aph 『英国シンシの憂鬱』
■N国シンシの憤慨 壱■
私の家にだってまったく同じ名前の店があるはずですのに、間違いなくチェーン店だと思いますのに、どうしてこんなことになってしまうのでしょうか!
お店の名誉のために名前は伏せておきますが、あるインド料理のレストランです。
入った瞬間から、席へのエスコートと言い、メニューの取り方と言い、とにかくなんだかよろしくないのです。
座っていてもリラックスできなくて落ち着きません。
決して不潔だとか狭いとかボロだとかそういうことではありませんのに、どうにも居心地の悪さがあって、そこへ持ってきてのこの料理です!
何かスープのためにダシでも取った後なんじゃありません?というくらい、カサカサと乾燥したような硬さの鶏肉。
いろいろな豆など入っているようなのですが、果たしてこのソースのどこが豆をひきたてているのだか、豆のどこがソースの味に貢献しているのだか、ちっともわからない「得体の知れないグチャグチャした赤いもの」を食して、私は心の中で悲鳴を上げていました。
申し上げておきますが、私がインド料理を知らないから、ということではないと思います。
私はもともとアジアのみなさんの郷土料理は大好きで、タイ料理、ベトナム料理、インド料理、ほかにも、アジアではありませんがメキシコ料理や豆と肉でいっぱいのブラジル料理など、高すぎも安すぎもしないような外食屋さんに行くことが私の楽しみの一つでもあるほどです。
当然、私の家でいただいたことのあるインド料理店はどこも美味しさ満点です。少々のクセはありますが、慣れてしまえばそこが良くなるという、そういう味なのです。
とくにインドのパンであるナンは好物です。
甘味があって、ほんのわずかな塩気と、うっとりするようないい香り。かようにインド料理は好きなハズですのに、
なんですかこれは!!
そんなに味にうるさいグルメのつもりは決してないのですが、
ええ、普通に
マ ズ イ。
ああ、うっかり八橋にくるむのを忘れてしまいました。
でも言わずにはおれません
まずい。マズイ。不味いですイギリスさん!!
作品名:aph 『英国シンシの憂鬱』 作家名:八橋くるみ