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はろ☆どき
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魔法の呪文はアブラカダブラ【CC大阪97新刊サンプル】

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(中略)

「そんな暇ないって言ってるだろ。あんたも早く戻って山積してる案件とやらを片付けろよ」
「そんな邪険にしなくても」
 ロイは振り払われた手をもう一方の手で大袈裟に擦りながら、相変わらずへらりとした顔をしている。
 エドワードはもう限界だった。
「オレはあんたと話すのなんかだいっきらいなんだよ! 楽しくお話したいんなら他を当たっくてれ。行くぞ、アル!」
 捨て台詞のように乱暴な言葉をロイにぶつけて、エドワードは踵を返して走り出した。
 あんたといるといろいろな感情が入り乱れて平静でいられないから――という思いは飲み込んで。
「あ、ちょっと兄さん! すみません、大佐。また司令部へ伺うようにしますから」
 アルフォンスはそれだけ言うと、先に行ってしまったエドワードを慌てて追って行った。
「報告書はこまめに持ってきたまえよ! 毎日待っているからな」
 ロイが走る兄弟の後ろ姿に声をかけたが、聞こえたのかどうだか二人は振り返ることなくそのまま行ってしまった。



 一人取り残されたロイは、二人の姿が見えなくなってもしばらくそちらの方を眺めたまま立ち尽くしていた。
「また振られてしまったな……」
 まるで、意中の人にしつこく言い寄っては振られている野暮な男のようだ、とロイは苦笑する。
「まあ、実際そんなようなものか」



(中略)


「あなたがその想いをほんとに消してしまいたいと思っているのなら、願いを叶える魔法の呪文を教えてあげるわ」
「魔法の呪文? 願いを叶えるだって?」
「そう。占いや呪文自体は気休めかもしれないけれど、結局のところ自分が信じて叶えようとする気力にかかっているの。呪文に願いや想いを込めることで、自らの内にあるパワーを引き出すのよ」
マリアはそう言うと立ち上がって元の椅子に座り直すと、顎を軽く上げて見下ろすような目線でエドワードの目を見据えた。
「さあ、私の目を見て」
 エドワードがぼんやりとマリアの目を見つめる。淡い不思議な色合いのグリーンの瞳を見ていると、なんだかとろんとした気分になってくる。
「アブラカダブラ――」
「アブラ、カダ……ブ、ラ?」
「そう。アブラカダブラ。私が願ったとおりになあれ、っていう意味の魔法の言葉なの。唱えた後にこうしたいと願ってる事を念じるのよ。アブラカダブラ、あなたはその人のことが嫌いになる」
「アブラ、カダ、ブラ、オレはあいつのことが嫌いになる……」
エドワードは促されるようにそう呟いた。頭がふわふわとして、なんだか言ったとおりになれるのではないかという気がしてきた。


(以上、続きはオフにて)

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