため息をつくと次の母星の位置と要人の名前を告げその者が乗っている艦に連絡を取りデスラーに引き継いだ。
「間もなく異次元空間に突入します。」
目の前の宇宙空間にはガルマンガミラスの全国民が乗って来た艦が所狭しと並んでいた。デスラー艦が最後の到着すると突然小さな惑星が光り出したと思ったらその光がどんどん大きくなった。
「全艦、すすめ。」
デスラーが静かに言うと先に到着していた民間人を乗せた艦から順に異次元空間に進んで行った。
「デスラー総統。」
タランが声を掛ける。
「よいのだ、我々は最後で。国民が無事にこの異次元空間に入ったのを確認
すれば全員無事、という事だろう。一番最初に着く艦は…」（デスラー）
「ガルマンウルフです。」（タラン）
「大丈夫か？」（デスラー）
「はい、ルダ女王が迎えに出てくると思われますのでくれぐれも粗相のない
よう、申し伝えてございます。ご安心くださいませ。ウルフも第一陣の
メンバーとして恥ずかしくない対応をする、と言っておりました。」
デスラーはタランの対応の早さに満足そうに頷いた。
「異次元空間に突入するとすぐに到着しますので下艦のご準備をお願い
いたします。」
タランがデスラーに進言する。
「そうだな…それでは私は準備に入る。何かあったら連絡せよ。」
デスラーはそう言うと静かに執務室へ戻って行った。
「シャルバートか…。つい先日旅だったのに再び世話になるとは思わな
かったな。ヤマトの青年の魂もそこにあるのだろうか…。」
デスラーの脳裏にボラーの砲口に突っ込んだ一機のコスモタイガーがよみがえる。
「スターシァ…私はいったいどれだけの犠牲の上に生きているのだろうか…」
デスラーの脳裏にふとユキの顔が浮かぶ。
「ユキ…サーシァとよく似ていた…キミがいなかったら私はまだヤマトを
追っていただろうか…」
異次元航行中なので窓の外を見ても何も見えない。
「地球のある恒星系は銀河の中心から離れている。恐らく太陽系に被害が
及ぶことはないだろう。この危機を知らせる間がなかった。しかし近い
うちに地球も何かしら異常を感じるだろう。いつか再会できる事を祈る。」
デスラーは静かに眼を閉じた。
作品名：ガルマンガミラス滅亡の危機1 作家名：kei