ガルマンガミラス滅亡の危機5
翌日、会議が開かれた。
「総統…よくご決断されました。」
ガミラス人は涙している。
「我々はかつて大マゼランを統一しようと試みた…が、志半ばで我が母星の
寿命の尽きるのを知り地球へ移住しようと失敗した。これを機にマゼランから
撤退したがマゼランは我が母星のあった故郷である。再び我らが戻る事に
なんら支障はない…が、我々を恐れる星々もある事だろう。
先にガルマンガミラスで市民の安全を確保しそのうえで軍を二分割し
一方を大マゼランへ向かわせる。そこでわれらの母星となる星を探すのだ…
地球に倣い、知的生命がいない事が大前提だ。よいな?もしも新しい勢力が
かつての植民地が奴隷のような仕打ちを受けていたら即救済せよ。そして
今後は植民地でなく同盟国として協力し合う事を提案せよ。」
デスラーが静かに語る。
「我々はシャルバートに救われた。シャルバートと出逢わせてくれたのは
ヤマトだ。そのおかげで我々は生き延びる事が出来た。その事を決して
忘れてはいけない。宇宙の平和無くしてガルマンガミラスの繁栄はない。」
デスラーの言葉に誰もが立ち上がり右手を挙げて“デスラー万歳”と叫んだ。
「ルダ女王…長い間本当にありがとうございました。」
すでに民間船、軍用船に市民は乗り異次元空間を走行している。
「いえ…母星に戻る事が出来て本当によかったですわ。」
ルダの傍には揚羽が立っている。
「ルダ女王、揚羽くん…お幸せに…。」(デスラー)
「総統も…」(ルダ)
ルダの言葉にデスラーの行動が止まる。
「そろそろ総統もお考えになってもよろしいと思いますわ。ご自身の
お幸せを…。」(ルダ)
「ルダ女王?」(デスラー)
「あの方も…それを望んでいらっしゃいますわ。」
なにもかもお見通しだ、とデスラーは笑う。
「そうですか…ありがとうございます。…それでは…。」
デスラーはマントを翻しタランと共にルダの謁見を終えるとデスラー艦に乗りシャルバートを飛び立った
「ルダ…あの方とは?」
揚羽がデスラー艦を見送り宮殿に戻る廊下で揚羽が聞いた。
「総統の想い人ですわ。」
ルダの言葉に揚羽が驚く。
「総統にそんな方がいらしたのですか?」(揚羽)
「…でも…残念ながら今、この世にいません。」
ルダの言葉にデスラーも辛い想いをしたのだと揚羽は言葉を慎んだ。
「総統は地球を攻撃した事をとても悔いています。しかしそれがあったから
今の自分がいる事も知っている…。過去は取り消せない…だからこれからの
総統をあなたも見てください。」
ルダは静かに語る。
「ベムラーゼが気付かなかった事に総統は気付いた…その結果が今こうして
出たのだと思いますよ。私はベムラーゼも自分の過ちに気付き総統と
同じように諭す事が出来たら救いの手を差し伸べました。でも残念な事に
彼らは過ちに気付かなかった。……ヤマトは最初から自分たちの過ちに
気付いていた…でも自分たちが戦わなければ地球が破滅してしまう…決して
その星を殲滅しようと戦っていたわけではない…地球を人類を救おうと戦った
結果が相手の星を殲滅してしまった、という結末になってしまっただけ。
そして誰もがその過ちに気付き深く傷ついている…その傷を癒す事はたやすく
できる事ではありません。もし私がその傷をいやす事が出来たらここを飛び
出して行きますがそんな力、私にはありません。誰もがその傷を乗り越えて
生きて行くしかないのです。」
ルダが力強く言った。
「ヤマトはその傷をみんなで分かち合える素晴らしい艦です。」
揚羽はルダの言葉を静かに聞いていた。
作品名:ガルマンガミラス滅亡の危機5 作家名:kei