HIKYO Ranger うろたんだーRemix 1~4
「何でジャスティスに移籍しようと思われたんですか」
後輩喜多川に聞かれ、小野寺はゆっくり答えた。
「正しいものにあこがれてたんだよ。子供の時から」
「なるほど。あ、注文取ってきます」
喜多川が去るのを見て、彼はふと思った。
「きっとうろたんだーも本当はあんなことしたくないんだろうけどね…悪をつぶす方法として正しいことは正しいけど、…やっぱりなんか納得いかないんだよな」
彼は厨房に入って皿洗いを始める。
そこにいた武士風の男がそのあとの自分の敵になるなんて、この時彼は思うこともなかった。
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「帰ってきたぞリン殿」
「ちゃんと調査できた?」
「ああ、あの小野寺という男は…正義に殉じるのに好きなタイプのようでござる。そうすると死に際でもトリガーを引きかねん男だろうと」
「厄介ものね。それを倒すのか…」
「とはいえ拙者は遠くから攻撃するのは専門外であるぞ」
「…私がやってみる」
「リン殿が、でござるか」
「この銃を使いこなしたいのよ」
「…よかろう。お頼み申すぞ」
「うんっ」
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「小野寺さん、大丈夫ですか?バイトであんなはりきって」
「大丈夫だよ…うっ」
「ほらぁ」
「こんなことくらいで休むわけにゃいかないでしょ」
「せめてデスクワークぐらいにしてください。ご飯は僕が買ってきますから。幕の内弁当でいいんですよね」
「悪い。本当に大丈夫だ…うっ」
「全然大丈夫じゃないですって」
喜多川が出ていくと、そこに村田が現れた。
「…いつも一生懸命だね」
「あ、いや別にそんな」
「謙遜しなくていい。キミが研究員としても戦闘員としてもその才能を開花させていることは素晴らしいことだから」
「…俺はただ昔見た戦隊みたいな正義にあこがれていただけです」
「なるほど。でもあっちは抜けたのか」
「考え方の相違です」
「まあ、正義という割に卑怯だからね…」
「というか、何でこことあそこ交戦しているんですか?」
「うろたんだーが気づいていないんだよ」
「?何にです?」
「もうここには過激派はいないっていうことに」
「昔はいたんですか」
「いたよ。メンバーの半数を占めるにいたった。だが、ある日突然分離した。それが秘密結社アルメリア。しかし名前だけならその前からあったから、多分もうすでに分離工作は始まっていたんだろうね」
「アルメリアって…ジャスティスの派生なんですか…でも向こうは世界征服しようとしてますけど」
「だから、世界で最も強い脅威になる事によって世界平和をしようとしているのさ」
「…ジャスティスが一番いいじゃないですか」
「そうといえないかもしれないよ?」
「え?」
「そんなのは歴史を継ぐ後世が決めること。今の僕らは正しいと思う道を進むしかない。後世が正しいのはジャスティスか、アルメリアか、うろたんだーか、決めるんだ」
「…」
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「キヨテルせんせー、なんでロボットなのに、さいしょからちしきとかわたしたちのあたまのなかにはいってないの?そのほうがらくチンなのに。こんながっこうたてなくても」
「う〜ん、成程。いい質問だねユキちゃん」
キヨテルは教え子ユキの質問に笑顔を見せる。
「…たとえばロボットが自分の知っていることがかなり多くなったとしよう。そしてら、ロボットは勉強しようとしなくなる。勉強しようと思わなくなるんだ」
「べつにいっぱいしってるんだからいいじゃん」
「そうすると、何か新しく知らないことが出ると、とたんに使い物にならなくなる。勉強の方法がわからないから」
「べんきょうのほうほうがわかんないってへんなの」
「そうだろう?学校はそれを学ぶための場所なんだよ」
「ふ〜ん」
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レンは昼寝をしている。それを見ながらルカは料理をしていた。
「いつまで平和が続くかな」
そんなことを思いながら鼻歌を歌っていると、不意に電話が鳴った。これは通常の携帯電話のものではない。
「…」
平和が破られた。昼寝していたはずのレンがもうすでに銃を二丁取り出している。
「行こうか、ルカ姫」
「…そうだね」
ルカはガスの元栓を閉めて、自分の剣を二つ取り出した。
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「こちらうろたんグリーン、ミクです、どうぞ」
「こちらうろたんブルー、KAITO、どうぞ」
「向こう側より敵が数人現れました、どうぞ」
「すぐに攻撃せず、まず素性を隠して誘惑せよ、どうぞ」
「了解」
「すみません、そこのお兄さん」
「ん?何か若い子が来たじゃないか」
「…ちょっと迷子になっちゃって」
「…そうかいそうかい!!そんなことなら任せてくれ、どこに行きたいんだい?」
明らかに少女ミクをエッチな目にあわせてやろうという眼をしていっているが、あえて乗ることにした。相手はだましているつもりだろう。そうしてこいつらのアジトかどっかに入るのが今回の目的だ。彼らは途中で車に乗せようといってきた。そして彼女をぶち込むと目を急に隠した。予想通り。このまま作戦を遂行してよさそうだ。彼女は嫌がるふりをしながら次の動作を考えていた。大丈夫。失敗してもKAITOやMEIKOがカバーしてくれる。それに今回は自分でもできるはずだ。
そうではないことに気付いたのは、もっと後だった。