銀魂 −アインクラッド篇−
「で、あんたは何やってるんですか!!僕頼みましたよね!!?今日はお通ちゃんの新しいCDの発売日だからって、銀さんが仕事帰りに買ってきてやるっていうからお金渡したんですよ!!?なんでこんな得体の知れない物買って帰ってくるんですか!!」
「うるせぇェェェェェ!!そんなアイドルのCDなんかよりよっぽど夢が詰まってるからこれ!!銀さんの長年の悩みが解消される代物だからね!!?」
「お前らさっきからうるさいアル。喧嘩するなら外でしてくるヨロシ。定春〜ご飯ヨ!」
「ワンっ!」
ここは歌舞伎町。正確には『スナックお登勢』という店の上にそびえ立つ何でも屋『万事屋銀ちゃん』
万事屋内では先程の天然パーマの銀髪の男、『坂田銀時』とその従業員兼ツッコミ『メガネ』…もとい『志村新八』が大声で大喧嘩、それに呆れたチャイナ口調の赤いチャイナ服を身にまとった可愛らしい少女『神楽』、さらにさらに普通の犬の何十倍の大きさを持つ犬『定春』が5合はあるであろう白米を食べていた。
「大体お通ちゃんお通ちゃんって、そろそろアイドル離れしとけよ新八。どうせあれだよ?ファンからむしゃこら金巻き上げて良い頃合になったらN○K紅白歌合戦で引退発表するんだからよ〜。それまで熱心にファンがいくら費やしたとしてもあいつら謝罪の一つもしないからね?見返りなんて一切ないからね?」
「おっお通ちゃんはそんな人じゃねぇし!!大体それA○Bですよね!?こんなところで敵を増やすような発言止めて下さいよ!!」
「新八〜、いくらお通ちゃんのCDを何枚買ってもこの世界じゃ握手券なんて入ってこないアル」
「CDね〜確かにこの御時世CD売れないからって握手券付き!さらにバージョン違い!…なんて商法は良くねぇと思うよ?見てみろよ新八、たまぁに銀さん『下御』とか『派亜度御不』とか行くけど中古CDの場所に同じタイトルのCD何十枚と連なってるぞ?もう見飽きたんだよフォーチュンクッキー」
「だからA○Bネタは止めろって言っているだろォォォォ!!?どんだけ敵を増やしたいんだあんたたちは!!」
そんな冗談を言いつつ、銀時は先程商人から購入したヘルメットのような物を箱から取り出した。それを見た新八と神楽は物珍しさに自然と凝視する。
「それ何アルカ銀ちゃん、メットアルカ?」
「だから、全自動ストレートパーマ機だよ」
「確かに高級そうな代物ですね。でもこれがシングルCD一つの値段と同じだからって怪しすぎません?銀さん」
「売れ残ってたんだとさ。まぁ俺みたいな天パーなんて歌舞伎町に極数人しかいねぇからな」
「でも転売品なんですよ?怪しすぎる…」
「うるせぇな転売転売って。あれか?お前クリスマスシーズンに○mazonで変身ベルト売り切れて高額で叩きうる転売屋に対して恨みを持つ一人ですか?」
「んなわけないでしょ!レビュー欄に星一つすら付けたことありません!!」
銀時はヘルメット…もとい、全自動ストレートパーマ機と周辺機器を綺麗に机に置き、まじまじと説明書で使い方を覚えていく。
神楽は興味が無くなったのかその場を離れ、定春とじゃれあい始めた。
「ん、銀さんここになんか書いてません?」
「あ?今度は何?」
「ほらっここですよ。見たこと無い文字だな。もともと宇宙の別の惑星で使われていたものかな」
新八は机に置かれた全自動ストレートパーマ機の後頭部に値するところに小さく書かれた文字に気がついた。
そこには見たことが無い文字で何かが書かれていた。
-「NavGear」-
「なんて読むんでしょうねこれ、銀さん」
「えっとあれだよ…最初のこの『N』って文字、なんか平仮名の『に』に似てね?」
「ま、まぁ似てなくもないですけど」
「そして4つめのこの『G』という文字…そっか…こいつぁ間違いねぇ」
「え、わかったんですか!銀さん!?」
銀時はひと呼吸置く。
それにつられて新八は息を深く飲んだ。
「『ニューガンダム』だ」
「いや絶対違うだろォォォォ!!?」
これが万事屋銀ちゃん名物、メガネのツッコミだ。
無駄に語尾を『ァァァ!?』、または『ォォォ!!?』とやたらと伸ばして印象付けるのが特徴である。
「いやメガネのツッコミって何!!?大体このナレーション何ですか!!よく考えたら最初の僕の説明酷くないですか!!?最初何のためらいもなくメガネって言いましたよね!!?」
「落ち着け新八!取りあえずお前ァあれだよ!ちゃんと紹介しとかないと何の印象も残らないキャラになっちまうからよぉ」
「あんたらさっきから僕使って楽しんでるだけだろォォォ!!?結局僕はここでもこんな扱いなんですかァァァ!?」
「じゃあ『ネオジオ』だ。ほらなんか語呂が良い」
「もっと違うだろォォォ!!?というかなんで全自動ストレートパーマ機にゲームハードの名前ついてるんだァァァ!!」
「銀ちゃん、ネオジオってあの夢をキャッチできるあのゲーム機アルカ?」
「ばっか、お前それ違ぇよ。それ『ドリームキャスト』だ」
「マジでカ!いつになったらシェンムーの続き出るアルカ?銀ちゃん」
「いやもはや最初の話題からかなりかけ離れてるから!!…はぁ、もう僕疲れました!銀さんに対しては当分ツッコミしません!!銀さんはちょっとツッコミのありがたさを身に覚えるべきです!!」
「まぁそういうなよぱっつぁん。ただでさえツッコミ不足の銀魂なのに、ぱっつぁんいなくなったら大変なことになるよ?」
「いいえ!今回ばかりは僕の堪忍袋の緒が切れました!ちょっとは僕のありがたさを感じてください!ふんっ!」
新八は不貞腐れたのか、ぷんすか怒りながらソファに座りテレビを付けた。丁度15時すぎだったのでテレビはどこもニュース番組しか流れていない。次第に部屋にはアナウンサーによる今日のニュースが永遠と響くこととなった。
「はぁ。後で新八慰めねぇとな。ま、それはそれで…よし、大体準備は出来たな」
銀時は全自動ストレートパーマ機を頭にセットし、コネクターを家のコンセントにセットし通電させる。あとはスイッチ一つで準備完了だ。
「お〜い、新八ぃ!神楽ぁ!そろそろ銀さんはじめっぞ!!」
「勝手にやっててください!!」
「天パーじゃない銀ちゃんなんてただのモブアル。興味ないネ」
「誰も興味無しかよ…ま、いっか。よし!これで銀さんも遂にサラサラストレートヘアーに…」
この時、誰か銀時を止めていれば、物語は変わっていたかも知れない。
あと、数秒遅ければ…。
「最後にこのスイッチを押して…か」
-え〜番組の途中ですが、臨時ニュースです-
「ん?なんだろ…」
「さようなら、天パー銀さん
…そしてこんにちは!!ストパー銀さんっ!!!!」
銀時はゆっくりと…
スイッチを押した。
「ふんふ〜ん!……ん?…ん!!?んんんッ!!!!」
-昨日、歌舞伎町に違法取引の容疑で2人の商人が捕まりましたが、その商人が違法取引されたというヘルメット型の別次元空間移動装置が既に市場に流されているという事が判明されました-
「へぇ〜僕も気をつけないとな…ん?」
作品名:銀魂 −アインクラッド篇− 作家名:a-o-w