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復隊後、アスランはミネルバのモビルスーツ隊隊長になっていた。
ザフト軍特務隊FAITHとしての権限、MS乗りとしての腕前と統率力を見込まれてのことである。
都市ディオキアにてハイネ・ヴェステンフルスという新たな仲間を迎えたミネルバは現在、地球軍の増援に対処するためダーダネルス海峡へと向かっていた。
艦長タリア、副館長アーサー、アスラン、さらにアスランと同じくFAITHであるハイネがブリーフィングを行っていた。
「ジブラルタルを狙うかスエズを狙うかはわからないけど、この時期の増援なら巻き返しを狙ってるとみて間違いないでしょう。スエズとの陸路も取り戻したいでしょうし。司令部も同意見よ」
コントロールパネルに表示された地図を指しながらタリアが告げる。
「もうホントせめぎ合いね、ま、いつもの事だけど」
「はあ」
気のない返事をアーサーがする。
「その増援以外のスエズの戦力は？つまりはどのくらいの規模になるんです？ヤツラの戦力は」
続いてハイネが問いかける。
現在ミネルバに配備されているモビルスーツパイロットは５人。
インパルスガンダムのパイロットでザフトのエースの証である赤服を纏うシン・アスカ。
白く塗装されたブレイズザクファントムに搭乗する赤服、レイ・ザ・バレル。
赤くカラーリングされたガナーザクウォーリアのパイロットで赤服のルナマリア・ホーク。
オレンジに染め上げた新型グフ・イグナイテッドを駆るハイネ。
そしてセイバーガンダムを操縦するアスラン。

人数としてはけして多くはないが、戦力的にはエース級パイロットが揃っているので十分である。
とはいえ、地球軍の戦力数はそうそう侮れるものではない。

「数もそうだけど、あれがいるのよ。インド洋にいた地球軍空母が」
「え、あの例の強奪機体をつかっている！？」
アーサーが驚くが無理もない。
その地球軍空母にいる地球連合軍独立機動部隊ファントムペインがザフトで開発されていた新型機体を強奪したことが、戦争の引き金となったといっても過言ではないからである。

「そう、だからちょっと面倒なの。恐らく彼らもくるわ。ともかく本艦は出撃よ、マルマラ海入口ダーダネルス海峡にて守備に着きます。アーサー後はよろしく」
「はっ！直ちに発進準備にかかります」
「ええ、お願い。それからアスラン、今回増援にきたのはオーブ軍という話よ」
「なっ…！」
「なんとも言い難いけど、今は向こうの陣営ですものね、オーブは」
「オーブが…そんな…」
「この黒海への地球軍進行阻止は周辺のザフト全軍に下った命令よ。避けられないわ、いいわね？」
「…はい」
苦しげに絞り出した声が、アスランの心情を物語っていた。