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改・スタイルズ荘の怪事件

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3,5章


禁書目録NO.831『探偵儀式』

「探偵の言語」
つまるところ、名探偵とは純粋な探偵言語の別称に過ぎない。それは言葉であると共に話者であるような、ありえない何かであり、理論の中にしか存在する余地を持たない。
名探偵=推理=事件というような等式は、結局のところ世界を示しているのであり、何も言っていないに等しい。あるいは何も言わない言語、それが名探偵だとも言えるだろう。
我々が用いることが出来る探偵の言語は常に不純である。故にコミュニケーションにはノイズが常に付随し、そのノイズを処理するための余剰がいかなる場合でも必要とされる。
その余剰、名探偵ならざる探偵と不純な言語のために要求される生贄のことを、我々は「犯人」と定義している。
探偵の立場から眺めたとき、それは探偵であり続けることが出来なかった落伍者に過ぎない。だが言語の立場から眺めれば、それは言語の存続のための尊い犠牲である。

「源典【オド】と真名【マナ】」
探偵言語における基礎的な法則と平行して、より大規模な儀式を運用するための規則群が存在する。
源典【オド】と真名【マナ】は基本的に対になっているものが多いが、どちらも強いものであるなら、単独での利用で天変地異すら起こすほどの儀式が可能だとされる。反面、強い源典【オド】と真名【マナ】は、利用者の要求も大きく、それに答えられず発狂する例なども多く伝わっている。
源典【オド】とは魔術書、真名【マナ】とは位階を表す言葉だという理解が存在するが、これは正確ではない。あるいは、両者の複雑な関係を理解できない内は、探偵として未熟なのだと言うことも出来るだろう。そもそも位階というのは■■■(第一種禁則事項)
現代では、両者ともそのほとんどが一散しており、各種の教団がそれを管理所有しているため、ほとんどの源典【オド】と真名【マナ】は、市井の人間には手を触れることが出来ない。
一説によれば、最高クラスの真名【マナ】持ちが、適切な源典【オド】を用いれば、全ての生命を無に帰すことすら可能だとされる。

「密室の儀式」
密室という単語は用法があいまいで、ときに閉鎖空間【クローズドサークル】と混同されるが別の事柄を指す言葉である。
一般には鍵等をかけた部屋から抜け出す儀式の総称であり、その不可能性に応じて得られる代価も大きくなると言われているが、この儀式の本質は源典【オド】との非対応性にあるという説も存在している。どちらが正しいのかは一概には判断出来ないが、独創的な密室の方が代価の大きい傾向にあるのは事実であるようだ。
本格的な儀式においては、最低でも二人の生贄を必要とし、まず室内で一人目を供した後に、室外で二人目を自殺に見立てて生贄に捧げるというのが基本になる。
このとき、目撃者や関係者が多ければ多いほど、儀式の効果が大きくなるのは、密室の儀式においても同様だが、人数が増えたからといって劇的に効果が増すというタイプの儀式ではない。
探偵儀式全体で見た場合、「密室」は難易度が低く実行しやすいが、特異な状況を産むため、他の探偵に注目され、儀式を破られる危険性もある。筆者個人の意見として書くのであれば、「不在証明」を用いた儀式の方が手間はかかるが、総合的な難易度は低く、初級者に向いているように思う。