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だぶるおー じゃがいもすーぷ2

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 高校生らしからぬ脅し文句に、相手も沈黙した。だいたい、最初にニールを拾ったのは刹那だ。半分死にかけて道の隅っこに転がっていたニールが欲しい、と、アリーにねだったら、「じゃあ、くれてやる。」 と、約束したのもアリーなのだ。ニールが簡単に帰れない場所に居を構えたのも、刹那が独占するためだ。まあ、諸事情で、おかしな関係者も増えているが、基本的にニールは刹那のものだ。アリーの仕事を小さい頃から見ていたし手伝っていたので、刹那にはアリーと同じスキルが、この年にして身についている。探して殺すぐらい訳も造作もない。
「・・・わかってるよ。何もしちゃいねぇ。ただ、風邪ひいてるみたいだったからサウナで汗をかかせてプールで熱を冷ましただけだ。医者にも診せてクスリも用意させてる。・・・・今夜は、ここで寝かせておけば明日には回復する。」
 さすがに刹那の脅しは効くらしい。相手は、ちゃんと現状を説明した。
「それなら、素直に、そう言えばいい。・・・。今から迎えに行く。場所は? いつものホテルか? 」
「おい、ハレルヤは同行させるなよ?  あいつの凶悪さは害毒だぞ? ・・・なあ、刹那、どうせなら、一緒に泊らないか? 」
「断る。おまえが明日、こちらに戻れ。」
「けど、こいつ、今、動けないぞ? 今なら、やりたい放題だ。まだなんだろ? そろそろ、食えよ、刹那。」
 父ちゃん、息子のお初の鑑賞したいなあーとかほざいたので、刹那の眉間に皺が寄る。
「・・・アリー、今から殺しに行く・・・・・」
 それだけ言うと、刹那は携帯端末をぶち切った。そして、背後で控えているハレルヤに、「場所は判明した。」 と、告げてチェストからニールのクルマのキーを取り出した。
「おまえの風邪が移って拉致された。迎えに行って来る。」
 顔面蒼白なライルに、そう申し渡すと刹那はハレルヤを従えるように部屋を出て行く。普段、無口で無愛想な刹那だが、殺気まで漲らせると一般人なライルでは口を挟むどころではない。
「やっぱりかよ。・・・・ったく、あの世話好きは・・てか、刹那、九割殺してもいいよな? 」
「構わない。とにかく、ニールと、ニールのクスリを確保する。」
「オッケーだ。てことはだな、とりあえず、ニールの部屋を温めておくほうがいいな? 」
 塾のほうにいるアレルヤに説明するために、ハレルヤも、そちらに走った。
「ちょっちょっと、刹那? おまえ、殺すって・・・」
 さすがに、剣呑な応酬だったから、ライルは立ち上がって刹那を追いかけた。とんでもないことを言っているが、この法治国家で、その騒ぎはいただけない。
「九割なら殺人には該当しない。生きているからな。俺の親父が拉致しただけだ。心配しなくてもいい。すぐに戻る。」
 まあ、そうは言ってもアリーも強いのでハレルヤでは半殺しも難しいだろう。ニールを確保したら、部屋を荒らして帰るぐらいだ。



「なんで、そうやって煽るんだよ? アリー。絶対に刹那は怒って来るぞ? 」
 その一連の会話を聞いていたニールは、戻って来たアリーに笑いながら注意する。この親子、会話が不穏なのは、いつものことだ。
「いいじゃねぇーか。なかなか、胴に入ってきたぞ、台詞が。くくくくく・・・・刹那も、いっちょ前になってきたってことだ。」
 刹那は感情の起伏が昔から少ないので、会話するとなると、こういうほうが、よく喋るのだ。だから、わざと怒らせることをアリーは口にする。今、アリーはご機嫌で酒を煽っているので、ニールも苦笑している。いつものことなので、別にニールも慌てていない。
「それより、またクリスマスはスルーかよ? たまには家族で過ごせよ? 」
「とはいってもな、仕事が入ってるんだ。クリスマスの関係がない地域でな。だから、早めにプレゼントしてやろうと思ったんだよ。」
「・・・・そのうち、刹那も正しい男女交際に目覚めるだろ? それまでスルーしとけ。」
「おまえ、認識が甘いな? ニール。あいつが、ねだったものなんて、食い物以外じゃ、おまえだけだぞ。こんな平和なとこで大人しく高校生なんてやってるのも、おまえに相応しくなるためだ。あれは、もう、どう足掻いても、おまえを食う。」
「まあ、それは、もういいんだけどさ。・・・・俺、仲裁出来る限りはするけど・・・大丈夫か? 」
 いつもなら間に入って仲裁するのだが、さすがに起き上がれない。刹那も鍛えているから、アリーでも戦うとなれば互角になる。それも、この親子には楽しいスキンシップだったりする。多少の拳の応酬はいいのだが、刹那が本気だとナイフも出て来る。そうなると、多少の怪我どころではなくなる。
「なんとかなるさ。・・・・明日、夕方に顔を出すつもりだが、刹那に何をプレゼントすりゃいい? 」
「・・・うーん・・・新しい携帯端末かプレーヤーがいいんじゃねぇーかな? 今の、もう古いし。」
「おう、調達しとく。・・・それより、おまえ、食われてやれや? もういいだろ? 」 
「刹那が欲しいって言ったらな? まだ言わないと思うけど。・・・てか、あんたも刹那の子供とか欲しくないのか? 俺じゃ無理だぞ? 」
「しょうがねぇーだろ? ちびが欲しいのは、おまえなんだからよ。こればかりは親が、どうこうするもんじゃない。孫は諦めた。」
 ガバカバと酒を煽って、アリーは楽しそうだ。本当は、刹那が可愛くてしょうがないのだ、この親バカ親父は。ただ、素直に言えないから、こんなことになる。長年、これに付き合っているニールも、慣れているから別に気にしない。ただまあ、ライルは驚いただろうとは思う。拾われた時に、刹那の面倒を一生みる奴隷になれ、と、アリーは命じた。最初は、驚いたが、実は刹那がニールに一目惚れして欲しいと言ったのだと判明してから、言葉の暴力は気にならなくなった。奴隷でもなんでも、とりあえず刹那の世話はニールには楽しかったのだ。最終的に、刹那が、どうするかは知らないが、まあ、高校を卒業するまでは世話をするつもりだ。それに奴隷と言った割りに待遇は良すぎるほど良すぎた。すっかり、ニールにとっては、アリーと刹那も家族みたいなものになっている。
「三十路を越えた男でも食うかな? アリー。」
「俺に聞くな、俺に。あいつの好みまでは知らん。まあ、食われて幻滅されたら、俺のとこへ来い。俺は食わないが、仕事は斡旋してやるから。」
「そうだな。そっちは頼む。」
 二人してグダグダと話していたら、部屋のインターフォンが鳴った。そろそろお出ましか、と、アリーが立ち上がる。




 翌日の夕刻に、ニールを拉致した男は大荷物で現れた。もちろん、ニールは前日にハレルヤと刹那で奪還してきたので、部屋で休んでいる。
「よおう、ライル嬢ちゃん。久しぶりだな? 」
 どこにも怪我はない屈強な男は、ライルに挨拶すると、荷物を、そこに置いて二階へ上がる。二階には、バイトたちが勢揃いしているが、そんなものはスルーだ。ライルも釣られて、二階に上がったが、これといって騒ぎはない。
「どうだ? 」
「まあ、ぼちぼちだよ。・・・さすがにメシは作れないぜ? アリー。」
「ああ、そう思って弁当を用意させた。ちび、少し早いがクリスマスだ。」