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だぶるおー じゃがいもすーぷ2

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二度寝というのは、心地良いもので、うとうとと温まった布団でまどろむのは、サラリーマンにとっては極上の癒しだ。ライルも、うだうだと、それを楽しんで寝ていたら、いきなり扉が開いたと思ったら、腹に衝撃だ。
「ライル、ニールは、どこだ? 」
 もう一度、ドスッッと腹に衝撃だ。それで、はっきりと目が覚めた。何を、と、問いかける前に、再度、衝撃だ。目を開けたら、ティエリアが仁王立ちで両手を組んでいた。
「ニールは、どこだ? 」
「・・・下に居るだろ? おまえ、起こすにしても、それは失礼じゃないか? 」
「黙れ、居候。ニールがいないんだ。」
「・・・・携帯で呼び出せよ。 どうせ、買い物かなんかだろ。」
「携帯は台所のテーブルに放置されていた。パソコンは電源がついたままだ。ついでに、コーヒーも、そのままだ。」
「だからぁ、小一時間もすれば戻るだろ。」
「すでに一時間半は経過している。だから、能無しのおまえなんかに尋ねているんだ。」
「え? 」
「ちなみに、玄関の閉錠もしていなかった。ニールにしては有り得ないミスだ。」
 そこまで言われて、ライルも起き上がる。買い物に出て、事故にでも遭っているかもしれない、と、思ったからだ。塾の経営者兼講師だから、見た目にはしっかりして見える兄だが、実は、たまにボケる時がある。何かに気を取られて、クルマに引っ掛けられるという事態が遭ってもおかしくはない。
「兄さんの行動範囲って、どこいら辺りなんだ? 」
「あの様子なら、周囲二キロというところだろうが、それにしては遅すぎる。・・・知らないなら、もういい。」
 ティエリアは、それだけ確認すると部屋から出て行った。時計を見ると、すでに二時を過ぎている。なんかあったのか、と、ライルも慌てて着替えて階下へ降りた。


 確かに、突然に出かけたような有様だ。暴れた形跡はないものの、携帯端末まで置き去りなのは解せない。外出用のダウンも部屋にはあった。つまり、着の身着のままな状態で外出したということになるのだが、ティエリアがニールの財布も発見して、さらに事態は深刻化した。さすがに財布もなしに買い物には行かない。
「札だけ掴んで行ったとか? 」
「それなら、近所のコンビニぐらいだ。一時間もかからない。」
 ティエリアは、どこかへメールを打っている。とりあえず、コンビニまでの道を追いかけてみようと、ライルが外出した。とはいっても、往復だけなら二十分とかからない。これといって、道中に事故の形跡はなかったし、コンビニも静かなものだった。何があったんだろう? と、首を傾げながら帰宅したら、ティエリアは塾の準備をしていた。ニールがいなくても、塾はやっているのだから、そちらの用件は疎かに出来ない。
「兄さんは? 」
「まだ、発見していない。・・・もう、おまえは用無しだ。二階で寝ていろ。」
「寝ていられるかっっ。・・・今までも、こんなことってあったのか? ティエリア。」
「なかったわけではない。公園で居眠りしていたとか、バスを乗り違えたとか、そういうこともある。」
「事故とか? 」
「それはないと思う。周辺の通信もハッキングしたが、それらしいものがなかった。」
 なんか、不法行為をやっているような口ぶりだが、そこはライルもスルーした。子供たちは、早いものだと三時過ぎにはやってくる。まずは、おやつを食べさせて休憩させたら、宿題をさせる。全員が揃う頃に、英会話の授業をやって一端休憩。その後、親が帰っているものは帰宅して、残りは食事して親が引き取りに来るまで待機だ。ふたりもいれば、子供の世話もできるので、バイトはローテーションになっているのだ。
 

 とりあえず、ティエリアが塾の仕事をしているので、ライルはやることがない。闇雲に駆け回っても、ニールが見つかるとは思えないから、台所の食卓でタバコをふかしている。唐突に帰って来るかもしれない。どっかで、誰かに引っ掛かっていたとかいうのもあるらしい。
 


 そろそろ夕食の準備だという時間に、アレルヤとハレルヤが戻って来た。てきぱきと二人が準備する。子供たちに食事させて、そろそろ帰宅組を送り出すという時間になっても、ニールは戻らない。だんだんと不安になってきた。そこへ刹那が戻って来た。現状をティエリアが説明すると、ふん、と、鼻息であしらって携帯体端末を開いた。
「そこにいなかったら、警察だが、たぶん、拉致されている。」
「やはり、そうか。」
「ニールの居場所が判明したら奪還しよう、刹那。」
「もちろんだ。」
 はい? と、ライルが会話の不穏さに耳をそばだてているが、バイトたちは平静だ。ティエリアとアレルヤは、子供たちの世話に戻る。ハレルヤのほうは、刹那の横に立っている。それも凶悪な笑顔だ。
「刹那、拉致だったら暴れるぜ? 」
「好きにしろ。」
 携帯端末で、どこかへ連絡を入れた刹那は、繋がると、「そこにニールはいるか? 」 と、声を出した。



 ニール当人は、ベッドでくったりしていた。連れ出されてサウナに叩き込まれ、さらにプールに沈められた。乱暴すぎるのだが、やってる意味はわかるから、お任せしていたのだが、体力的にはきつくて、ベッドに投げ込まれてから一心不乱に眠っている。一部地域の民間療法では、風邪の場合、汗をかいてから身体を冷やすのが有効とされている。アリーがやったのは、それだったからだ。
「・・ああ、ここにいる。しっぽりと汗をかかせてやったから、すぐに落ち着くはずだ。・・・・はあ?・・・風邪だと思うがな・・・ああ・・・・クリスマスは仕事が入ったんで、おまえらの顔を見に戻ったんだよ。・・・・・こら、ちび・・・ちゃんと世話してもらってんのか? おまえは? ・・・ああ・・・・」
 元から声の大きい男なので、それでニールの意識も戻る。傍でがなりたてられていたら、オチオチ寝ても居られない。そういや、そのまんま引っ張られてたな、と、目を開けた。
「・・・おう・・・今、ベッドで俺を誘ってるぜ・・・・相変わらず、いい身体してるな? こいつは・・・・」
 その会話で、相手は刹那だと判明する。こんなふうに話すのは、ニールが知る限り刹那だけのはずだ。ふらふらと手を挙げて携帯端末を貸せ、と、言ったら離れて行った。
「ちょっと待ってろ。ちびからの連絡が終わったら、可愛がってやるからな。」
 おまえ、それ、ものすごく誤解されるだろ? と、思ったが、さすがに身体が重くて起き上がれない。回復したら一発殴ってやらねば、と、一応、相手を睨んだが、それが動ける限度だ。




 刹那は、ぐだぐだと楽しそうに喋っている相手の言葉なんてスルーだ。たぶん、拉致されたんだろうと思っていたが、どうやらアホな弟の風邪を移されたらしい。それで簡単に拉致されたと判明した。いつもなら、部屋が荒れるぐらいの騒ぎは残っているからだ。ニールも簡単に拉致されるほど弱くはない。ただ、あんまりグダグダと余計なことを言うので、刹那もムカムカしてきた。
「・・・アリー・・・それは俺のものだ、と、言っただろ? それを反故にするなら、今すぐ、おまえを殺しに行くぞ? どこにも逃げ場はない。わかっているな? 」