二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

銀魂 −アインクラッド篇−

INDEX|18ページ/155ページ|

次のページ前のページ
 

・・・

「はぁっはぁっ・・・助けて、キリトくん!」
「あ、アスナ!?」


「・・・へ?」


銀時達の目の前に突如現れた美少女が息を切らしてこちらに寄ってきた。
ずっと走っていたのか先程から息切れが激しく、銀時、キリト、エギルは状況を飲み込めてなかった。

「ど、どうしたんだアスナ?そんなに慌てて・・・。というかどうしてここに俺がいるってわかったんだ?」
「はっはっ……フレンド登録!…けほっ…私達してるでしょ!…君のいる場所なんて…はっはっはっ……すぐにわかるわよ!」

銀時はキリトと話す美少女に自然と目が行った。
そこにいるのは栗色の長いストレートヘアを両側に垂らし、顔は小さな卵型で、大きなはしばみ色の瞳が眩しいほどの光が放っている。小ぶりだがスッと通った鼻筋の下で、桜色の唇が華やかな彩りを添える。ローブに隠れて見えないがスラリとした体型。何よりこの世界に来て初めて目に映った異性。
そして先程から頬を赤らめて額から流れる一筋の汗、可愛らしい吐息がリズムよく彼女の口から流れるものなので滅多に起動しない銀さんのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲が---

「な、なぁギン。あんた今、とてもいやらしいこと考えてないか?」
「え、何?何が?」
「いや、別になんでもないが」

エギルのジト目を見て我に帰った銀時はここは真面目にキリトと彼女の会話を聞いてみることにした。
ちなみに彼女の会話から察するにキリトとは既に面識があるらしい。

「落ち着けアスナ。とにかく、一体何があったんだ?」
「っ!そ、そうなの!お願いキリトくん!少しの間!ほんっと少しの間で良いからここに隠れさせてほしいの!」
「お〜い、ここ俺の店なんだが・・・」
「まぁ落ち着けよエギルさんよ。なあ嬢ちゃん、あんた確か転移門の前で俺とぶつかった奴だよな?」
「えっ?あ、あの時の!それより説明は後で!はやく隠れないと…」



「やっと見つけましたよ、アスナ様」


突如、4人の後ろから男の声が店の中に響き渡った。
銀時達の目の前には全身白いマントと分厚い金属鎧に身を固め,長髪を後ろで束ねた痩せた男が立っていた。
男はカチャカチャと金属音を鳴らしながら店の中へと入ってくる。

「っ!く、クラディール…!」
「アルゲードに到着した瞬間にお逃げになるものですから探すのに苦労しましたよ、アスナ様。散々逃げ回りましてやこんなスラムのゴミだめのような店に逃げるのですから」

「…なんだと?」
「落ち着けエギル!あいつ、一応『血盟騎士団』の騎士らしいぞ?」

「黙りなさいクラディール!今日は休暇だから私が何処に何しに行ったって別に良いじゃない!さてはまた勝手に私の外出届けを見て着いてきたのね!?」
「着いてきたなど滅相も無い!あくまで私は貴方の護衛です。あなたはアインクラッドの数あるギルドの中でも頂点に立つ血盟騎士団の副団長、閃光との異名を持つアスナ様!休暇中とてあなたにもしもの事態があってはこちらも困るのです。休暇を取られるのでしたらせめてギルド内か、もしくは私が同行して外出させていただきますぞ!」
「なっ!?いい加減にして頂戴!私に護衛なんて必要ないわ!それに、ここにいるキリトくんは貴方のレベルの10は上を行っているのよ!だからもう護衛は結構!副団長として命令します!さっさとギルドに帰って頂戴!」
「お、おいアスナっ…」

「何?そんな馬鹿な…私がこんな奴に…」

クラディールという男はキリトの身体をまじまじと見つめる。
そして不吉な微笑みをしながら口を開く。

「おや、さては貴様…ビーターだな?」
「………。」

その瞬間、キリトはなにか弱みを掴まれたように俯いてしまう。
なにか反論したくても何も言えない。

「ふん!何も言い返さないとは肯定と受け止めるのだな?」
「やめなさいクラディール!」
「アスナ様、いい加減にしてください!こんな奴と関わってはろくな目に会いませんよ!?こいつらビーターは自分さえよければ良いと思う連中です!」
「違う!キリトくんはそんな人じゃない!!」
「ビーター!ビーターですぞ!!?ゲーム開始時に多々のプレイヤーを見殺したプレイヤーとアスナ様が一緒にいるなどとっ!!」
「…くッ…」
「止めてクラディール!それ以上…キリトくんをッ……キリトくんを…」


「…ったく、さっきからギャーギャーギャーギャーうるせえんだよ…発情期ですか?コノヤロー」


「え?」
「……何?貴様、今なんと言った?」


「ギン…さん?」


低音の声が店に響き、我を忘れかけたクラディールの口が止まり、顔を歪ませ銀時を睨みつける。
下を俯いていたキリトがはっと顔を上げ、アスナが銀時から発せられる威圧に驚き、一歩後ろに引き下がり、エギルは先程とは同一人物とは思えないほど態度ががらりと変わった銀時に言葉が発せられずにいた。

「事あるごとにビータービーターって、お前さん何?そんなにアルプスの山で働く羊飼いの少年が気に食わねぇのか?ハイジもオンジもブチギレるよ?」
「言わせておけば…!!…ッ…その身なり、その武器!…スラムもまさかここまで寂れていたとは!武器すらまともに買えない貧弱プレイヤーが血盟騎士団の騎士である私に何を言う!」
「うっせぇなコノヤロー。フリーザみたいな口調しやがってよぉ。お前さんの言うその護衛とやら、完全にアイドルの追っかけと何ら変わりねぇじゃねぇか。やめといたほうがいいよ〜?そのうちこのアスナ様だって現役引退するんだからよぉ。いくら課金したって戻ってくるものはありゃしねぇよ」
「黙れ!!それ以上私を侮辱するとただでは済まさんぞ!!その減らず口、ここで断ち切ってやる!!」
「ッ!やめなさいクラディール!!」


クラディールは完全に我を忘れたのか、乱暴な口調になり懐から剣を抜く。
それを見たエギルは慌て始めた。

「お、おいマジかよ!プレイヤー相手にあいつ剣を抜くつもりか!!?」
「落ち着いてクラディール!!それだけは絶対駄目よ!!?」
「ご、ご安心くださいアスナ様!こ、こんなやつ!プレイヤー以下のただのゴミです!!た、たとえ私がPK『プレイヤーキル』行為をしたとしてもッ!きっと、きっと!ヒースクリフ様がッッッ!!!!」


そこで、ようやくキリトが我に返り、状況を掴んだ。
目の前には今にも剣を引き抜き今日知り合った友人を切り刻もうとする騎士、
それに対しこの状況下でも一歩も後ずさりせず、死んだ魚のような目をしているがどこか威圧的な友人。


「ギンさん!避け----」

しかし、キリトの忠告は必要なかった。
次の瞬間、勝負は既に決まっていたからだ。



「なッ……あ、…か……ッ!!!!」
「………ほら、さっさと帰りやがれ。これ以上やるんだったらその長ったらしい髪を世紀末風に刈り上げるぞ?」
クラディールの首には銀時の木刀が添えられていた。
喉仏をやられたのか酷く呼吸が乱れており、微かに足が震えている。
この銀時の一瞬の動きにクラディール、いや、キリト達も全く目が追いつかなかった。

そしてキリトはゆっくりと銀時の顔を凝視する。

そこには、いつもの彼は立っていなかった。