銀魂 −アインクラッド篇−
・・・
――「侍の国」。
俺達の国がそう呼ばれていたのは今は昔の話。
かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には今は異郷の船が飛び交う。
かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には今は異人がふんぞり返り歩く。
二十年前突如、江戸に宇宙の彼方より舞い降りた異人「天人」、彼らの台頭により侍は弱体化の一途をたどる。
剣も地位ももぎ取られ、誇りも何も侍達は捨て去った。
ただ、そんな世界に、
侍というにはあまりに荒々しく
しかし、チンピラというにはあまりに真っすぐな目をした男がいた。
――江戸時代末期、地球は「天人」と呼ばれる宇宙人の襲来を受ける。まもなく地球人と天人との間に十数年にも及ぶ攘夷戦争が勃発、数多くの侍達が攘夷志士として天人との戦争に参加した(以下略)侍達もその多くが廃刀令によって刀を失い、力を奪われていった。
それから数十年後―――。
江戸を守る武装警察が誕生した。
「俺達の事か。どうやら今回はまともな説明になりそうだな」
天人が江戸に持ち込んだのは地位や名誉だけではない。
彼らの用いる技術は我々の遥か未来まで進んでおり、我々の日常の生活はガラリと一新、からくりの『革命』が巻き起こった。だが、良いことばかりではない。そのからくりを用いた特殊犯罪も増える一方であり、それに対応するべく幕府は特殊警察「見廻り組」と「真選組」を編成、江戸の町の警護を指令した。
『ヒャッハァァァッ!汚物は消毒だァァァァァッ!』
『金なんて尻を拭く紙にもなりゃしねぇ!』
地位と権力をその手に得た真選組は江戸の町に住む弱き民衆から税金をがっぽりとふんだくり、世間からは「幕府の犬」「税金泥棒」「チンピラ警察」と呼ばれ、暴行や破壊活動を繰り返していた!
「あ゛ぁッ!!?おい、この流れおかしくない!?なんでまたモヒカンども出てんの!!?」
『おいザキ!その肩にぶら下げている火炎放射機でかぶき町に寄生する害虫どもを燃やしつくしちまえェェェッ!!』
『ヘヘッ近藤さん!火炎放射機なんて生ぬるいぜッ!!ガソリンぶちまけて一気に放火しちまおうぜッ!!熱いぜ〜?すっごく熱いぜ〜!?』
民衆は逃げ惑う。
――彼らの力を前に、弱き民衆はなす術がなかったのだ。
「おいィィィィッ!!さっきのモヒカンって俺達ィィィィッ!!?なんで江戸の治安を守る警察がモヒカンでバイクに乗ってレッツパーリィしちゃってんのォォォォッ!!?守るどころかヒャッハーする側になってますけどォォォォッ!!?」
そのような暴力の魔の手から弱き民衆を救うべく、侍というにはあまりに荒々しくしかし、チンピラというにはあまりに真っすぐな目をした男がいた。
「いや、ちょっと待て!!?この話の流れ見覚えあるぞ!!?」
二千年の歴史を刻み受け継がれてきた暗殺拳があった。
その名を北○神拳!
天空に連なる七つの星の下、一子相伝の北○神拳を巡って悲劇は繰り返される!
『・・・俺ァただ壊すだけだ。この腐った世界を』
『高杉・・・天に帰る時がきたのさ』
運命を切り開く男がいる。天に背く男がいる。
それは北○神拳二千年の宿命。
見よ!今、その永き血の歴史に終止符が打たれる――。
「だからちょっと待てェェェェェェェッ!!!!」
・・・
「おいィィィィィッ!!結局なにも変わってないんですけどォォォォッ!!?結局北○の拳になってるし結局世紀末救世主伝説になってるから!!そもそも俺達ヒャッハー取り締まる側だから!!俺達ヒャッハーしちゃ駄目だから!!」
「おい万事屋!途中から勝手に話を変えるんじゃねえ!せっかく良い感じの流れになりそうだったのに最終的に世紀末救世主伝説になっちまったじゃねぇか!」
「あぁ?元の世界でもお前らこんな感じだったじゃん?別に嘘言ってませんけど?」
キリトとアスナの二人は再び言葉を失ってしまう。
この人たちは、『悪』だったのか――?
この人たちの強さの理由が悪い意味でわかった気がする。
「いや!全然違うからね!!?警察というのは本当だからねッ!!?」
土方は銀時の話を信じてしまわないように必死に弁明するも、あまりにインパクトが強すぎたのか弁明をする土方に軽蔑の眼差しでじっと見つめていた。
「全くどうしようもないな。ゴリ=ラン、今度は俺から説明をさせて頂こう」
「ヅライデン!お前ならどうにかすることができるのか!?」
「この流れになってしまえば、また最初から説明をしても信じてはくれまい。とにかく世紀末救世主伝説のインパクトが強すぎる。これをかき消すことは不可能だ。だったらその世界観をふわりと包みつつオブラートに改編し、本来の俺達の生活を説明する以外方法がなかろう」
「一体どうするつもりだ!?世紀末救世主伝説を改編するなど無謀だぞ!!?」
「ふっ・・・俺を見くびるなよ?―――・・・」
作品名:銀魂 −アインクラッド篇− 作家名:a-o-w



