銀魂 −アインクラッド篇−
その瞳---いつもの死んだ魚のような目ではない。
一言で現すのであれば、そう・・・
「鬼」だった。
「ひッ……く、お、覚えていろ!!」
クラディールは顔を引きつらせながらそそくさとエギルの店を後にした。
キリト、アスナ、エギルは二人の一瞬のやりとりにただ、呆然と立ち尽くしていることしかできなかった。
「はい、終了っと。嬢ちゃん、追っかけは追い払ってやったぜ?」
「え、あ・・・」
「キリト、今の見えたか?」
「わ、悪いエギル・・・実は、俺にも」
「ま、マジかよ!!?」
キリトの心臓の鼓動が早まる。
実際、キリトはこの2年間で様々なプレイヤーをその目に映し、様々なソードスキルを会得してきた。だが、今の、そう今の銀時の動きには全く目が追いつかなかった。最初出会ったとき、よくもまぁなんの知識もなく2年間も生き延びてきたとほのぼのしく見ていたがそれはとんだ誤算であった。
身なりや武器こそかなりの低ランクなのだが今の剣の動き、並みのプレイヤーの技量では到底たどり着けない。むしろ、大きく凌駕している。スキルだとしても最初に必ず現れる挙動が全くなかった。例えるならコマ数を極限まで減らしたパラパラ漫画のような動きだ。
あの動きはプログラミングでは絶対に再現できない。不可能だ。
それこそ、チートプログラムでも使用しないと最初の微かな挙動無しで動くことなんて到底無理なのだ。
今までソードスキルであのような技があっただろうか?
一歩目で踏み込み、二歩目で相手の懐に飛び込む・・・。
-----いや、スキルではない。
まさか・・・あの動きは・・・。
「ただの…『振り』?」
「ば、馬鹿な…スキル無しで今の動きを?」
「だとしたら…ギンさん…あんた一体…」
「お?どうしたキリト。そんな深刻そうな顔しやがって」
「ッ!い、いや別に、なんでもない…」
「もしかしてあのフリーザもどきにビーターって言われたのがそんなに悔しかったのか?あ、そういや嬢ちゃん、ビーターってなんだ?やっぱあのアルプスの山の…」
「羊飼いじゃありません」
「あ、そう…」
作品名:銀魂 −アインクラッド篇− 作家名:a-o-w