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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・

あの後二人は安全エリアまで移動しようやくキリトと合流、やや遅い時間ではあったものの昼食にすることとした。アスナは手早くメニューを操作し、白革の手袋を装備解除して小ぶりなバスケットを出現させた。ちなみに、銀時はエギルが持たせてくれた昼食を取り出す。アスナのおしゃれなバスケットとは対象的に、無骨な銀色のお弁当箱に肉やらパンやらがぎゅうぎゅうに入っていた。

「ん〜、まさかギンさんたちのルートに敵が出現したとはな。俺の進んだルートはなにも出現しなかったけど。あ、そっちのサンドイッチくれ」
「はい、どうぞ。大変だったのよ?まあ、ギンさんのおかげで色々と回復系のアイテムも手に入ったからあとで君にも分けるわ」
「そういえばキリト。お前ぇの進んで行った先には何かあったのか?」
「あぁ、そのことなんだけど・・・」

キリトは慣れた手つきでメニューウインドウを出現させ、銀時とアスナが確認できるようにマップを展開した。そこで、アスナは何か見つけたのか目を大きく見開き、口に運ぼうとしたサンドイッチの手を止める。

「まさか・・・ボスの部屋?」
「さすがに一人だったからな、ちょっと見てすぐに退散したよ。かなり広い部屋だった。全身筋肉に包まれて山羊のような頭で、右手には巨大な剣を一つだけ装備していてなんというか・・・悪魔そのものって感じ。名前は確か・・・グリームアイズだったか?」
「そう・・・武装は大型剣一つってことは、特殊攻撃持ちは確実ね」
「前衛に盾装備は10人欲しいな・・・まあ、当面は少しずつちょっかい出して傾向と対策って奴を練るしかなさそうだ」
「盾装備、ねぇ」

アスナが意味ありげな視線でキリトを見た。

「な、なんだよ」
「君、なにか隠しているでしょ」
「いきなり何を・・・」
「だっておかしいもの。普通、片手剣の最大のメリットって、盾を持てることじゃない。でも、キリト君が装備しているところ、一度も見たことないわ」
「っ!・・・えっと・・・あ。そ、それをいったらギンさんも同じだろ?」
「そういえば、たしかに」
「あぁ?俺?」

銀時は気だるそうに受け答える。ちなみにエギルの作ってくれた昼食は見た目の割には美味しかったのか、いつの間にか全て食べ終えていた。

「俺ぁ腐っていても侍だ。侍に盾持つ奴なんざぁ、どこにもいねぇだろ」
「侍?・・・あぁ、一応このゲーム上ではギンさんは侍って設定なのか?」
「中二病のお前ぇと一緒にすんな。こちとらガチだぞ。まあ、廃刀令のこのご時世に侍名乗る輩は俺ぐらいだけどな」
・・・と、当たり前のように銀時は話すが、キリトとアスナは何を言っているんだこいつ・・・と言わんばかりに口をぽかんと開けていた。
「ま・・・・まぁ、ギンさん。いつかきっと記憶障害が治ると思うから・・・私は信じているわ。・・・まともな仕事に就いている事を」
「きっと侍役で役者さんとかやっていたんじゃないか?その部分が色濃くギンさんの記憶に残っているんだろうな」
「なんで年下に気を使われなきゃならねーんだよ。嘘偽りは一切ないんだけど」

――――と、珍しくツッコむ銀時ではあったが、あからさまな話の食い違いに気が付いていた。


キリトとアスナが言う現実―リアル―には、侍が存在しないのか?


・・・おそらくではあるが、この2人の現実の世界には侍が存在する理由のない程の平和な世界なのだろう。

色々と思うことがある銀時ではあったが、これ以上模索しても今は仕方がなかったので、考えるのを辞めた。
そんな最中、不意に下層側の入り口からプレイヤーの一団が鎧をガチャガチャ言わせながら入ってきた。銀時達は瞬間的にパッと離れて座り直す。
現れた6人パーティのリーダーを一目見て「なんだ・・・」と言わんばかりにキリトは肩の力を抜いた。なぜなら、リーダーの男はこのゲーム上でもっとも古い付き合いのカタナ使いだったからだ。
「おお、キリト。久しいな」
「まだ生きていたか、クライン」
「相変わらず愛想のねぇ奴だな。ん?・・・そっちは?」
荷物を手早く片付けて立ち上がったアスナと、けだるそうに胡坐をかきながら鼻に右手小指を突っ込む銀髪の男を見てカタナ使いはバンダナの下の目を丸くした。

「あ〜・・・そうか、紹介するよ。こいつはギルド『風林火山』のクライン。で、こっちは『血盟騎士団』のアスナと、色々あって行動を共にしているギンさんだ」
「こんにちは。この3人組のパーティ『ハピネスチャージ万事屋』のリーダーを担当しています、アスナ司令官です」
「俺はこのパーティ『Z万事屋』のリーダーで将軍の銀さんだ。よろしく」
「いや、リーダー何人いるんだよ。あとパーティ名を勝手に決めるな。おまけにバラバラだし」
「何言っているの?しばらくは私達3人でパーティ組むんだから、リーダーは必要でしょ」
「ちょっと待て!今回だけじゃないのかよ?しばらく!?いつ決まった!?」
「おいおい、リーダーのいう事は絶対だ。口答えするんじゃねぇ、キリト2等兵」
「だれが2等兵だ!!なぜ上から目線だ!!それと俺だけ階級が異様に低くないか!?」
「あ、お前ぇあれだろ。人のこと散々言っておいて、心の中では自分がリーダー格だと思っていただろ。残念ながらお前はこの作品の主人公だとしても主人公=階級が上っていうルール無いから。銀さんはそういうの結構厳しいから」
「人は、様々な努力をして上に登り詰めるものよ。永遠とソロで活動してきた君にとって、他のプレイヤーに地位名声を轟かせる功績はあるの?」
「いるんだよね〜。自分は頑張ってきた、努力してきたって自分から言っちゃう奴。そんなこと言っても銀さんたち何一つ知らないからね。いきなり過去話されても困っちゃうからね。あと、いきなり過去編とか突入するのも無しだからな」
「いい?キリト君。パーティを組むってことはね、今までの様にソロで好き勝手されていては困るの。私達3人で一心同体なの。これは友情・努力・勝利の鉄則の一つよ」
「だからパーティ組んだ覚えはないって言っているだろォォォォッ!!?あんたらがなぜそこまで上から目線で話すんだって聞いてんだろうがァァァァッ!!」

―――と、いつの間にかツッコミスキルが上達していた友人はさておき、クラインは目のほかに口も丸く開けて完全停止していた。そして次の瞬間、クラインはアスナに対してすごい勢いで最敬礼気味に頭を下げる。
「こんにちはアスナ司令官!!くくクラインという者です二十四歳独身」
「へ!?え、えぇ・・・」
クラインに続くかのように風林火山の残りのメンバーも我先と言わんばかりにアスナに自己紹介を勝手に始めるものなのでアスナ自身もこればかりは困惑を隠せなかった。
「この世界の男どもってよぉ、女に飢えてるんだな」
「そうみたいだな。そもそも女性プレイヤー自体が本当に少ないし、出会いがないのかな?・・・痛って!なんで頭叩くんだよ、ギンさん!」
「なんかイラっとしたから叩いただけだ。深い意味はねぇ」
「いくらなんでも理不尽だろ!」