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銀魂 −アインクラッド篇−

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「あぁ。俺がよく通っている買取屋だ。実はそこの店主から頼みごとされててな、それを引渡しに行くんだ。ちょうどここから歩いて数分の距離だよ」
「あぁそうか・・・っ!?」

その時、銀時の目の前に見覚えのある人物が通り過ぎた。
腰まである長い黒髪の男。整った顔立ち。常に無表情。
・・・自分が知っている人物の特徴にぴったりだ。


「ま、間違いねぇ・・・嘘だろ?」
「どうした、ギンさん」

心拍数が高鳴る。奴なら何か知っているかもしれない。
次に銀時が取った行動は一つ。
「わりぃキリト!先行っててくれ!」
「お、おいギンさん!」
銀時はキリトに一言のこしその自分がよく知るあの人物の元に走っていく。


「ま、間違いねぇ!あの特徴的な黒髪で長髪!」

銀時は人ごみをかき分けて自分の目線の先に映る人物の元へと走っていく。
しかしこちらに気付くことなくスタスタと歩いていく。
「わ、悪ぃ!はっはっ、お、おぃ!お前!!」

人ごみの中を更にかき分け、あともう少しのところだった。
あと、もう少しで自分の声が届くとこまできた・・・だが。

その人物に気を取られすぎていたのか、銀時は自身に接近している自分より小柄の人物の存在に気付いていなかった。なので、銀時がそれに気付くのはそう時間はかからなかった。

「きゃっ」
「おわっ」

どん、と擬音が出たかのように見事に相互の身体がぶつかり合い、尻餅を付いてしまう。
銀時の目線の先にはフードを被った、キリトと同じぐらいの年の子だった。

「わ、悪ぃ!あんた、大丈夫か?」
「痛たた・・・すいません。私、急いでるので・・・」
「お、おい」

フードを被った子はペコリと頭を下げ、そそくさとその場から立ち去っていった。
頭を下げた瞬間、栗色のサラサラとした髪と、大きな瞳が一瞬見えたような気がした。
その後ろ姿は、何かから追われているようにも見えた。

「お、女・・・?」

「お〜い、ギンさん」
「お、キリト」

銀時は立ち、軽く自身の一張羅についた埃を落とす。気づくと銀時を心配し後をついてきたのだ。当然のごとく、銀時がよく知っているあの黒髪の長髪、もとい、今までの経験上、おそらくこの厄介事の根源であるであろうあの人物の姿は既に見えなくなっていた・・・。