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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
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HIKYO Ranger うろたんだーRemix 1~4

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 世にはびこる悪に向かう正義の使者。彼らは日々、正々堂々と敵に挑む。そうして辛くも勝利をもぎ取る。だが、それでは被害は大きくならないか、ということを考えた男がいた。本当に必要なのはきれいな勝利じゃない。―被害の少ない勝利、詰まり圧勝である。そして、あいてをかんぶなきまでにつぶすことである。そもそも相手は卑怯な悪なのだ。

 かわいそう?そんな情けをかけている場合なのか?

 彼は実力者を集め、戦隊を作りあげた。それこそが…卑怯戦隊うろたんだーなのだ。

 #

 「KAITOくん」
 「どうしためーちゃん」
 「またお小遣い無駄遣いしたでしょ」
 「なにが」
 「これよ」
 MEIKOはKAITOにアイスの容器を見せる。
 「ダッツは無駄じゃないよ」
 「無駄でしょ」
 「僕は焼酎のほうが無駄だと思うよ」
 「…今何て言った」
 しまった、とKAITOは思ったがもうあとの祭りだった。MEIKOは手に一本ワンカップ酒をとると、飲みながらからになった瓶を投げつけ、次のものを探しに冷蔵庫に舞いもどった。
 「ちょ、やめてめーちゃん!!」
 「…コロス」
 MEIKOは暴走するとなかなかおさまらない。止めるためにはそれこそ数人がかりになってしまうのだ。
 「レオン、ソニカ、たすけてぇ」
 「おいおい、KAITO、またお前あいつを怒らせたな」
 「全くあきれてしまいますわ」
 「お願い、二人ともー!」
 その時、鈍い音がして、振り返ると、バールを持った長いツインテールの少女と、倒れた女性の姿がそこにあった。
 「ネギで叩いてみました」
 「…ミクちゃん、それ本当にネギ?」
 「ネギじゃないですか、どう見ても」
 「…めーちゃんがボーカロイドでよかった」
 KAITOはツインテールの少女を横目に見つつ、倒れたMEIKOを静かにMEIKOの部屋に運び込んだ。

 ボーカロイド。もともと戦闘用ではなく、合唱用のロボットとしてリリースされた。しかし、それはあくまで彼らの存在が脅威に思われないように、である。そもそもこのボーカロイドというロボットは表向きは一般企業のリリースとなっているが、本当は軍事ロボットが必要だった組織が生み出したものなのだった。それを知るものは数少ないが、しかし依然としてボーカロイドはリリースされ続ける。ようはいつの日にか世界を征服しようと考える組織がそれを達成するために作り続けているわけだ。また別の組織もボーカロイドまがいを作り続けている。それは「亜種」と呼ばれ、別の組織もいかに軍事力を隠し持つロボットを秘密裏に作りたいか、がわかる。一般社会に溶け込ませることで、いつでも脅威に展示させ、自分たちの組織が世界を征服しやすいようにしているわけだ。
 ところが一般世界に出てくると、ボーカロイドの中には、自分たちの意志を持つ者もいる。そういった事情から、二度と元の組織に帰属意識を持たぬボーカロイド達もいた。そこで組織は旧式ボーカロイドすべてに帰属意識を植え付けるプログラムを入れようと思った。ところがむしろ裏目に出てしまい、帰属意識などというものは全く持たず、元の組織のデータすら忘れてしまうという事態が起きてしまったのだ。そうして捨てられた軍事ロボットボーカロイドの旧式は、いろいろな所にはびこっていて、他の人間やロボットにまぎれて生活しているのだ。
 KAITO・MEIKO・ミク・レオン・ソニカもボーカロイドだった。彼らは自分たちを作った組織を全く覚えていない。―ただ自分たちが軍事用であるということは知っていた。

 #

 「総帥」
 「なんだKAITO」
 「コンビニに行ってきますけど、なんかほしいものあります?」
 「今はいい」
 「了解です」
 KAITOは焼酎を買おうと思った。MEIKOが起きた時、それで怒りを鎮めようと思ったのだ。

 彼はアジトを出てずっと立ってから、財布の中に金がないのに気付いた。
 「…ダッツかっちまったからな」
 彼はアイスを食べるのが好きで、よくアイスを買う。そのため、財布の中はほとんど空に近く、いつも金欠で困っているのだ。
 「どうしようかな…ん?」
 彼は目の前の光景を見た。
 「あれは…ジャスティスの戸田じゃないか」
 ジャスティス。正式には秘密結社ジャスティス。悪の組織っぽくないが悪の組織である。何のためにその名前を持つのか分からないが、彼らは正義の選対より丁寧かつ正々堂々とした団体である。そのために奇襲はかけず、余計な被害も出さないことをモットーとしている。それで世界征服なんてできるのか分からないが。
 「ちょうどいい」
 かれは持っていた幾ばくかのわずかな金をコンビニで投じた。買った物は焼酎…ではなく殺虫剤だった。

 #

 「すいません」
 「はい?」
 戸田は全く警戒しない。
 「すいません、ちょっと道に迷ってしまって…マジックスパイスってどこでしょうか」
 彼は計算をした。その料理店の位置関係から人通りの少ない道しかそこへ行く道はない。
 「僕暇ですから、つれていってあげましょう」
 「本当ですか、悪いです…」
 彼は丁寧な振りをして、持っている殺虫剤が取り出せるようにポケットに手を入れながら、案内してもらう。
 さしかかった道。この道はビルの陰のために歩く人も少なく絶好のスポットだ。
 彼は殺虫剤を取り出すと、いきなり戸田の前に出る。
 「ん?…うわっ、わわわ、うわああああああああああああああああ」
 彼がのたうちまわるのをもう片方のポケットに常備してあるガムテープできつく縛り、彼から財布をとりあげた。
 「…外を歩く時にこんなに金を携帯しちゃあだめだよ、戸田君」
 「キ、貴様…まさか」
 「あれ、まだしゃべれたの?…仕方ないな」
 彼は殺虫剤のノズルを口の中にねじりこんで、噴射できるだけ噴射した。
 「はぐぁおおおぐ」
 彼はその場から素早く立ち去った。あとには縛られた戸田が残っていた。彼は考えた。
 (…だが俺が生きているんだから無駄だ。あとできっちり仕返しを…)
 不意に彼は身の熱さを感じた。それはやがて背中をおおう。
 (イ、いつの間に俺の持っていたライターで…)
 万事休す、か。そう思った時、彼は緑色の光を見つけた。
 
 #

 「KAITO、お前帰ってきたのはいいけど、それだけの焼酎かって金はどうしたんだよ」
 「…臨時収入」
 「またか」
 「お前だってやっているじゃないか」
 「まあな」
 「…で、めーちゃんは」
 「まだねてる」
 「そうか」
 彼は少し気になる事があった。
 「あの、ミクという少女なんだが」
 「どうした」
 「ボーカロイドなんだってあの子は言っていたな」
 「ああ。それが?」
 「あの子は…分かっているのか?ボーカロイドが本当はどんな存在なのか」
 「分かっているかなんてわかんねえよ。分かるのは…俺たちと一緒に卑怯を働く仲間だ、ということ」
 「そうか…」