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銀魂 −アインクラッド篇−

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クラインは銀時にも挨拶をしようと近づいてくるのだが、途中で考えがかわったのか、進行方向をキリトに変え、ずかずかと足音を出しながらその勢いでキリトの足をおもいきり踏む。キリトは「痛だだっ!」と声を出して何をするのだと言わんばかりにクラインを睨めつけた。銀時はともかく、アスナと一緒のパーティを組んでいる事がよほど気に食わないようだ。クラインは気が済んだのか、今度は申し訳なさそうに銀時に頭をさげる。
「すんません将軍殿。こいつぁど〜〜〜しようもないほどの無愛想な根暗ですが、やるときはやる奴なんです。実際に幾度かはこいつのおかげで俺も助かっています。こいつの扱いには将軍殿もさぞお困りなる事かと思いますけど、可愛がってあげてください。根は本当にいい奴なんで」
「あ〜心配なさんな、クライン殿。別に変なようには扱わねぇよ。銀さん、こう見えても年下の扱いにはかなり慣れているんでね」
「アスナ司令官殿もキリトの事、たのんます!」
「ふふっ!心得ました!」
アスナが司令官だと信じきっているクラインはビシッと右手で敬礼、アスナは満面な笑みをしながら見様見真似で可愛く敬礼をしたものなので、クラインは再度、顔を赤らめた。なんともわかりやすい男だ。

しかし、そのようなほのぼのとしたひと時も束の間―――

「みんな、『軍』よ!」
その場にいた全員がハッとして入口を注視すると、森で見かけたあの重装部隊だった。軍隊は二列縦隊で部屋に入ってきた集団の行進は、森で見たときほど整然とていなかった。足取りは重く、ヘルメットから覗く表情にも疲弊の色が見て取れる。
先頭にいた男が「休め」と言った途端、残りの兵が盛大な音とともに座り込んだ。先頭の男は仲間の様子に目もくれずにキリトに向かって近づいてきた。
「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」
「・・・キリト。伍長だ」
「おい、何をさり気に階級上げてんだ」

銀時のツッコミはさておき、コーバッツと名乗った男は軽く頷き、自分より階級が低いと判断したためか横柄な口調で訊いてきた。
「伍長らはもうこの先も攻略しているのか?」
「ああ。ボス部屋の手前まではマッピングしてある」
「うむ。ではそのマップデータを提供して貰いたい」

当然だ、と言わんばかりの台詞にキリトも少なからず驚いたが、後ろにいたクラインはそれどころではなかった。

「提供しろだと!?手前ぇ、マッピングする苦労が解って言ってんのか!!?」
「我々は君ら一般プレイヤーの解放の為に戦っている!諸君が協力するのは当然の義務である!」
「ちょっと、あなたねぇ・・・」
「て、てめぇな・・・」
左右から暴発寸前の声を出すアスナとクラインを、キリトは両手で制した。
「どうせ街に戻ったら公開しようと思っていたデータだ。構わないさ」
言いながらキリトはトレードウインドウを出し、コーバッツに迷宮区のデータを送信し、「協力感謝する」と気持ちなどかけらも無さそうな声で言い、くるりと後ろを向いた。その背中に向かって声をかける。
「ボスにちょっかい出す気ならやめておいたほうが良いぜ」
コーバッツは立ち止まり、「それは私が判断する」と一言だけ残し、仲間の元へと帰ろうとする。



「・・・待ちな」



その一言に、コーバッツ及び、キリトらも声の主のもとへ振り向いた。
声を発した男はいつもの気だるそうな声ではなく、落ち着きはあるもやや覇気が篭った声でコーバッツに警告した。

「お前さんらが何を好き勝手しても俺ぁ別に構わねぇ。だがな、お前さんが仲間の『命』を預かっているんだったら、何が何でも絶対に守りやがれ。生半可な覚悟で戦場に足を踏み入れるんじゃねぇ」

銀時のその言葉に、キリトは身体中の血の気が引いた。
何故か、その言葉には説得力がある。
確かに、コーバッツの部下たちは誰がどう見ても体力を消耗しきっている。
このまま、本当にボス部屋に入ってしまうと、最悪な結末しか思いつかない。

「わ・・・・私の部下はこの程度で音を上げるような軟弱者ではない!貴様ら、さっさと立て!」

コーバッツは銀時の覇気に押し負けたのか、部下たちを無理矢理立ち上がらせ、先頭に立つと同時に片手をサッと振り下ろし、そそくさと重々しい装備を鳴らしながら進軍を再開した。

「ったく、人が好すぎるぜキリト!しっかし、・・・大丈夫なのかよあの連中・・・」
「いくらなんでもぶっつけ本番でボスに挑んだりしないと思うけど・・・」
アスナもやや心配そうだ。確かにあのコーバッツという男の言動には、どこか無謀さも予期させるものがあった。

「・・・一応、様子だけでも見に行くか・・・?」
キリトの意見に、アスナ、クライン率いる風林火山のメンバーも満場一致と言わんばかりに首背した。
「どっちがお人好しなんだか・・・ねぇ、将軍殿」
「軍曹が決めたことだ。俺ぁどんな時だって、こいつの意思に従うだけさ」
「あれ、将軍殿・・・キリトの階級また上がってねぇですかぃ?」
「ねぇギンさん・・・」
「あ?」

後ろから、いつもとも比べややか細い声でアスナは銀時に呼びかける。

「もし・・・本当にあの人達がボスに挑んで、その・・・」

アスナが伝えたかった事を察したのか、ふっ・・・と、銀時は微笑みながらアスナの頭をわしゃわしゃと撫で、アスナはぽかんとした顔で銀時の顔を覗く。

「心配なさんな。んなことにはならねぇよ。俺が、いや、俺達3人、Z万事屋がいるかぎりな。そうだろ?アスナ司令官」
「・・・ハピネスチャージ万事屋」
「あんたらまだその設定続けるのかよ。ほら、いくよ」

キリトの一声で、全員は軍を追いかけるように歩始めた―――。