続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4
島は涙が止まらなかった。ユキが苦しいだろうに自分宛てに書いてくれた過去形だけどラブレターに見えた
「ユキ…なんだ、最初に告ってれば俺だったんだ。」
島は必死に笑おうとしたが涙でグチャグチャになってしまった
ユキの手紙は同い年のクルーへ全員送られていた。おそらく病室で書いて第一艦橋に入る前にみんなの部屋を回ったんだろう…
「古代の荷物の中にユキからの手紙が入ってるかもしれない…」
島は真っ先にそう思ったがユキの正直な気持ちを両親が知るのにいい機会だと思いそのままにしておくことにした
と、そこへ山本が入って来た
「島…加藤の遺品をまとめて明日持って行ってやろうと思って島が持って来てくれた
ナップ(クルーが乗艦する時に持ってるナップザック)みたらさ…ほら…」
山本はそう言いながらピンクの便箋を見せた。
(実は島は退艦するときに加藤と山本の部屋によってナップだけ持ってきていた)
「で、俺のも見たんだ。そしたら俺のにも入ってた。」
山本は二通ピンクの便箋を持っていた。
「俺のにも入ってたよ。きっと古代にも書いてるはずだけど…見れないのが残念だ」(島)
「自分の読んだか?」(山本)
「あぁ…飛んでもない告白が書かれてたよ。」
島はそう言うと真っ赤な目で笑った
「お?ひょっとして?」
山本も真っ赤な目をして笑った
「過去形のラブレターだったよ」
二人は大笑いした
山本くんへ
コスモタイガーを月から持って来てくれてありがとう。古代くんとても喜んでいました
艦載機がゼロだけじゃ勝ち目ないって素人の私でもわかります。
山本くんと加藤くんは古代くんが絶対的な信頼を寄せる親友。
ヤマトの砲手と艦載機とあうんの呼吸はレーダーを通して見ててもとてもすごい、っ
て思います。
山本くん、私多分地球に戻れないと思うの。
だから私が死んだ後、古代くんを支えてください。クルーのみんなが支えてくれる
ってわかってるけど加藤くんと三人ずっと一緒だったんでしょ?
古代くんが私がいなくなってもちゃんと生活していけるように指導してやってね。
ずっと独身通したら私の両親も責任感じちゃうから…これはやっぱりモテ系の
山本くんにお願いすればバッチリかな?って思って…。
山本くんがどんな素敵な彼女をみつけるか…私も空の上から見ています。
森 雪
加藤くんへ
私が落ち込んでると背中バンバン叩いていつも元気にしてくれました。
ちょっと痛い時あったけど元気が出てくるから不思議でした。
その元気で古代くんを元気付けてあげてください。
私はもう地球に戻れないと思います。みんなを看護しないといけない立場なのに
こんな私に薬を使って、大事な血液も使ってしまっています。一番けがの多い艦載
機チームに申し訳なく思っています。
だから第一艦橋に戻ります。
少しでも…役に立って死にたい…そう思って今からアナライザーに運んでもらいます
コスモタイガーが飛んで…タイミング良く南部くんが叩く…あうんの呼吸、ってこの事
なんだなぁ、と常々感じていました。
古代くんが地球に戻って泣いてたら“泣くな”って激飛ばして。強くなれ、って言って
私が見守るから、って。ずっと見てるから幸せになってね、って伝えて。
加藤くんもいい人が見つかりますように。
森 雪
「ユキ、手紙書いて寿命縮めたんじゃないか?」
山本が最期自分の手紙を見ながらつぶやいた
「それにしても島への手紙長いぜ?ユキさんにしてみたら初恋なのかなぁ?ほら、
初恋の相手って結構重要だろ?…まぁ初恋は叶わないって言うからな!」
島は自分宛ての手紙を読み返していた
「却って…忘れられなくなっちゃうよ…ユキの事。」
島がちょっとしんみりしてしまった
「…きっとさ、ユキさんみたいな人現れるって。」
山本が慰めるように言うと
「それってすげぇ難しくねぇ?」
島が山本をどつく
「いいじゃねぇか、ニアミスだけどヤマトの女神から“好きです”って言われたんだから
俺も言われたかったなぁ。」
山本は心底残念そうに笑った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4 作家名:kei