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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・

銀時はキリトに連れられて人ごみの中を歩いていく。
すれ違いざまに銀時は町並みを観察する・・・正直、今でもゲームの世界にいるとは実感を持てなかった。皆、『当たり前のように』生活しているからだ。
防具屋はもちろん、飲み屋やコンビニのような店も多々ある。そこでのやりとりは自分がいたかぶき町となんら変わりがなかったからだ。

「なぁキリト。本当にここはゲームの世界なんだよな?」
「あぁ」
「全く、本当に宇宙ってのは広いもんだな。あの馬鹿の気持ちがちっとはわかった気はするが・・・」
「あの馬鹿って?」
「いや、昔の知り合いのことだ。気にすんな」
「そっか。まぁ暇なときにでも教えてくれよ。あれ、でもそういうことは覚えてるんだな、ギンさん。っと、そんなことで到着っと」

気がつけば二人は目的地であるキリトの馴染みの買取屋に到着した。
キリトは何の躊躇もなく店のドアを開け中へと入る。
銀時はキリトのあとを追うように中へと入っていった。

店に入ると壁や棚に無数の武器や防具が羅列されている。
その奥には店主だろうか?偉くごつく身長が自分の数倍はあり、やや茶色毛の肌でスキンヘッドの人物がキリトとなにやら話していた。

「ほらエギル。前々から食べたいと言っていた『ヨモツヘグリ・ラビットの肉』だ。お前にやるよ」
「おぉぉぉ!でかしたキリト!第一層に数万分の一の確率でしか出現しないヨモツヘグリ・ラビットの肉!まさに幻の肉だぁ・・・う、よだれが・・・」
「と、いっても。実際こいつを調理できるほどのスキルを持っているのか?これでもS級の食材だぞ?」
「ふぅむ、そこなんだよなぁキリト。・・・ん?キリト、後ろの銀髪の兄ちゃんはお前さんの知り合いか?」

どうやら、スキンヘッドの男がこちらに気がついたらしい。
キリトはあぁ、と言いながら銀時の紹介を始めた。

「この人はギンさん。丁度その肉を手に入れたときモンスターに襲われていたところを俺が助けたんだ」
「オッス。おら銀時。ワクワクすっぞ」
「ギンさん、そんな喋り方だったか?」

「ははっ!面白い奴だな。俺の名前はエギル、武器や防具の販売や買取をしているもんだ。俺のモットーは安く仕入れて安く売るだ。今度機会があればよってくれ。よろしくな、ギン!」
「気をつけろよ?ギンさん。安く仕入れて安く売る・・・とか言っているが実際はその反対だぞ?」
「あぁ、○mazonによく出現する転売屋ね。こちらこそ宜しくな、エギル」
「おいお前達、今度から入店禁止にするぞ?」

・・・

しばらく、銀時とキリトはエギルと談笑を楽しんでいた。
見た目によらず、エギルはとてもフレンドリーに銀時は接してくれたので銀時は会話に困ることは何一つなかった。まぁもともと銀時にとってはそのような場面になることはまず無いのだが。しかし、銀時の中に不自然な思いが浮き出ていたのだ。
それは、この場に来て始まったことではない。むしろ、この世界に移動してからずっとそのもやもやが銀時を悩ませていたのだ。

「そもそもS級食材を調理できるプレイヤーなんてこの世界にいるだろうか、うぅむ、最悪こいつをオークションにでも・・・」
「・・・エギル?」
「はっ!わ、悪いキリト。最悪、丸焼きにしてでも食べる!」
「まぁ落ち着けよエギル、なんかさ、いるような気がするんだよ・・・誰だったっけか・・・いたような、いなかったような・・・」
「おいおい、調理スキル持ちなんて滅多にいないぞ?そんな知り合い、お前にいたのか?」

「・・・。」
「なぁギン。ずっと黙りこんでないでよ、お前もちょっと考えてくれよ。そうだギン!あんたの調理スキルは?」
「あぁ、悪いエギル。実はギンさん、記憶障害のバグが発生しているみたいなんだ」
「なんだって?・・・いやまてよキリト、記憶障害のバグだなんて聞いたことが・・・」

「・・・。」
(おかしい、やっぱおかしい。目の前で行われている会話は至って普通だ。なのに、凄い違和感を感じる。何これ?やっぱ銀さんがおかしいの?おかしい、絶対おかしい!だっていつもだったらさぁ〜ここいらでなんかバーンとかシュバババーンみたいなこと起こって取り返しのつかない事態に発展していくはずなんだよ。そういつもなら!なのになんだこのワンシーンはよ。至って普通じゃねぇか!なんも起きねぇじゃねぇか!)

そして銀時はある一つの答えに辿り着く。
それは、一つの賭けでもあった。



「でも待てキリト!スキル持ちだったら記憶無くてもメニュー開いて確認できるじゃねぇか!」
「あ、そうだったな。悪いギンさん、さっき教えた通りもう一度メニュー開いてスキル確認してほしいんだけど」
「スキル?おいおい、キリトと違って俺ぁペーペーの素人なんだよ。んなもん、お前持ってないものなんてギンさん持ってねぇよ」
「そっか、それは残念だな・・・はぁ」
「あぁでも待て。お前に持ってないスキル、銀さん一つ持ってるわ」
「お、なんだ?ギンさん」
「あぁ、DT卒業スキル」




・・・。





「・・・は?」
「おいおいギン、お前何言ってるんだ?」


「・・・え?」
(おいおい、ちょっと待て・・・銀魂だったらここで間を開けず即、あんた一体何言ってるんだァァァァ!!のツッコミだろ?ま、マジかよ!)

「確かにキリトにはまだ早いと思うがよ。コイツだってリアルではまだ学生なんだ。あんまおちょくらないでやってくれ」
「い、いや違う!これはそのあれだ!そこはバゴーンって!」
「ギンさん、あんた最低だ」
「違う違う!落ち着けキリト!」

銀時はこの世界にきて一体何度冷や汗をかいただろうか?
エギルはやれやれとため息、キリトに至っては色々な意味でよほどショックだったのか目頭に小さな涙を浮かべる。

それと同時に銀時は確信したのだ。

この世界に移動して得た違和感の正体。
それは、自分にとって最も恐れていたこと。
別に、帰れないとか、意味がわからないとか、そんなことではない。そもそもそんな状況なんて、今までいくらでもあった。
どんなことがあろうとも、そこには必ず存在した二つの単語。


(やべぇ、これ絶対やべぇよ・・・こんなん銀さん始めてだわ・・・ははっ)


銀時の脳裏に蘇る、自分と新八の会話---


-なぁそういうなよぱっつぁん。ただでさえツッコミ不足の銀魂なのに、ぱっつぁんいなくなったら大変なことになるよ?-
-いいえ!今回ばかりは僕の堪忍袋の緒が切れました!ちょっとは僕のありがたさを感じてください!ふん!-


(こ、この世界・・・「ボケ」と「ツッコミ」が存在しねぇのかァァァァ!!?)





・・・その時。


ドン、と大きな音を立ててドアが開く音がした。
3人は今のやり取りを忘れ、入口を凝視する。
そこには、フードを被ったキリトぐらいの年のプレイヤーが息を切らして壁によたれかかっていた。

「あ、あれ?あいつたしか・・・」

銀時にはそのプレイヤーに見覚えがあった。
そのプレイヤーは息を切らしつつ、ゆっくりとフードを下ろす。
その瞬間、栗色の長い髪がサラサラと現れる。


「はぁっはぁっ・・・助けて、キリトくん!」
「あ、アスナ!?」


「・・・へ?」