敵中横断二九六千光年1 セントエルモの灯
発見
「船? 宇宙船か?」
〈ヤマト〉第一艦橋。相原が古代の通信に応えて言った。
『そのようです。沈んだ軍艦じゃないかと』
と古代の応答。艦橋にいた者らは顔を見合わせた。
「まさか、ガミラスの……」
と新見が言う。もし、ガミラスの船だとしたら大変な発見ということになる。その正体を突き止める手掛かりがあるかもしれないし、それ以上に波動エンジンだ。沈んだ船なら内部の〈コア〉は停止しているはずなのだが、イスカンダルと方式が同じだとは限らないし、それを取り出し再び〈火〉を入れられるかもしれない。あるいは、それを調べることで、同じものを地球で造れるようになるかも。となれば――。
「まさか、と思うがな」
真田が言った。用心深いガミラスが残骸と言えども船を地球人に渡すとは考えられない。だから地球の船だろう――そう考えている表情だった。
「とにかく調べるように言え」
沖田が言った。相原がマイクに向かい、古代に伝える。
しばらくして返事が来た。
『地球の船だ。駆逐艦と思われる』
やはりな、という空気が流れる。相原が言った。
「どうしますか」
「まあとにかく、近づいてちょっと調べるように言え」
作品名:敵中横断二九六千光年1 セントエルモの灯 作家名:島田信之